第15話 飛行船とか乗ったことある人見たことない。
朝日が差し込む窓から外の景色が見える。
ふわふわ浮いとる。すごいな飛行船。
今は飛行船に乗ってダンガンポートに行く途中だ。
飛行船に魔法の部屋を設置して部屋の窓から外を眺めてる。
この飛行船はガスじゃなく、なんか浮遊石だかっていう浮かぶ石で浮いてるらしい。
浮かぶ石とかファンタジー物質の代表だな。
ダンガンポートの魔物が大氾濫を起こす前に、俺とまんじゅうだけで先に飛ぶって手もあったが、頭がおかしい勇者として嫌われてるだろうからと却下になった。
なにがあるかわからないから、カワウソ達のフォローがあった方がいいとのことだ。
というわけで、五日間の平和な飛行船の旅だ。
カワウソ子供組は、今は俺の部屋でゲームをやってる。
ちなみに昭和時代のハードで土管工のひげのおじさんががんばるゲームだ。それの3、お地蔵さんに変身できるタヌキスーツあるやつをやってる。
レトロゲーってやつだな。
さて、暇だしなあ。
「まんじゅうプレゼントボックスやらせてくれ」
リンリンリンっ。
いいよ。のリンリンリンだ。
よし、一回目
アイテム名 浮遊マント
分類 防具
レア度 C
防御力 18
価格相場 500000G~600000G
効果及び説明
落下スピードを大幅に減速してくれるマント。
浮遊という名だが空は飛べない。
おお、なんかいいアイテム引いたな。でもレア度Cだからそんなアタリでもないんだろうな。
地球人目線だとアタリだ。
もう高い所怖くなーい。別に高所恐怖症でもないけど。
ようし、次だ。
アイテム名 ハゲカツラ
分類 防具
レア度 C-
防御力 18
価格相場 200000G~230000G
効果及び説明
被ると光る。
洞窟などで重宝する他に、パーティーでも盛り上がる。
パーティグッズ出てきちゃったよ。
なんだよこれ、要らねえよ。パーティーグッズに二十万とかたっかいなあ。
よし、最後の一回。
アイテム名 眼鏡の王様
分類 防具
レア度 ?
防御力 8
価格相場 5000000G~5500000G
効果及び説明
鑑定スキルを持つ者が装備すると、鑑定レベルが一段階上がり、詠唱や予備動作が必要なくなる。
古代の技術で作られており存在を知るものは現在存在しない。
ちなみにだて眼鏡。
余談
鑑定のレベルは上がりませんが、これでアホ丸出しのポーズを取らなくてすみますね。
「うわああああぁっやったああああっ!!」
子供カワウソ達がびくってなったけど、あまりの嬉しさに気にしてられない。
うわああ、超嬉しい。バイバイあほみたいなポーズ、こんにちはインテリ装備。
うわあ、完全に今までで一番のアタリだわ。
……あ、でもあれだな、ハゲカツラはつけないこと確定だけども、眼鏡はつけるべ、あとマントもあった方が良さそうだから……うーん。
俺七三っぽい髪形にしてるんだよな。
あと唯一の防具のスーツで、えーと。
……こんなんただの企業戦士じゃねえか。
もうこれバカみたいだわ。せめてマント無しだな。
カワウソ達が何やらこっち見てる。
「先生ー、これ難しいよ早い飛行船」
「それはあれだPパタ使うんだよPパタ」
「もう、使っちゃった」
「使っちゃったのか、よし先生に任せろ」
「……あっ、先生死んだじゃん。すぐ死んだじゃん」
「……これはあれだよ、久しぶりにコントローラー握ると最初のクリ坊になぜかやられるの法則だよ。もう一回、もう一回チャンスくれ」
そんなこんなで数日間のゆるい飛行船旅を経て、とうとうダンジョン都市が見えてきた。
「先生、あの尖った岩山が全てダンジョンなのですよ」
「へえー」
大小様々な岩山?に囲まれた町が見える。
あれ岩山か?スゲーとがってるけど。
よし、早速眼鏡の効果を発揮させよう。
おおう、変なポーズ取らなくても発動する。嬉しーい。
場所名 ダンガンポート
説明
人口約三万人の町、現在勇者ヤスダのわがままにイライラしている冒険者であふれている。
マリアシリールの飛行船が見えたので勇者が来たと思い、文句の一つでも言おうと冒険者が飛行場に集まってきている。
嬉しくなーい。全然嬉しくなーい情報出てきたー。
ピンタさんに相談しよう。
「……大丈夫です。先生には指一本触れさせません」
「うむ、先生わしらに任せろ」
「全員とりあえず完全に武装じゃ」
「「「おうっ」」」
「冒険者が揃っておる中でこれだけの装備を見せれば十分威嚇にもなるしの」
おお、あの優秀だが色物な装備でも威嚇なんかになるのか?
まあ色物って感覚はあくまで日本的な感覚だもんな。
「とりあえず見た目でかましてやるってことですね」
「うむ、そうじゃ」
ピンタさんの親父さんのパニニじいちゃんが肯定する。
ようし、俺も一発かましてやろうじゃねえかっ!!
飛行船が飛行場に着陸する。
あ、もうなんか喧騒が聞こえて来るわ。
飛行船のドアが開いたらもっと聞こえて来た。
おお、インドア派な俺の心がグワングワン殴られるぜ。
さっきまでのやってやる感一瞬で消えたぜ。ぶっちゃけもう嫌だぜ。帰りたいぜ。
「おっ、出てきやがったぞっ」
「マリアシリールのカワウソ族かよ、くず勇者でもパーティメンバーだけは優秀らしい」
「はやく出てこいよっどんな面してんのか見せろっ」
「なんだよあの装備、ほとんど最高級じゃねえか、金だけはもってそうだな」
「だまれっ貴様ら!!わが剣の錆びになりたいか!!」
おおう、冒険者とピンタさん大怒りだよ。
おおう、山ほどいるわ数千人位いんじゃねえのこれ。
こわーい、まんじゅう大暴れさせるぞ脅迫作戦とか、ワケわからん提案しなきゃ良かったー。
……いやいや、いかんいかん弱気になるな。俺にはカワウソ達がついてるしまんじゅうもいる。
よーしっ一発かましてやる。
「行くぞまんじゅう」
リンリンリンっ。
よっしゃーのリンリンリンだ。
俺が出ていった瞬間に、大騒ぎしていた冒険者者達が静まりかえる。
ふふふ、一発かましてやったぜ。
俺達は結局、絡まれもせず文句も言われないまま領主の館に到着できた。
後から仲良くなった冒険者から聞いたら、「なんだかよくわかんねえけどそこはかとなくおっかねえし触れたらいけない気がした」ビジュアルで文句なんて言えなかったそうだ。
そうだろうそうだろう。