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第9話 いや、多くね?

サブタイってのをつけてみました。

 一先ず読まれたら、カワウソ村集団自殺事件が発生するかもしれないので、証拠隠滅の為に紙をマンジュウの口にシュートする。


 ……どうしよう。こんな訳のわからないゴミの為に二千年……。


「確かにタナカからのメッセージは受け取りました。二千年もの間お疲れさまでした」


「なんの、それが我々一族に託された使命でございます。それで、先見勇者タナカ様はなんとお伝えだったのですか」


 ピンタさんが目をきらきらさせながら聞いてくる。


「……いえ、勇者同士にしかわからない内容ですよ」


 俺も真っ直ぐ目を見返して、全力の微笑みで急造の言い訳を口にする。

 ……この秘密は墓まで持って行こう。


「はあ、そうでございましたか、差し出がましいことを申しました」


「勇者様同士にしかわからないことって何?」

「しっ、私たち庶民にはわからないことよ」

「勇者様すごい」


 カワウソの子供たちがキラキラした目で見てくる。

 俺にできることと言ったら、彼らをできる範囲で幸せにしてやることではないだろうか。


「ピンタさん達はこれの為にここにいてくれたんですよね。これからどうするんですか?」


「そうですなあ……使命は果たしてしまいましたからなあ」

「……これからか」

「……そうか、もうここに居ても」

「これからどうしよう、我々にいくところなど」



 ……カワウソ達が、口々に悲観的なことを口にしてる。

 燃え尽き症候群みたいなもんだろうか。

 やばい、どうしよう。



テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪


 あっこの音楽、仲間になる時のやつだ。

 カワウソ達も聞こえるらしく、みんなキョロキョロしてる。

 ああ、もうこれ俺に面倒みろってことなんだろうな。


「何だ!?」

「これは、勇者の福音ふくいん!?」

「勇者の福音!?僕達が勇者の従者に!?」


 勇者の福音!?

 こんなTHE16ビットって感じの効果音に、そんなよさげな名前が!?


テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪


 あ、また鳴った。なんでだ?



テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪


テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪


テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪


テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪


テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪


テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪


テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪


テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪


テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪  


テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪


テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪


テテレテテテテ、

テテレテテテテ、

テテテテテテテテテーンテーン♪


 ……これ人数分なんのか。




 さて、一気に仲間が増えてしまった。

 ていうか仲間って、普通四人とか五人くらいじゃねえの?

 多くね?


 まずはピンタさんもといリバーフェニックス一家。




ピンタ・リバーフェニックス 

42才

職業 戦士


パニニ・リバーフェニックス ♂

70才

職業 槍使い


ププル・リバーフェニックス ♀

38才

職業 裁縫師


ぺぺ・リバーフェニックス ♀

8才

職業 生き物係


アクゲンタヨシヒラ ♂

1才

種類 カブトムシ



 次はグレイシードラゴン一家。



モンブラン・グレイシードラゴン ♂

31才

職業 鍛冶師


クレープ・グレイシードラゴン ♀

31才

職業 魔法使い


ショコラ・グレイシードラゴン ♀

7才

職業 草刈り


タルト・グレイシードラゴン ♀

4才

職業 踊るのが好き



 次はホワイトブリッツ家。



プラム・ホワイトブリッツ ♀

73才

職業 薬師


マスカット・ホワイトブリッツ ♂

74才

職業 大工


リンゴ・ホワイトブリッツ ♂

26才

職業 刀使い


モモ・ホワイトブリッツ ♀

25才

職業 調理師


ミカン・ホワイトブリッツ ♀

6才

職業 砂いじり




 どうやら仲間になる音は、14回鳴っていたらしい。

 ぺぺちゃんの頭についていたカブトムシも仲間になっていた。

 名前はなぜか源平合戦の頃の武将の名前だった。


 あとから聞いたが、このカブトムシはぺぺちゃんが幼虫から孵したカブトムシらしい。

 魔物じゃなくただのカブトムシらしいのだが……うーん、でもこのカブトムシ微妙にステータスが高いんだよな。妙なスキルも持ってるし……。

 魔物じゃないんだろうか。



 カワウソ達はかわいい顔だからなのか、お菓子とか果物の名前なのがあざとい感がある。でも家名はやけに仰々しい。

 ん?親子で同じ系統の名前なのはわかるが、夫婦で同じ系統の名前なのはなぜだ?

 名前で嫁と旦那選んでんの?



 しかし、くしくも平均年齢が高いパーティーメンバーになってしまった。

 70越えが三人もいる。


「なんとワシらが勇者の従者になるとはのう」

「よいのう冒険じゃ冒険じゃ」

「ふぉふぉふぉ年甲斐もなく血がたぎるわい」


 だがなにやら一番ノリノリなのも老人たちだ。


「僕なんかが勇者様のお役にたてるのだろうか」

「魔法を勉強してきたかいがあったわ。腕がなるわ」

「ららら~勇者の仲間~」


 悩んでたり、なにやら踊ってるやつもいるが、みんな一様に俺についてこようとしている。

 歴代の勇者の福音、もとい仲間増えた時の効果音を聞いたものは誰もが勇者の従者として、勇者と共に偉業を成し遂げたらしい。


 もはやついて来る気満々なんだろうな。


 ピンタさんなんて、もうなにやら荷づくりらしきことを始めている。

 出会って半日も経っていない俺に、何を託そうとしているのだろうか……。


 まあ、カワウソ達との旅とか楽しそうでやぶさかではないがね。そもそもこっちには二千年の負い目があるからな。


「一緒に来てくれるのは全然構わないんですけど、ホントにいいんですか?」


 俺の問い掛けに、荷づくり中のピンタさんがこっちを見る。


「構いませんよ。この土地に思い入れ等ありませんからな。正直すぐ出ていきたいですな」

「あなた、その言い方ではヤスダ様が勘違いしてしまいますよ」

「あ、いや、勇者様の使命が嫌だった訳ではないのです。すみません」


 まあ、すみませんと謝りたいのは俺だが、しかしみんなフットワーク軽いな。

 何か外に馬車みたいの出てきたぞ。木で出来たバンみたいな形の箱の先に馬つける棒みたいのついてる。


「あれは、馬車ですか?」


「ああ、うちの村の自慢なんですよ。大工のマスカットさんが作った箱馬車です。クレープの魔法で作られた土獣で走らせるのです。うちの村は老人も多いので、徒歩での長距離移動はあまり向きませんから」


 ピンタさんの奥さんのププルさんが説明してくれる。


「そうだヤスダ様、みんな荷づくりには時間がかかりますから。お風呂にでも入ってはいかがでしょう、家の風呂はユニットバスなのです」


 ……ユニットバスあんの?

 ファンタジーらしからぬ単語でたな。

 いやまあ、魔法的なあれなのかな?風呂好きな日本人の影響をもろに受けてる気がするな。

 ああ、そういえば俺の魔法の部屋のこと言わねばな。

 ていうかもう彼らに魔法の部屋一個プレゼントだな。


「そうだ、ピンタさん実はですね、魔法の部屋ってのがありましてね」


「魔法の部屋ですか?」


 俺の部屋をカワウソ村の人達に紹介すると、みんな目玉ひんむいて驚いてた。

 なにもない広い方の部屋をあげると言ったら、超恐縮されて断られ、あげる要らない問答の末、借りる、という結論になった。


 とりあえず部屋を開けられるように、みんなを登録する。

 魔法の部屋を開けた横に石板みたいのがあってそこに手を押し付ければ登録完了だ。そういやこれ指紋認証なんだろうか……。

 子供含めカワウソ達全員登録する。


「これはなかなか広いですな。村のみなで住むのも問題無いでしょう」


 村に捨てていくつもりだった家具なども全部入れられると、奥さん達は大喜びだ。


 ……家具捨てていくつもりだったのか、危ない。


 魔法の部屋に次々家具が入る。

 なんと風呂やキッチンまで入れられるようだ。

 簡単にばらして持ち運びできる風呂やガスコンロ的な部品か、ある意味地球の科学上回ってるな。


 みんなが部屋を作ってる中俺は箱馬車を見せて貰う。

 ふむ、中は結構広い、けどみんなで乗ったらぎゅうぎゅうじゃねえかなあ、もしかして歩き組がいるのかな?

 まあ、そこは魔法の部屋の機能で解決だが。


「これ、全員だときつく無いですか?」


「はい、何人かは外であたしの魔法で出す獣に乗って貰う感じかな。警護も兼ねて」


 答えてくれたのは魔法使いのクレープさんだ。そういやピンタさんも魔法の土獣とか言ってたな。


「ほう、それ見せて貰うことはできますか?」


「いいですよ、――キュキュンキュンキュンキュンキュンキューン」


 ……カワウソがキュンキュン鳴いてるだけに聞こえるが……。

 え?これが呪文?マジで?

 上位の呪文になるとキュンキュンが増えるそうだ。

 種族によって呪文の形式は違うらしい。

 うん。もうなんでもいいや。


 お、何か地面からでかい狼みたいのが出てきたぞ。

 ていうか地面の土そのものが狼の形になってるのかこれは。

 ホントにでかいな3メートルくらいある。

 俺でも乗れそうだ。これならカワウソ達は三人くらい楽勝で乗れるだろうな。


「ふふん、あたしは王都で英魔学園卒業してるからね。この位朝飯前さ」


 英魔学園か、魔法とか教えてくれる学校なんだろうな。実にファンタジーっぽい。

 馬車を少し動かしてくれるってことなので、乗せて貰う。

 ……おお、あんま揺れないんだなあ。


 よし、魔法の部屋をくっつけてみよう。

 どうやんだ?魔法の部屋のドアノブを馬車の壁に近づけてみる。


『構造物との接触を確認、魔法の部屋を構造物に展開しますか?展開する場合は安全度が下がることに注意して下さい』


 突然ドアノブが話し始めた。

 よしよし、やってみるか。


「展開しろ」


『所持者の意向を確認、魔法の部屋展開します』


 お、魔法の部屋の扉が馬車の内壁にくっついたぞ。

 まんま壁に扉ついただけだが、いい感じだな。

 その時馬車が止まって、クレープさんが馬車の中に入ってくる。


「勇者様っなんかしたの!?なんか馬車に窓出てきたよ!?」


「窓?」


 俺は慌てて外に出る。

 ……木の板しかなかった馬車の右面に2つ窓ができてる。

 覗いてみるが中は見えない。真っ暗だ。

 ……これ、多分……。

 俺はまた馬車の中に戻って魔法の部屋に入ってみる。

 ……やっぱあった。リビングの壁に窓が2つできてる。

 やった思わぬ収穫だ。これで窓から景色見ながら移動できる。

 おいおい高級な寝台列車みたいな感じになったんじゃねえのこれ。テンションが上がっちゃうね。

 さっそくピンタさん達にも教えてやろう。








 そして、村のみんなの荷物の運びいれも終わり、いよいよ出発だ。この間約六時間、カワウソ達の尋常じゃないほどのフットワークの軽さ。

 完全に日が暮れ夜になったにもかかわらず出発だ。みんなもう一秒もこの土地に居たくないそうだ。

 そんな場所に二千年も居させてしまってごめんよ。



 今はタナカ平原のど真ん中にある岩の影に馬車を置いてる。ムカデの巣ではなくただの岩だ。

 ピンタさん達が夜は当番制で見張りをやるつもりだったらしいが、ミスリルゴーレムにやらせた。

 召喚したらみんなビックリしていた。魔法使いのクレープさんはなにやら特にびっくりしていた。

 こんなとんでもないゴーレムは見たことがないそうだ。

 ばれたら面倒そうだから、口止めしとこう。


「ミスリルゴーレムも魔法の部屋についても内密にお願いします」


「もちろんですとも、川海老を逃がすことになってもいいません」

「ええ。たとえ川海老を逃がしても」

「命と川海老をかけてもいいません」


 ……なにやらカワウソ族特有の誓いみたいなのが出たが、まあ秘密にしてくれるならいいか。

 ……川海老が好きなのか?


 みんなで村の魔法の部屋に集まって貰い、ミーティングをする。

 まあ、特に目的地なんて無いしなあ。

 とりあえず、魔導書だな。パワーレベリングはもうできんが魔導書使っての強化は可能だからな。


パンタさんが魔導書を見てきょとんとしてる。


「勇者様、この本は?」


「この表紙の手形に手をつけると魔法覚えられるアイテムです」


「なんと!?魔法を!?」

「魔法覚えられるの!?」

「ええ!?ウソ!?魔法は専門の学校で修行しないと中々覚えられないのに!?」


 カワウソ達がみんなびっくりしている。一際驚いてるのはまたもや魔法使いのクレープさんだ。苦労して魔法覚えたらしいからな。

 でもしょうがない。そういうアイテムなんだから。






 手形に手をつけたカワウソ達は、なんと全員が水魔法のスキルを得ていた。

 ていうかまあそりゃそうかもしれんな。カワウソだし。いやそうなのか?

 何人かは職業も変わっている。

 クレープさんは土魔法に加えて水魔法、あとボーナス的に増えた木魔法の3属性の魔法を使えるようになったことで、えらい喜んでいた。

 なんでも3属性の魔法を使える魔法使いは、滅多にいないかなりのエリート魔法使いらしい。

 ……うちのマンジュウは4属性使えるが。


 でも水魔法のスキルはあるがみんな違う種類の魔法だな。

 ウォーターボールだけの人もいれば回復系しか無い人もいる。

 レベル70のマンジュウが覚えてない魔法もちらほらあるし。

 これ覚える魔法って人によって色々だったんだな。


 あとピンタさんの娘さんのぺぺちゃんが育てているカブトムシ、アクゲンタヨシヒラを魔導書の手形に乗せたところ、水魔法ではなくなんと火魔法のスキル、ファイアショット、ファイアブレス、を覚えた。

 体は赤くなり、種類もただのカブトムシだったのが炎のカブトムシになった。信じられない。


 はじめて見たが、やっぱ火魔法は攻撃的な印象だな。

 自分のカブトムシの出世にぺぺちゃんは大喜びだ。


 なんにせよ、魔物と戦うのが当たり前な世界でみんなの戦力強化と怪我や病気の対処法が強化できたのはかなりの収穫だろう。




 一通り終わったのでカワウソ達の魔法の部屋で夕食になった。

 俺の魔法の部屋の食料を提供して、ホワイトブリッツ家の調理師のモモさんが作ってくれた。

 俺も手伝おうと思ったんだが、猫に玉ねぎ的な食べさせちゃいけないのとかあったら困るから、見学だけしてた。

 まあ特にそういうのは無く、食い物は人間と同じだったが。


 メニューは肉と野菜がふんだんに入った豚汁と焼きおにぎりだ。稲があるって話だったから、メニューもやっぱ日本と同じ感じなんだな。

 あとすげえ旨い。職業調理師は伊達じゃない。マンジュウもいつもに増して大喜びだ。


「勇者様が提供してくれた材料は、質も良くて量もたくさんで、こんなに調味料を使って料理するのも久しぶりで楽しかったです」

「母さん、凄く美味しいよ」

「うん、旨い、今まではニガイモとバッタばっかりだったものな」

「ほんとだ。はあ、こんな食事を食える日がくるとはな」

「美味しい、美味しい、もうバッタは食べたくない」

「勇者様、こんなに食料をありがとうございます」

「ありがとうございます」


「……たくさん食べて下さい。まだ食料は沢山あるんで」


 なにやらちょいちょいバッタって単語が出てきたが、忘れよう。

 ちなみにニガイモは苦い芋だそうだ。

 大層深みがあるまったりとした苦味のある芋らしい。絶対食べたくない。


 それからニガイモで作ったという酒だのがでてきて、軽い飲み会のあとにみんなで風呂に入ってマッタリする。

 カワウソ達の風呂はかなりでかくてみんなで入れる。

 ちなみに男と女はちゃんと別れて入っている。


 リンリンリン。


 風呂上がりでまったりしていると、なにやらカブトムシと向かい合って微動だにしなかったマンジュウが、こっちを向いてプレゼントボックスやらないの?のリンリンリンを響かせる。

 そうだった。


「マンジュウ、ピンタさん達にもやらせてくれるか?」


 リンリンリン


 大丈夫のリンリンリンだ。よし。


 俺達のやり取りを横で見ていたカワウソ達が集まってくる。


「どうかしましたか勇者様?」


「マンジュウにプレゼントボックスってスキルがありましてね」


 俺はマンジュウのスキルについて説明する。カワウソ達はまた驚いて恐縮していたが、最終的には一家で一回ずつプレゼントボックスを開けることになったようだ。

 まあ戦力強化のためには、明日も明後日もやってもらうつもりだが。



 まずはピンタさんもといリバーフェニックス家が開くことになったようだ。


「では、マンジュウ殿、お願いします」


 リンリンリン


「では」


 ピンタさんはマンジュウの口の異次元空間に、おっかなびっくり手を入れる。


 ……お?剣か、定番だな。なんかうっすら赤いな。



「おお、なんと美しい剣だ」

「ピンタ、やったのう」

「パパすごい」


 なにやらリバーフェニックス家は盛り上がってる。やっぱすごいんだろうか。



アイテム名 ミスリルの片手剣(赤)


分類    武具

攻撃力   68

レア度   B

価額相場  4000000G~4500000G


効果及び説明


希少な金属ミスリルで作られた剣。

しかもこのミスリルは、火山地帯で採掘された火の属性を宿した普通のミスリルより遥かに貴重な赤い色のミスリル。

装備すると、ステータスのスキル欄に火魔法、ファイアショット、火剣、のスキルが追加される。

スキルは剣から出る。



「……だそうです」


 俺は鑑定結果をピンタさんに教えてやる。


「お、おお、なんという、色付きの魔法付与ミスリルで、こ、攻撃力68、レア度Bなど王都の近衛騎士でも持っておらんような代物なのに……か、家宝に致します。勇者様っマンジュウ殿っ」


 ピンタさんが土下座しだした。カワウソの土下座はやめてほしい。


「いやいや、やめて下さい」


 リンリンリン


 攻撃力68は大分すごいようだ。

 なに基準で68なのか俺にはわからないままだが。




 次はグレイシードラゴン家のクレープさんの番だ。

 とりあえずどの家族も、戦力強化のために戦闘職の人から開けることになったようだ。

 勇者の従者と言えば戦闘能力第一!!みたいなことなのだろうか……。

 ゲームの主人公のように、血生臭いこと全面に押し出した人生は、実体験する立場になった今だとすごく嫌だなあ。



「マンジュウさん、お願いします」


 リンリンリン


 俺がうっすら鬱な想像してるなか、クレープさんはマンジュウの異次元空間に一切の躊躇無くずぼっと手を入れる。

 肝っ玉母さんだな。


 ……ん?変なの出たな。着ぐるみ?


「こ、これは伝説の着ぐるみシリーズでは?」

「着ぐるみ?まさかあれが?」

「……とり?九官鳥か!?」


 なにやらカワウソ達は知っているようだ。



アイテム名 九官鳥の着ぐるみ


防御力   48

分類    防具 ※小動物系種族専用装備

レア度   A-

価額相場  38000000G~40000000G


効果及び説明


着ぐるみシリーズと呼ばれる小動物系種族専用装備。

悪の巨人襲来以前の失われた古代技術で制作されており、現在作れる者は存在しない。

装備するとスキル欄に、MP消費2分の1のスキルが追加される。

ステータスの能力値AGIに+10、INT、MIDに+15の補正がかかる。



「す、凄いよ勇者様っ、これは勇者に仕えた伝説のカワウソ族が持ってたと言われる装備だよっ、ありがとう!!」


「ほう伝説の、それは凄いですね。おめでとうございます」


 伝説のカワウソが来ていた九官鳥の着ぐるみ……。

 ……何やら色物感がすごい上に、動物と動物の組み合わせでややこしいが。

 まあ見た目的には、カワウソが着ぐるみ着てる時点でもう可愛らしさ度は天井知らずだが。


 うーん、なんか凄い装備なのは確かなんだろうな。

 レア度A-だし、MP消費2分の1とかゲームだと後半に出てくるやつだもんな。

 俺としては、小動物系種族専用装備ってとこにも引っ掛かりを覚えるが。小動物系種族って……。



 最後はホワイトブリッツ家の刀使いのリンゴくんだ。

 カワウソ村の唯一の同い年だ。ちなみにリンゴって名前だが男だ。

 刀使いという職業のせいなのか、彼は着流しを着ている。


「ほ、本当に僕でいいの?」


「あなた、大丈夫だからやらせて貰いなさい」


「う、うんわかったよ、お願いしますマンジュウさん」


 リンゴくんは草食系なのかなんなのか、まあカワウソは確か雑食だけども。

 調理師の奥様モモさんに嗜められながら、一番おっかなびっくりマンジュウの口に手を入れる。

 俺が初めてプレゼントボックスやった時と同じくらいびびってるな。


 ……お、なんだあれ、傘?



アイテム名 仕込み和傘・桐花


攻撃力   75

分類    武具

レア度   B

価額相場  4800000G~5000000G 


効果及び説明


刀が仕込まれた和傘、隕鉄を鍛えた刀身で切れ味は一級品。

装備するとスキル欄にスキル、マジックシールドが追加される。

マジックシールドは開いた傘の部分に発動する。



「ええ!?凄い、刀使いは守る術がほとんどない職業なのに、それに攻撃力75?そんな数値聞いたことないよ」

「やったわねっあなた。ありがとうございます勇者様」


「いいよいいよ別に」


 さて、後は鍛冶師のモンブランさんにあれ渡しとこう。


「モンブランさん、これ使って何か防具とか作れませんか?」


「防具ですか?」


 俺は魔法の袋から今日倒した鋼ムカデのドロップアイテムである上質な鋼のインゴットを渡す。ピンタさん助けた時のやつと合わせて全部で60個位ある。


「これは……良い鋼だ。こんなに沢山いいんですか?」


 モンブランさんは、鋼のインゴットを触ったり軽く叩いたりして何かを確かめてる。

 まあ上質な鋼のインゴットって名前だから、やっぱそのままいい鋼のようだ。


「勇者様、これは鋼ムカデのドロップアイテムでは?」


 ピンタさんの指摘にカワウソ達は驚いてる。


「いいんです。使い道無いですから」


「ですが、町で売れば結構な金額になりますよ」


 まあ、正直田中君がくれた金が使えなかったとしても、山ほどある魔法の袋とアイテム製造できるマンジュウ居れば金には困らんだろうからな。


「いいですいいです。特にお金にも困ってないですから、今日はもう寝てまた明日にしましょう。おやすみなさい」


 色々断ろうとしてるカワウソ達の会話を無理やり気味に打ち切って、自分の魔法の部屋に退散する。






 自分の部屋の扉を閉めて、一息つく。


「……ふう、寝るかマンジュウ」


 リンリンリン。


 ……あの人たちにあんなに色々あげたりしちゃってよかったの?のリンリンリンだな。

 こいつこの間生まれたばっかなのに……知識とか倫理観とかどうなってんだ?俺から吸収でもしてんのか?


「いいんだよ。最悪田中君に貰ったこの部屋以外持ってかれたとしても、許容範囲だよ」


 二千年は申し訳無さすぎる。金やら物で解決できるレベル完全に越えてるからね。


 ……あの田中メモ思い出すと罪悪感がもう……もう……もう……もう寝る。



挿絵(By みてみん)



名前   ピンタ・リバーフェニックス ♂

年齢   42才

職業   魔法戦士

種族   ニホンカワウソ族

称号   巧みな刃


レベル  18

HP   148/148 

MP   23/23


STR  79

AGI  45

VIT  58

INT  21

MND  32

DEX  35


装備


ミスリルの片手剣(赤)

鉄仮面

鉄の胸当て

鉄の小手

鉄の盾



所持スキル


片手剣術レベル3


縦斬り、横斬り、柳流し、溜め斬り、岩斬波


盾術レベル2


受け流し、吹き飛ばし


水魔法レベル1


キュア


火魔法(装備効果)


ファイアショット、火剣



名前   パニニ・リバーフェニックス ♂

年齢   70才

職業   青の槍使い

種族   ニホンカワウソ族

称号   電光石火


レベル  21

HP   132/132

MP   38/38


STR   67

AGI  108

VIT   43

INT   31

MND   42

DEX   33


装備


国光の槍


所持スキル


槍術レベル4

一閃突き、四連突き、瞬速突き、突進一槍撃、閃光突き、縦横無尽


水魔法レベル1


ウォーターショット、キュア



名前   ププル・リバーフェニックス ♀

年齢   38才

職業   裁縫師

種族   ニホンカワウソ族

称号   魔法が使える奥さんの鑑


レベル  8

HP   67/67 

MP   33/33


STR  18

AGI  14

VIT  15

INT  28

MND  22

DEX  43


装備

無し


所持スキル


裁縫レベル3


初級布装備作成、中級布装備作成、アクセサリー作成


短剣術レベル1


突き刺し、瞬刺


水魔法レベル1


ウォーターヒール、キュア、ウォーターウォール



名前   ぺぺ・リバーフェニックス ♀

年齢   8才

職業   魔法的な生き物係

種族   ニホンカワウソ族

称号   元気25倍


レベル  1

HP   8/8 

MP   13/13


STR  5

AGI  5

VIT  4

INT  4

MND  4

DEX  2


装備


無し


所持スキル


槍術レベル1


一閃突き


水魔法レベル1


ウォーターショット、キュア


調教レベル1



名前   アクゲンタヨシヒラ

年齢   1才

種類   炎のカブトムシ   

称号   熱いぜ


レベル  1

HP   28/28 

MP   15/15


STR  6

AGI  4

VIT  14

INT  5

MND  6

DEX  2


装備


無し



所持スキル


火魔法レベル1


ファイアショット、ファイアブレス


光の鎧



挿絵(By みてみん)



名前   モンブラン・グレイシードラゴン ♂

年齢   31才

職業   鍛冶師

種族   ニホンカワウソ族

称号   鉄の鍛冶師


レベル  12

HP   108/108 

MP   33/33


STR  45

AGI  21

VIT  28

INT  28

MND  14

DEX  62


装備


無し


所持スキル


鍛冶レベル3


初級武器作成、中級武器作成、金属の声


棍棒術レベル1


叩きつけ、兜砕き


水魔法レベル1


ウォーターウォール、ウォーターヒール




名前   クレープ・グレイシードラゴン ♀

年齢   31才

職業   双色魔法使い

種族   コツメカワウソ族

称号   土狼


レベル  14

HP   87/87 

MP   63/63


STR  18

AGI  28+10

VIT  18

INT  62+15

MND  52+15

DEX  18


装備


呪木の杖

九官鳥の着ぐるみ


所持スキル


土魔法レベル2


ストーンショット、土ゴーレム(少)精製、土槍、土獣精製


水魔法レベル1


ウォーターショット、ウォーターヒール、キュア


木魔法レベル1


ウッドゴーレム精製


杖術レベル1


受け流し、回転叩き


MP消費2分の1(装備効果)





名前   ショコラ・グレイシードラゴン ♀

年齢   7才

職業   水撒き

種族   ミックスカワウソ族

称号   泳ぐの好き


レベル  1

HP   7/7 

MP   15/15


STR  3

AGI  2

VIT  4

INT  5

MND  5

DEX  2


装備


無し


所持スキル


水魔法レベル1


ウォーターショット、アイスニードル





名前   タルト・グレイシードラゴン ♀

年齢   4才

職業   水芸ができます

種族   ミックスカワウソ族

称号   踊りが好き


レベル  1

HP   5/5 

MP   13/13


STR  1

AGI  1

VIT  2

INT  4

MND  4

DEX  3


装備


無し



所持スキル


水魔法レベル1


キュア、シャワーキュア



挿絵(By みてみん)



名前   プラム・ホワイトブリッツ ♀

年齢   74才

職業   薬師

種族   ビロードカワウソ族

称号   薬水賢人


レベル  14

HP   88/88 

MP   43/43


STR  13

AGI  18

VIT  21

INT  72

MND  42

DEX  48


装備


無し



所持スキル


調薬レベル4


初級魔法薬作成、中級魔法薬作成、上級魔法薬作成、植物の見極め


水魔法レベル1


ウォーターヒール、キュア、毒水、痺れの霧





名前   マスカット・ホワイトブリッツ ♂

年齢   73才

職業   戦大工

種族   ニホンカワウソ族

称号   職人気質


レベル  15

HP   118/118 

MP   13/13


STR  72

AGI  28

VIT  48

INT  28

MND  25

DEX  58


装備


無し



所持スキル


工作レベル3


材木の声、尺度の見極め、初級魔道具作成、中級魔道具作成


槌術レベル3


叩きつけ、気絶叩き、震撼撃ち、岩盤砕き、岩弾飛ばし


水魔法レベル1


ウォーターショット、クリアウォーター






名前   リンゴ・ホワイトブリッツ

年齢   26才

職業   青の刀使い

種族   コツメカワウソ族

称号   瞬刀


レベル  13

HP   95/95

MP   26/26


STR  52

AGI  54

VIT  23

INT  21

MND  20

DEX  38


装備


仕込み和傘・桐花

魔獣革の着流し


所持スキル


刀術レベル3


縦斬り、横斬り、突き、三段突き、居合い、真意斬り


水魔法レベル1


ウォーターヒール、クリアウォーター


マジックシールド(装備効果)




名前   モモ・ホワイトブリッツ

年齢   25才

職業   魔狩調理師

種族   ミックスカワウソ族

称号   味の探求者


レベル  9

HP   72/72 

MP   23/23


STR  28

AGI  18

VIT  13

INT  30

MND  28

DEX  43


装備


樫の弓

鉄の包丁



所持スキル


調理レベル4


食材の目利き、初級魔物食材調理、中級魔物食材調理、上級魔物食材調理


弓術レベル2


速射、連射、集中一矢


水魔法レベル1


キュア、ホットフォッグ





名前   ミカン・ホワイトブリッツ

年齢   6才

職業   小さな看護師

種族   ミックスカワウソ族

称号   半分は優しさで


レベル  1

HP   8/8 

MP   11/11


STR  2

AGI  3

VIT  4

INT  8

MND  6

DEX  2


装備


無し



所持スキル


水魔法レベル1


ウォーターヒール、キュア

魔法の呪文の設定を変更しました。

短歌形式だと使っちゃいけないフレーズを使いそうになるので。

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