第11話 黒幕の黒幕の黒幕
ステータス的なのが嫌いな人はすいません。
ステータス嫌いな人はさっと読み飛ばして下さいって言えないのですいませんと謝ることしかできません。
すいません。
「勇者様、この度は命を助けていただきありがとうございます。わたくしパダルワン子爵家長女のパンナと申します」
「はあ、安田龍臣です。とある企業の部長の息子です」
トイプードルの子爵令嬢がお礼を言ってくる。
カワウソたちもまわりでニコニコしてる。
なんか昔話の一場面みたいだな。
盗賊のアジトを壊滅させたあと、眠りの呪いにかかっている盗賊とトイプードル令嬢パンナさんを馬車兼自宅兼カワウソ村に運び入れたところで、パンナさんの呪いを解いて今に至る。
呪いが解けた瞬間、犬の瞬発力で部屋の端まで跳び跳ねて行ったが、ピンタさんの顔を見た令嬢は顔見知りだったからか。
「ピンタ叔父様っ!?ああっカワウソ様方が助けてくださったのですねっ、ありがとうございます」
みたいなことになってた。
カワウソ達の立ち位置がわからない。
カワウソエリート疑惑が深まった。やっぱ偉いのか?
その後ピンタさんの説明のもと、勇者だとあっさりばらされた俺もお礼を言われた。
「…………」
何やらトイプードル令嬢が無言でもじもじしている。
……散歩でも行きたくなったのか?
あ、なんか急に土下座をはじめた。
「勇者様っ命を助けていただいた上に、こんなお願いは厚かましいことはわかっているのですが、何とぞお聞き届けください」
「どうか、どうか我が街マリアシリールをお救いくださいましっ!」
「……ええと、とりあえず説明して」
犬に頼み事されたぜ。おおう、ホントに昔話みたいな展開だ。
話を聞くと、マリアシリールという街はピンタさんの村と似たような状況になってるらしい。
ここ数ヶ月でセレナ病が大流行しているそうだ。
このパダルワン家は代々光魔法の大家で、パンナさんも回復魔法が使えるらしい。
一家総出で町中を駆け回って治療にあたっているが、手が足りない状況だったんだそうだ。
パンナさんは一族で一番光魔法が得意で、一番人が多い二級市民街の担当だったらしい。
三日前に二級市民街に行く途中で、盗賊にさらわれてしまったそうだ。
ピンタさんと話をして、カワウソ村もマリアシリールって街と同じ状況になってたのを知り、それをまんじゅうの回復魔法で一気に治癒して解決したのを聞いたのだろう。
リンリンリンッ。
「任しといてくれよお嬢さんっ!!てまんじゅうが言ってますんで任しといてください。て言うかまんじゅうの回復魔法次第なんで俺出来ることなにもないですけど」
「本当ですかっありがとうございます。勇者様っまんじゅう様っ」
パンナさん半泣きだ。まんじゅうの魔法でなんとかなればいいが。
……範囲次第なんだよな。どのくらい広い街何だろうか。
まんじゅうがどしゃ降りに出来る範囲内だといいが。
まあまんじゅうのどしゃぶりヒールの最高半径160㎞だからなんとかなるべ多分。
ウルトラ鑑定で調べてもいいけど、結果変わらんから現物みてからでいいべ。
それよりも今はこっちだな。
俺はカワウソ部屋の端に寝てる盗賊達に目をやる。
全部で13人の人相悪い盗賊が、腹の上で手を組んだ安らかな眠りについてる。
うーん気味が悪い。
タンクトップにバンダナ、タンクトップにスキンヘッド、タンクトップにモヒカン、タンクトップにバンダナ、タンクトップに……。
タンクトップ率高いな。
だが13人の中に一人だけ、黒頭巾被ってヒラヒラした服着てる明らかにテイストが違うやつが混じってる。
明らかにあやしい、黒頭巾の顔の所になんか怪しげな絵がかいてあるし。
はい、ウルトラ鑑定
名前 パーナッド・プラントン・ジャジャン ♂
年齢 29才
職業 悪逆魔法使い
称号 鬼か蛇か
レベル 15
HP 98/98
MP 118/118
STR 23
AGI 19
VIT 20
INT 68
MND 53
DEX 23
装備
宵闇の鉄杖
呪怨の黒装束
所持スキル
闇魔法レベル2
ダークショット、無痛の呪い、ダークサンダー、下級召喚魔法
杖術レベル1
兜叩き
余談
暗闇卿ことサイカ国第一王子サイカ・ムツキの手下の手下の手下の手下位のやつ。
サイカ・ムツキのセレナ病による感染速度や範囲、潜伏期間などの検証実験の邪魔になるパダルワン家、その中でも特に優秀なパンナの誘拐を指示された没落貴族の三男。
クズ野郎。
ああもう最悪だわ。
……実験って……なんだこの馬鹿王子。
もうダメだわこいつ。この野郎丸裸にしてやる。
ウルトラ鑑定
名前 サイカ・ムツキ ♂
年齢 43才
偽装職業 王子
職業 真なる悪王
種族 人間族
偽装称号 病弱王子
称号 ■■■■の使徒
偽装レベル13
レベル 43
HP 388/388
MP 463/463
STR 138
AGI 140
VIT 125
INT 183
MND 200
DEX 173
装備
闇の真銀杖
所持スキル
闇魔法レベル4
痺れの呪い、ダークボール、ダークサンダー、ダークハウリング、無言の呪い、下級召喚魔法、中級召喚魔法、深淵の黒炎
杖術レベル3
受け流し、かぶと割り、ぶん回し、真空唐竹割り
威圧レベル4
王者の気風、凍える眼差し
余談
■■■■の使徒、生まれながらに高い知能があったが感情がともなっておらず、退屈しのぎで人の命をもてあそび、村や町で実験などを行うクズ。
■■■■に目をつけられ加護をあたえられた。
……■■■■ってなんだ?
なんだこれ、なんか塗り潰されたみたいになってるな。
うーん、なんだこれ、めっちゃ気になる。
ピーン♪
『鑑定結果に他の神の干渉が存在します。少々お待ちください』
『……ヤスダさまの神格の方が高いです。干渉を無効化いたしますか?』
え!?なにこれ。
どうすればいいの?無効化してくれって思えばいいの?
『了承しました。干渉を無効化します。』
名前 サイカ・ムツキ ♂
年齢 43才
偽装職業 王子
職業 真なる悪王
種族 人間族
偽装称号 病弱王子
称号 邪神ムロの使徒
偽装レベル13
レベル 43
HP 388/388
MP 463/463
STR 138
AGI 140
VIT 125
INT 183
MND 200
DEX 173
装備
闇の真銀杖
所持スキル
闇魔法レベル4
痺れの呪い、ダークボール、ダークサンダー、ダークハウリング、無言の呪い、下級召喚魔法、中級召喚魔法、深淵の黒炎
杖術レベル3
受け流し、かぶと割り、ぶん回し、真空唐竹割り
威圧レベル4
王者の気風、凍える眼差し
余談
邪神ムロの使徒、生まれながらに高い知能があったが感情がともなっておらず、退屈しのぎで人の命をもてあそび、村や町で実験などを行うクズ。
邪神ムロに目をつけられ加護をあたえられた。
……おい、邪神ムロってなんだ。
ウルトラ鑑定
名前 ムロール・パルパンピークシュナイン
年齢 3253才
職業 石工
称号 なし
レベル 63
HP 788/788
MP 0/0
STR 208
AGI 140
VIT 233
INT 133
MND 120
DEX 183
装備
グラッドハンマー
黒の石鎧
所持スキル
槌術レベル5
直殴り、叩きつけ、大叩きつけ、超叩きつけ、惑星割り
体術レベル5
ぶちかまし、正拳突き、百烈拳、オーラ
深意の流動
加護付与
瞬間移動
余談
第124536平行宇宙の唯一の高次元生命体、高次元宇宙に変わる時彼の惑星には彼しか生き残りがいなかった。
神として半人前だが、自分が唯一無二の神だと勘違いしているぽんこつ野郎。
様々な世界に行ってはちょっかいをかけて文明を崩壊させようとするあほ。
俗に言うところの邪神。
邪神とは生命の貴重さを理解しておらず、今だに自分の惑星に帰れない半人前の神だが、長年放浪して無駄にレベルと能力が高いこじらせたやつの総称。
『邪神の存在を感知しました。』
『銀河統一神様警察に通報しますか?』
YES/NO
え?なにこれ?通報?
イエス?ノー?
……じゃあイエス……。
『通報しました。……時間軸移動により邪神ムロを逮捕いたしました。ご協力感謝いたします』
『近々感謝状を進呈いたします』
……………………………………………………………………………………………………………ん?あれ?解決した?
あれ?解決したの?マジで?黒幕の黒幕の黒幕のラスボスみたいなやつ逮捕された?
思わず三点リーダー35個分くらい沈黙しちまったぜ。
……お、おおう、ステータス画面だけで解決したわ。
これ、あれかな?
近所に泥棒が居たから警察に通報しました。位の感じなのかな。
……感謝状貰えんのか。
「勇者様、勇者様、どうしました?」
おっと、盗賊見たまま呆然としちまってた感じに見えてたんだろうな。
ピンタさんが心配そうにこっち見てる。
「あ、いやちょっとぼうっとしちゃってただけです。すいません」
「勇者様、大丈夫ですか?もうすぐマリアシリールに着きますよ」
「ああ、そうですか、ちょっと表でてどんな感じか見ていいですか?まんじゅうの魔法の範囲とかも関係してくるんで」
「わかりました。ちょうど見えると思いますよ」
パンナさんとカワウソ達をともなって表に出る。
「勇者様あれが私の街マリアシリールです」
……おお、すげえ……。
ウルトラ鑑定
場所名 マリアシリール
説明
人口35684人
約30平方㎞、約20平方㎞、約10平方㎞の大きさの三つの浮遊島による空中都市。
一番大きな島は職人や炭鉱夫、肉体労働者、冒険者が住む二級市民街、二番目に大きな島は商人や準貴族などが住む一級市民街、三番目に大きな島は貴族街になっている。
この付近の地域は浮游石の一大産地のため鉱業も盛ん。
飛行船を製造する工場も多い。
名物は塩大福と濡れせんべい。
現在住民の約6割がセレナ病に感染しており、都市存続の危機。
早く助けに行け。
あ、とうとう鑑定結果に命令されだしたわ。
うーん、異世界来て最初に訪れるビジュアルの街ではないなあ。
浮いてる街って最後の方に行くとこじゃね。
まあいいや、よしじゃあ急いで住民を助けに行くか、まんじゅうがだけど。
「じゃあちょっと行ってきますね。まんじゅう行くぞ」
リンリンリンっ。
「ゆ、勇者様、行くってなんですか?」
ピンタさんがビックリ顔で聞いてくる。
「まんじゅうと合体して早速飛んで行ってきます。早ければ早い方が良さそうなんで」
「と、飛ぶ!?飛べるのですか!?」
「ただまんじゅうにぐるぐる巻きにしてもらってまんじゅうに運んで貰うだけですけどね。あとまんじゅうの魔法で治してきます」
あ、俺要らねえな。
まあウルトラ鑑定のウルトラな部分に期待しよう。
……て言うかもう話聞いて、一も二もなくすぐ飛んで来た方がよかったかな。
ああでもそれやってたらラスボスを逮捕出来なかったかもしれんしな。
結果オーライってことで良しとしよう。
「じゃあ行ってきます」
リンリンリンっ。
「勇者様、マリアシリールを救ってくださいましっ」
「がんばって勇者様」
「がんばって下さいっ」
「ささっと解決してきなよっ」
パンナさんとカワウソ達の激励を受けて俺はまんじゅうウイングで飛び立った。




