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第23話 よし、情報交換をしよう

 あれからみんなで、こそこそと領主の館にスズキさんを連れていった。

 こそこそと行ったのはプラム婆さんの考えだ。

 俺のウルトラ鑑定がばれる可能性のある行動をとるのはまずいからだそうだ。


 まあ、地面掘って勇者発掘してきました。ってのはなにかしらそういう鑑定系の能力あるんじゃって連想されてもおかしくないかもしれん。

 孤児らにも口止めしといた。口止め料は飴玉。


 領主の館に戻って説明すると、ムキムキ領主さんもムキムキ息子さんも超びっくりしてた。

 勇者が見つかったら、国に報告して英爵位貰ったりなんなりするのが決まりらしいのだが、勇者を見つけた状況を説明するには俺のウルトラ鑑定云々も説明しなけりゃ難しいので、今は見送ることになった。

 まあ、国の中枢にいる王子が俺たちが社会的にぼこぼこにしようとしてる一番のクソ野郎だからな。


 ムキムキ領主さんはスズキさんにすぐに爵位をあげられないことを謝ってたが、スズキさんはなんのこっちゃわかってなさそうだった。

 そりゃそうだろうな。ぶっちゃけ俺もよくわかってないし。


 風呂に入り、髭をそり、ムキムキ領主さんが用意してくれた綺麗な服を着て、うす汚れた太ったオジサンから太ったオジサンにランクアップしたスズキさんは、今は嬉しそうにカップラーメンを頬張っている。

 凄い人畜無害なビジュアルになった。



挿絵(By みてみん)



 そして俺たちはお互いの情報交換をし始めた。




「神様!?僕たちが神様になったんですか!?」


「うん、そうらしいですよ。なんかもう死んだりもしないとかなんとか、死んでも他の世界で記憶そのままでまた生まれてくるらしいですよ」


「うえ~本当ですか?信じられないなあ~」


「ほんとですって、俺のスキルワケわかんないけど、ぶっちゃけネット検索みたいなやつなんですよ」


 ↓↓↓


「え、まじでクラゲみたいなやつだったんですか?」


「うん、あれが安田くんの言ってた邪神ってやつなんだと思います。気持ち悪かった~。でダンジョンで人殺せって言うんですよ。無理無理そんなの」


 邪神プランポーはクラゲらしい。


「さっき調べたらそいつ惑星耕しの刑20億年だそうですよ」


「惑星耕しの刑!?なんですかそれ」


 ひたすら一人で惑星を耕して生命のできる土壌をつくる作業らしい。

 よくわからんが死ぬよりつらい地獄なんだそうだ。

 よくわからんが鑑定にそう書いてあった。

 ちなみに最初に通報した邪神なんたらは惑星耕しの刑50億年だそうだ。


「おお、なんだか知らないけど、ざまあみろですね~」


 ↓↓↓


「そうなんですよ。あのダンジョンの中に生えてる木とか池とか、切ったり汚したりしても次の日にはすっかり元通りになってるんですよ、で缶詰を加工して作ったノコギリで木を切って安い小屋とか日用品を作ったりしてまして、なぜか切ったりして作った木材は消えないんですよ。意味わかんないでしょ?」


「まあダンジョンってだけでもう意味わかんないですしね。しかしたくましいな~スズキさん」


 ↓↓↓


「はあ、ていうか百年も経ってるのか、ダンジョンの中と外で時間の流れ違うとかさあ、よくわかんないね」


「まあ、百年とか言っても地球からこっち飛ばされるのにも色々時間差あるらしいからね。こっちの人達と接触あったとかじゃないんでしょ?だったらあんま気にしなくてもいいと思うよ」


「妹とかどうなったんだろう」


「スズキさん妹さんいんの?調べよか?」


「え!?できるの!?是非おねがいします」


 妹さんは別の異世界でなにやら王子様と魔王を倒す旅の途中らしい。

 こっちの時間軸と照らし合わせると、異世界に転移したの半年前らしい。

 スズキさんは、妹なのに年上って変な状況にならなくて良かったと喜んでた。


 ↓↓↓


「僕のトゲ蔵1号に!?そんな秘められた力が!?」


「うん、なんか精神を安定させてくれる能力があるみたい」


名前   トゲ蔵1号

年齢   6才

職業   なし

称号   なし


レベル  1

HP   11/11

MP   11/11


STR   1

AGI   1

VIT  11

INT   1

MND  11

DEX   1


装備

無し


所持スキル


新緑の平穏空間



 スズキさんのサボテンすげえゾロ目。

 なんか縁起が良さそう。


「……おお、まさか二百円で買ったサボテンにそんなすごい能力が……そうかあ、なんか暗い気持ちになるたびになんとかなるさって気楽さが湧いてたのはトゲ蔵のおかげだったんだな~、ありがとうな~トゲ蔵~、あいてっ」


 感極まったスズキさんは、サボテン撫でてトゲが刺さってた。


 ↓↓↓


「僕昔剣道やってたことがあるからじゃない?剣術スキルあるのは」


「俺変なスキルしかないから羨ましいわ~、学生時代ずっと帰宅部だったのが悔やまれるわ~」


「いやあ、僕も小中学生の時だけだよ剣道やらされてたの」


「ああ、まあ結構いるよね。剣道習ってる人って」


「いやあ、小手着けてる手が臭くなるって思い出しかないよ」


 ↓↓↓


「え、その缶詰ってほんとになんの缶詰でも出せんの?」


「うん、なんでもいけるよ。おでん缶でもパンの缶詰でも、空気の缶詰もだせるよ」


「まじで?サバ缶とかカニ缶とかホタテの缶詰とかも?」


「うん、一日100個まで出せるよ。カニ缶とかホタテとか出そうか?ほら」


 ポンって音と煙と共に、カニ缶とホタテ缶が五個ずつ出てきた。カニ缶は高いやつじゃねえか、これはまたチートスキルだわ。


「おおう、ちょっとそのスキル鑑定していい?」


「え?うんいいよ」


「……あ、そのスキルレベル上がるたびに十倍になるやつだわ。スズキさんレベル2になったら1000個出せるようになるよ。レベル5だと100万缶詰」


 俺のブーメランと同じ意味のわからないインフレスキルだわ。


「え!?百万!?100個でも多いなあって思ってたのに?」


「スズキさん一人で、世界中の飢餓解決できるね……」


「う、うん、ええー……」


「ていうかカニ缶好きだわー、あ、これで炊き込みご飯つくって食おうか」


「え?安田君料理できるの?意外」


「ちっと待ってみ」


「うわ、嬉しいなあ、一応お米の缶詰もあったんだけどね、生米入ってるやつ、でも火を起こすのが面倒で温かい食べ物自体滅多に食べなかったんだよね」


「よし、待っててみ、旨いの作っから」


 ↓↓↓


「なにその王子?、すごいおっかないね。コワ~、完全に頭おかしい人じゃない」


「ほんとに頭おかしいんだよ。だから今みんなでなんとかしようとしてる最中」


「ああ、それであの領主様の話につながるのか~、なるほどなるほど、ていうか安田君この炊き込みご飯美味しいねえ」


「うまいっしょ、ちゃんと出汁使って作ってっからね。つうかいいわー缶詰スキル、カニぶりんぶりんじゃん」


「うん、昔デパートで見たことあるやつだからね、ウン千円のやつだからね」


スズキさんのどや顔だ。カニうめえ。


 ↓↓↓


「田中君って友人が居て、同じアパートの隣人なんだけどね、彼がこの部屋くれたんだよね。もう二千年前の話らしいけどね」


「ヘエ~、すごいねこれ、テレビとかゲームとか漫画まであるの?」


「DVDもあるよ。アニメばっかりだけど」


「うわ、これとか懐かしいな。子供の時見たよこれ」


 ↓↓↓


「フタバスズキリュウってほんとにいたんだよね。名前が独特だよね~」


「あれでしょ?見つけた人か地名からとった名前のパターンでしょ」


「ああ、これこれ。昔のやつはティラノサウルスがなんかずんぐりむっくりしてるんだよね」


「そう、なんか下っ腹出てんだ」




 最後の方は青いロボットの大長編第一作(昔の方)の感想になっていた気がするが、俺たちは一通り情報交換を終えた。

 王子ボコるぞ作戦に関しては、何かできることがあるなら手伝ってくれるそうだ。

 話し込んじまって時間大分過ぎたな。もう夜だろうな。

 領主の館の部屋に設置した魔法の部屋から出ると、ムキムキ領主さん一家やカワウソ達が勢揃いして待ってた。


「先生、スズキ様とのお話は終わりましたか?」


 ピンタさんが一歩前に出て聞いてくる。

 え?俺らが話終わるの待ってたの?

 やべ、アニメのDVDとか見ちまってたわ。


「……ええ、まあ一通り終わったかな?ねえスズキさん」


「う、うん」


 スズキさんも、え?これなに?って感じだ。


「先生、魔導通信で王都から連絡がありました。何か動きがあったようです」


「え!?」


「勇者同士で大事なお話の最中のようでしたので、待っていたのです」


 おいおい、そんな大事な話あるなら魔法の部屋入ってきてくれよ。俺ら大半がどうでもいい話しながら、炊き込みご飯作ってドラえ○んの映画丸々一本見ちまったよ。


 いや、そんなん言ってる場合じゃないわな。俺は紙にムツキ・サイカと書いて鑑定する。

 一応毎日やってて、昨日の時点では特に何も無かったんだが。



名前   サイカ・ムツキ ♂

年齢   43才

偽装職業 王子

職業   真なる悪王

偽装称号 病弱王子

称号   邪神ムロの使徒


偽装レベル13

レベル  43


HP   388/388

MP   463/463


STR  138

AGI  140

VIT  125

INT  183

MND  200

DEX  173


装備

闇の真銀杖


所持スキル


闇魔法レベル4

痺れの呪い、ダークボール、ダークサンダー、ダークハウリング、無言の呪い、下級召喚魔法、中級召喚魔法、深淵の黒炎


杖術レベル3

受け流し、かぶと割り、ぶん回し、真空唐竹割り


威圧レベル4

王者の気風、凍える眼差し


余談


部下の報告で、アホみたいな顔で塩大福の白い粉を鼻の頭につけたまま半日以上過ごしている。顔の近くに虫が居たのか突然顔をぶんぶん振りだしたりする。との情報を得て勇者ヤスダはアホだと認識しているが、マリアシリール、ダンガンポートの実験を邪魔されたことで、万が一にも何かの知識系スキルがある場合を想定して、勇者アズマを呼び出しダンガンポートに差し向けた。

勇者アズマとぶつからせて知識系スキルがあるかを確かめ、もし知識系スキルがあったのなら、即座にクーデターを起こして国を乗っ取り勇者ヤスダに対峙しようと考えている。

ちなみにヤスダのダンガンポートに対する脅しや、そもそも勇者でもなんでもなく、禿げた頭した手がたくさんある化け物なんじゃないか、という噂を利用して王を唆し、勇者アズマを呼び出した。

ちなみにちなみにムツキの部下は、マリアシリールでカワウソ達に怪しまれたので一度帰っており、今のところダンガンポートには居ない。



 ……半日も鼻の頭に粉ついてるなら誰か教えてくれよ。

 あと、顔の近くに虫居たらみんな頭ぶんぶんするだろう!?それは普通じゃないの!?


「おのれえ、ムツキめ~」


「え、安田君どうしたの?」

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