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冷たくて儚い  作者: mikito
4/5

出迎えと、再会

「お帰りなさい、レイ、アンドリュー」

エレベーターを降りた途端に。

にこやかな女性が、私たちを出迎えた。

ピンクのスーツにピンクの口紅。

何度この光景を目にしたことか。


うんざりした気分で視線を逸らすと、彼女はすかさず言った。

「ヴィオ様がいらっしゃるそうよ」

薄いピンクの唇が告げる。

「今、すぐに」


ドアの開く音がしたのと、

私が足を踏ん張ったのは、同時だった。

「アンドリュー、放して」

「は?」

「今すぐ!」

小声で押し問答をする間にも、

奥から現れた男はどんどんこちらに近づいてくる。


「レイ、今回もご苦労だったね」

まだ若いその男が放つ言葉は、

軽い調子にもかかわらず

他を寄せつけない、重々しさを漂わせている。

無言の威圧感を、身にまとって。


誰かに支えられて立っている様など、この男には

この男にだけは見られたくなかった


半ば突き飛ばすようにアンドリューから離れた私は、肩で息をしながら

男を見上げた。

「お役に立てて光栄です」


男は薄い青の瞳を細めた。

「本当に無事でよかった。

君より優秀な人材は、ウチにはいないからね」

軽い調子で言う彼の真意を、私は痛いほど分かっていた。

分かっているからこそ、私は何も気にしない風を装う。

「もったいないお言葉です」

頭を垂れて、そう告げる。

彼のストライプの入ったスーツと革靴を、視界に入れないように。


私の頭の上で、彼が悲しそうに息をついた。

「レイ、君は……」


「社長」

ピンクの女性がふいに声をかけた。

「お客様がお見えです」


彼は少しの間逡巡したあと、

踵を返して、奥へと消えていった。


私はその間、頭を垂れたまま動かなかった。

ドアの閉まる音が、やけに大きく響いたーーー




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