出迎えと、再会
「お帰りなさい、レイ、アンドリュー」
エレベーターを降りた途端に。
にこやかな女性が、私たちを出迎えた。
ピンクのスーツにピンクの口紅。
何度この光景を目にしたことか。
うんざりした気分で視線を逸らすと、彼女はすかさず言った。
「ヴィオ様がいらっしゃるそうよ」
薄いピンクの唇が告げる。
「今、すぐに」
ドアの開く音がしたのと、
私が足を踏ん張ったのは、同時だった。
「アンドリュー、放して」
「は?」
「今すぐ!」
小声で押し問答をする間にも、
奥から現れた男はどんどんこちらに近づいてくる。
「レイ、今回もご苦労だったね」
まだ若いその男が放つ言葉は、
軽い調子にもかかわらず
他を寄せつけない、重々しさを漂わせている。
無言の威圧感を、身にまとって。
誰かに支えられて立っている様など、この男には
この男にだけは見られたくなかった
半ば突き飛ばすようにアンドリューから離れた私は、肩で息をしながら
男を見上げた。
「お役に立てて光栄です」
男は薄い青の瞳を細めた。
「本当に無事でよかった。
君より優秀な人材は、ウチにはいないからね」
軽い調子で言う彼の真意を、私は痛いほど分かっていた。
分かっているからこそ、私は何も気にしない風を装う。
「もったいないお言葉です」
頭を垂れて、そう告げる。
彼のストライプの入ったスーツと革靴を、視界に入れないように。
私の頭の上で、彼が悲しそうに息をついた。
「レイ、君は……」
「社長」
ピンクの女性がふいに声をかけた。
「お客様がお見えです」
彼は少しの間逡巡したあと、
踵を返して、奥へと消えていった。
私はその間、頭を垂れたまま動かなかった。
ドアの閉まる音が、やけに大きく響いたーーー




