第2話 ヤバイ、俺は選ばれてない匂いがぷんぷんする
はい、カーテン開けたら森、緑一色、リューイーソー、窓の前にあったはずの電柱は影も形もなし。
ていうかあれだなこれ、もう完全に地球じゃないねこれ。
空見たら月二つあるし。
ヤバイなこれは、どうやらサブカル界隈でまことしやかに語られてる異世界転移ってやつだな。
隣の202号室のアニメショップ店員のオタクエリート田中君に、オタク道の指南を受けていて良かった。
二十歳過ぎの遅めのオタク道入門だったが、オタク道極め過ぎてアニメショップに就職して、その道で飯を食ってるエリート田中君の指南のお陰である程度事情をつかめてるぜ。
ありがとう田中君。
さて、となると次はあれかな?
「ステータス、とかなんとかかんとか」
名前 ヤスダ ♂
年齢 26
職業 教師
称号 ゴミのようなステータスを持つ者
レベル 1
HP 12/13
MP 0/0
ちから 1
はやさ 1
みのまもり 1
ちりょく 8
せいしん 8
きんりょく 1
所持スキル
ケンカキック
ブーメラン(十)
装備
無し
…………出たよ、出ちゃったよステータス。
ステータスって言ったタイミングで、もわんって半透明の板が出てきて、目の前に浮いてる。
名前、年齢、ていうかなんで名前苗字だけなんだよ。
職業は教師か、確かに教員免許は持ってるが塾の講師やってるなんちゃって先生だよ。
そしてこの称号……。
色々酷いわ……。
ちからとか、みのまもりとか、これなんで平仮名なの?昭和のゲーム?
ちからときんりょくてそこ別個なの?
ブーメランとケンカキックって……。
ブーメラン(十)?カッコプラス?あ、漢数字の十かこれ。
ケンカキックってあれか?プロレスのやつか?
装備無しって何?
全裸ではないですけど?服着てますけど。
見るからに、ていうか称号からすれば自他共に認めるゴミのようなステータスなんでしょうね。
知力と精神力以外は数字が1しかないし、MPに至っては0だし……何段階評価なのか知らんが。
……ヤバイなあ、これはかなりヤバイぞ。
どう考えても、何者にも選ばれてない感がビンビン出てる。
そもそも、俺は神様的なものに選ばれる要素0だからな。
小中高とオール帰宅部、誰かをいじめたこともなければ、いじめられたこともない。
家のオヤジはそこそこ名の知れた会社の部長で、中の上ないし上の下くらいの家庭環境で育てられた。
しかも一人っ子だったから、甘やかされてぬくぬく育ってる。
留年もせず、そこそこの大学に通い、教員免許をとり、オヤジの知り合いがやってる塾に完全なるコネで就職してしまった。
皆まで言わなくても知ってる。
俺は温室育ちのボンボンだ。
ぬるま湯過ぎて体ふやけてデロデロになるくらい、ぬるい人生を送ってる。
父親に復讐するために地下闘技場で腕を磨いていたり。
地球滅ぼすために送りこまれたけど、記憶喪失になって地球のために戦う宇宙人だったりはもちろんしない。
それどころか絵に描いたような平凡だからこそ、勇者に選ばれたりっていう要素すらない。
だって俺の家庭環境は微妙に平凡ではない。そこそこの金持ちの温室育ちだ。
上の上でも下の下でも中の中でもない。
中の上か上の下辺りの家庭環境だった。
ゲームのソフトをクラスで2番目に沢山持ってる位の、限りなく微妙なポジションだった。
しかも家庭環境だけじゃない。
俺は人生遍歴も語ることは何もない。
なにせ人生で一番悲しかった出来事は、小四の時に飼ってた猫が死んだ事だ。
しかも猫は老衰で死んだ。享年十九歳、大往生だった。
それが俺の人生で一番重大な事件だ。
両親はもちろん、じいちゃんばあちゃんは父方母方四人全員ぴんぴんしてる。
……キャラクターを語る上でのバックボーンが完全に0だ。
物語的には何にも選ばれないであろうポジションのはずだ。
つまり俺が異世界に送られたんだか、事故で飛んできたんだかは知らんが、勇者とか魔王とか戦争とか、そこ中心に世界回ってますよ的な場所に関わる可能性はかなり低い。
いまのこの現状から可能性として高そうなのは、何年か後に地球から送られてきた主人公オーラ丸出しの勇者っぽい人が発見する白骨死体役辺りに選ばれる可能性が高そうだ。
もしくは森をふらふらして悪人に捕まり散々酷い目にあった後に、檻の中から発見した勇者っぽい人に同じ日本人だから助けてくれとガリガリの体で懇願する奴隷B役位だろうか。
「ステータス」
名前 ヤスダ
年齢 26才
職業 教師
称号 ゴミのようなステータスを持つ者
レベル 1
HP 12/13
MP 0/0
ちから 1
はやさ 1
みのまもり 1
ちりょく 8
せいしん 8
きんりょく 1
所持スキル
ケンカキック
ブーメラン(十)
装備
無し
……わけわからんくの字の木の板持って、発見される白骨死体役か、わけわからんくの字の木の板持って、おかしな事ぶつぶつ言ってる奴隷C役とかかな……。
いや、暗いこと考えても仕方ない、切り替えよう。
……しかしどうしたもんかな。
外は完全に夜、しかもどうやら森の真っ只中。
ファンタジー世界の夜の森なんて、嫌な予感しかしない。
白骨死体コースまっしぐらだ。
部屋の電気も消えてるし、これは水道も間違いなく使えなくなってるだろうなあ。
まあ、安かったから買いだめしといたペットボトル飲料が段ボール箱二つ分くらいあるから、とりあえずは大丈夫かな。
薄暗い中割れた皿を踏まないように、恐る恐るキッチンに向かう。
ああ、蛇口ひねってもうんとも寸ともない。
電化製品は全滅だな。スマホなんかは動くがこれも時間の問題かな。
本来真っ暗なはずだが、月が二つある月明かり二倍効果のせいなのかなんなのか、そこそこ明るいのが救いだな。
でもカーテンは閉めとこう、おっかねえし、とりあえず朝までカーテンの隙間から外の様子を覗く感じでいこう。
うーむ、外に見えてる木はどこにでもありそうな普通の木だな。
まあ植物にはたいして詳しくないからなんとも言えんが、少なくとも窓から見える限りには、虹色に光ってる実をつけたファンシーな木なんかはない。
ていうか、見える範囲には生き物もいないな。
……………………なにも居ないみたいだし、外出てみようかしら?
いやいやいや、ダメだダメだ。
なぜかオカマ口調で思考に魔が差してしまった。
なにせ称号で、ゴミのようなステータス、というお墨付きを貰ってる位なんだから。
ファンタジー世界で始めに出会うであろう、定番のモンスターコブリンにすら絶対勝てまい。
でも今現在アパートの部屋がどうなってんのか知らんが、こんな人工物丸出しの建物だったら、好奇心旺盛なモンスター的なものが集まってくるパターンもあるんじゃねえかな?
………………うーん……どうするか……。
うーん、うーーーん。
そもそも俺の部屋はアパート二階の角部屋201号室だったのに、外を見るかぎりどう考えても1階の目線の高さになってる。
それに他の部屋はどうなったのかも気になる。
隣の田中君は無事であろうか。
「よし、行こう」
なんとなく自分の部屋なのに足音を立てずに進み、ドアの覗き穴から外を一応確認し、ドアノブに手をかけてゆっくり音がしないように鍵を開けて外に出る。
はい、やっぱり部屋は地面に接地してました。
二階の俺の部屋だけ四角く切り取って地面に置いときましたよ。みたいな感じになってる。
202号室の田中君の部屋どころか、他の部屋も一切ない。
あっ、でも田中君の部屋の壁をちょっと巻き込んでる。
美少女アニメのポスター貼りまくりの壁がある。
つまり田中君の部屋には壁が無いってことか、田中君の部屋は今は往年のコント番組のように部屋の中丸出しってことだ。
数えきれないほどの美少女フィギアと天井にも貼ってあるエロゲーのポスター丸見えなのは、ちょっとした生き地獄だな田中君よ。
一度部屋に戻って、武器として包丁を持って行く。
あと、プラスチックの下敷きをハサミでくの字型に切り取った急造なんちゃってブーメランを持っていく。
包丁となんちゃってブーメラン持ってるのに、ステータスは装備無しのままだった。何でだ?
それと、一応なんちゃってブーメランを部屋で投げてみたが、ファンタジーよろしくなスキルって感じは一切なかった。
ていうか、まともに飛びもしなかった。
まあ、ブーメランって反りみたいなので揚力発生させないと飛ばんもんな。
もう一つのスキルのケンカキックも全くわからん。
普通に蹴った感触と変わった感じが一切無かった。
スキルも追々検証したほうがいいだろうな。
……いや、ていうか今ちゃんとスキルだかを検証した方がいいんだろうな。
転移物の定番ストーリー的にこれ生命線だろ。多分。
……いやダメだわ。スキルってなんやねん。どうやって出すねん。検討もつかないわ。
二十代半ばの凝り固まった大人の思考回路が真面目に考えるのを拒むわ。
スキルとかワケわかんないこと言ってないで、さっさと太い棒とか見つけろよ。て大人な自分が囁いてるわ。
とりあえず、道迷わないように石で木に印を付けながら進もう。
――うーん、何にもない。
ひたすら木だけ。100メートルほど進むと川があった。
良かったこれで水確保だ。
まあ今はペットボトル飲料あるけど
サバイバル番組でも、とりあえず水は大事だと言ってたからな。
付け焼き刃の知識丸出しだけど。
川幅10メートル程度の小川で水深もなさそうだから、川に近づいた途端、わけわからん化け物にパクリンチョされる心配もなさそうだ。
簡単に渡れそうだが、今渡ってもしょうがないから一旦引き返そう。
でも引き返す前にシーフード汁かぶった顔を洗おう。
シーフード臭が無くなってさっぱりした顔でアパートの部屋に戻り、今度は小川があった方とは逆に進む。
一応木に印付けながらだが、迷わないように単純な直線を意識しながら進む。完全にただの気休めだけど。
方角は流石にわからんな。朝になれば太陽の登る方で分かるかもしんないけども、まあファンタジー世界の太陽が西から登ったりしてなかったらだけども。
方角は木の年輪で分かるんだっけか?あれ嘘情報なんだっけ?
まあ、そもそも切り株がないから関係無いか。
ていうか嘘情報だった気がする情報を実践するわけにもいかんか。
――――おおう!?
反対側に50メートルほど進んだとこに、何やら妙な木がある。
何が妙って、微妙にうっすら白く光ってる。
おお、何やら神々しい感じがする。
落ちてる木の枝で恐々つつく、うん、どうやら触っても大丈夫っぽいな。
おお、なんか暖かいんだけど、触ってるとなんか体の奥がぽかぽかしてきた。
あれこれヤバイんじゃね。
体の奥ってことは何か体に入って来てないか!?
危機を感じてすぐに手を離す。
……なんともないかな?
手のひらで胴体をさすりながら確かめる
大丈夫っぽいな、あっそうか。
「ステータス」
名前 ヤスダ ♂
年齢 26才
職業 教師
称号 ゴミのようなステータスを持つ者、考えが薄っぺらい者、
プラスチックの下敷き切ったブーメランでどうすんだよ者
レベル 1
HP 13/13
MP 0/0
ちから 1
はやさ 1
みのまもり 1
ちりょく 8
せいしん 8
きんりょく 1
所持スキル
ケンカキック
ブーメラン(十)
装備
無し
あっ、おそらく熱々のシーフード汁かぶって減ったのであろうヒットポイントっぽい値が13/13で満タンになってる。
あっ、シーフード汁かかったせいでちょっとヒリヒリしてた指もヒリヒリしなくなってる。
マジか、体力回復してくれる木発見したわ。
「ていうか称号増えてる!!」
やべ、思わず叫んでしまった。
なんだよ、このわけわからん称号、メッセージ性強すぎるわ。
プラスチックの下敷き切ったブーメランでどうすんだよ者ってなにっ?者ってつけりゃ称号になんの?
誰からのメッセージだよこれ。
神様?神様的なヤツがいんの?
どこかの誰かに
プラスチックの飛ばないブーメラン(笑)、とか思われてるのなんか知らんがな。
そしてなんでそれを称号の欄で伝えてくるの?
てか見られてんの?今も?
――――ガサッ。
ん!?今なんか音しなかったか!?
――ガサッガササッ。
あっやっぱしてる!!光る木の向こうの林からなんか音してる
――ガサガサッガサッ。
近づいてきてる、さっき叫んじまったからか?
後退りながら、包丁を握る手に力を入れる。
――――来るっ。
!?――なんだあれは。
林から出て来たのは15センチ程度の人型の何かだった。
人型とは言え、小人だとか、妖精だとか、そんなファンシーな存在じゃあなかった。
だからと言ってモンスター的な恐ろしさもまるで無かった。
いや、もうぶっちゃけよう
なんか銀色のガ○プラみたいなのが歩いてきた。
あ、違うっ!!コイツらみんな偽物だ!!
ガン○ムじゃなくてガ○ガルだ!!
なんだこれ三体の銀色のガン○ルが歩いてくる!?
向こうの三体はこっちを認識したからか、何やら動きが止まっている。
俺もびびりながらガ○ガルを凝視している。
おかしなにらみ合いをしてる中、奴等がビームライフルを構えた。
あれ!?ガンガルそんなん持ってたか!?
ヤバイ撃たれる!?
「ヒイッ」
分かりやすい悲鳴を上げ、びびって身構えた。
…………撃ってこない。
なんだ?と思って見ていると。
パフンッ!!
とか音をたてながら逃げるエビみたいなポーズで、元居た林の方に飛んで行った。
さっきのはビームライフルから空気を出した音らしい。
奴等はその空気の推進力で飛んでいったようだ。
じゃあビームライフルじゃねえじゃねえか。
でも一匹残ってる。
――――危っ!?
残ったガンガルは、ブースター的なマシンな機能は一切使わずに、普通に走って来てジャンプしながら頭から突っ込んできた。
あわてて変なポーズで体を捻ってよける。
ガンっ!!
ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイっ。
何がヤバイって、とんでもない速さだった。
今よく避けられたわっ!!
少しかすったのかジャージがキレイに抉れている。
アイツどこにいった!?
あっ!!
俺のすぐ後ろにあった木に上半身がめり込んでるっ!?
抜けないらしくてもがいてる!!
ど、どどどどうする?逃げるか!?
あのとんでもない勢いで胴体に突っ込まれたら間違いなく大怪我するし、運悪けりゃ即死かもしれんっ。
でもあの速さで追っかけられたら絶対に逃げられないっ。
た、戦うか!?や、やるか!!
「なああっ!!」
情けない気合いボイスと共に殴りかかる俺。
あっ!?包丁持ってたのに持ってないほうの手で殴っちまったっ。
しかも右利きなのに左手で殴っちまったっ!!
テンパリすぎーっ。
俺テンパリすぎーっ。
「固っ!!痛っ!!」
なんじゃこりゃっ。
銀色だけどガンプ○っぽいから脆いのかと思ったべっちゃ!!
ヤバイッ!!
てんぱり過ぎて変な方言出たっ、頭ん中めちゃくちゃで思考乱れまくりだっ!!
ああ!?いまの打撃で銀色のプラモ野郎が抜けそうになってる!?
ヤバイヤバイヤバイヤバイ。
どうするどうするどうするどうする。
――――――そうだっスキル!!
ブーメランだっ。
「おらあっ!!」
ああっ!?
折れたっ!!
プラスチックの下敷きで作った急造ブーメランで殴ったらブーメランポッキリいった!!
なにがスキルだチクショウめっ。
クソッ、じゃあもう一つの方の、ケ、ケンカキックを!!
一度試した時はなにも出なかったが、もう他に残された手がない!!キックだけど!!
足の裏でドーンて感じだよな!!
蝶野だ、蝶野になった気持ちで叩きつけるんだ俺っ!!
「ケ、ケンカキック!!」
叫ばないと発動しないかもしれんから目一杯叫んでみた。
――――――ドーーーーン!!!!!!
とんでもない音と共になんと木が折れたっ。
あっ!?
あの銀色プラモもしっかりぶっ壊せたようだ。
銀の破片と共にあのプラモデル作る時の腕の関節つなぐ(ー○ーみたいな形の)部品が飛び散ってるからだ。
完全に爆散したようだ。
「てかやっぱプラモデルじゃねえかっ!!なんだよあの部品!!」
少したったら銀色の破片と部品は、ポワンッという音と共に煙になって消えた。
――――――ビキっ!!
「痛っ!?いだだだだだだだっ」
プラモが煙になった瞬間に突然体中の筋がつったみたいなとんでもない痛みが走った。
ヤバイ立ってられんっ。なにこれっなにこれっ。
いだだだだだだだっ!!
うわあっ痛すぎてくらくらする。
目の前チカチカする。
ああヤバイダメだこれ――――ダメ――だ………………。
俺の意識は、今度こそ熱々のシーフード汁を浴びることなく完全にブラックアウトした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――はっ!?
ヤバイ意識失ってたのか。
何やら明るい、朝になってるようだ。
ええっ!?て言うか何あれ、何あの痛み、気を失うほどの苦痛とか人生初なんですけど。
……でもなんか体軽いような、寝た?からか?
昨日の光る木の目の前で寝てたようだ。
もう光ってないな。
あっ、でもなんか木に白い実が山ほどなってる、なんだこれ?
昨日もあったんだろうか?
暗くて気づかなかったのか?
体力回復してくれる木になっている実か……。
……これはもう多分そういうことだろうな。
いくつか持って行こう。
よし、2個ほど取ったしとりあえず戻ろう。
わけわからんことありすぎてだめだ。ていうか昨日から打率10割でわけわからんことしかない。
今更だが一度帰って頭ん中整理しよう。
木に印を付けながら来たから帰れるはずだ。
帰り際ケンカキックで折れた木に目線を向ける。
おお、こんなぶっとい木を折れるとは、帰宅部オンリーの俺の肉体では絶対にありえない威力だ。
まず間違いなくスキルとやらが発動したんだろう。
スキルのパワー恐るべし。
「ん?」
折れた木のそばに、なんか小汚ない袋が落ちてる。
なんだこれ?
灰色の巾着袋だな、おばあちゃんが持ってそうなやつだ。
口んとこ紐でキュッとできるやつ。
なんにしても人工物のようだ。どうやらこの星に俺以外の知的生命体がいることが判明したと思っていい、のかどうなのか。
ちょうどいいから、さっき取った白い実を入れよう。
左右のポケットに一個づつ入れてズボンこんもりしてんの嫌だったしな。
小さい袋だから2、3個入れたらいっぱいになりそうだけど……。
「お!?」
袋が膨らまないよ!!
小さい袋に物入れたのに袋がなぜか膨らまないよ!!
「……これは間違いなく伝説の……」
見た目以上に物が入る魔法の袋ってやつだろう。
入れても入れてもいくらでも入る魔法の袋だろう、これっ!!
おおっ、入るいっぱい入る。うわっ入れるとこ異様に広がる。大体二メートル位まで広がる、その位の大きさの物までなら入れられるってことか。
テンション上がって、木になってた白い実をまたもいで成ってる実の半分ほどを袋に入れてしまった。
ちゃんと出し入れできることを確かめる。
魔法の袋収納スペース 5,3㎏/500㎏
内容物
ホワイトシャインベリー×36
おっ!?頭の中に袋に何入ってるのかリストが浮かぶらしい
これは500㎏入る袋に5,3㎏分入ってるって事かな?
あの白い実、ホワイトシャインベリーって名前なのか
ふむふむ、どうやらちゃんと使えてるようだ。
頭の中にリスト浮かぶって、俺の脳になにされてんだ?とか不吉な疑問は浮かぶが、どうしようもないしな。
目印をたどって森を歩く。歩く。歩く。
……あ、そういや俺モンスター的なの倒したんだよな。
これがテンプレ通りならきっと……。
「ステータス」
名前 ヤスダ ♂
年齢 26才
職業 腕っぷしのある教師
称号 プラチナハンター
レベル 14
HP 109/109
MP 0/0
ちから 32
はやさ 39
みのまもり 40
ちりょく 88
せいしん 86
きんりょく 32
所持スキル
ケンカキック
ブーメラン(十)
ウルトラ鑑定
装備品
無し
レベルアップきたっ、しかもなんだか知らんが大幅にレベルアップしとる。
職業が腕っぷしのある教師になっとる。これはなに?
上級職ってやつなのかなんなのか……。
なんか体罰教師っぽくて微妙なんですけど。
あと称号が、プラチナハンター?
妙にメッセージ性の強い称号消えてるやんけ。
おいおい、ちょっとかっこいいやないけ、何々プラチナハンターって。
あれか?あの銀色プラモデルがプラチナなんたらみたいな名前のヤツだったのかな?それ倒したからプラチナハンターなの!?
よいよ、これはなかなか中二心をいい感じに刺激してよいよ。いい歳こいてちょっとテンション上がっちゃうよ。
後は、ちからやら何やらが多分レベル相応に上がって。でもMPは0のままか。俺には魔法の素養は無さそうだ。
ていうか俺のステータスで高いちりょくとせいしんってゲームとかだと魔法の威力上がるとかそれ系関連のステータスじゃないのか……意味あんのかこれ……。
……あっ、スキル増えてるっ。
ウルトラ鑑定って何!?
定番の便利スキル「鑑定」……のウルトラバージョン!?
アホみたいな名前だが便利そうだ。
とりあえずアパート帰って色々検証しよう。