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使い捨ての
目蓋の向こう側の光に誘われて、私は目を開いた。
「気が付いた?」
安堵と苛立ちと心配と。
様々な感情のこもった一言に、私の心はゆれた。
明るい車内に、ハンドルを片手で握る男の姿。
倒した助手席のイスに、私は寝かせられていた。
両手に握りしめたままの銃を感覚し、安堵する。
持ち上げて見ようと、手を動かした瞬間、
「応急処置しかしてないんだから、動くなよ」
私は目だけ動かして彼を見た。
確かに、体中のところどころに絆創膏、包帯、あとの小さな傷は消毒してあるようだ。
「……手間をかけて、悪いわね」
素直にそう言うと、彼はぎょっとしてこちらを振り向いた。
スミレ色と、見開かれた深い緑の瞳が、かち合った。
「何?」
「いや…別に……」
私は窓の外に視線を移した。
遠くできらめくたくさんの光が、私の心をざわめかせる。
「それよりアンタ、噂には聞いてたけど、マジで無茶苦茶だね」
「……ひとりで十分、だったでしょ」
「……じゃあ、今のこの状況は、どう説明する気なんだよ?」
私は少し、目を細めた。
窓ガラスに映る自分と、向き合う。
「私は、使い捨ての武器。それ以上でも、それ以下でもない」
エンジン音すらしない車内は、完全に静まり返った ―――




