表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
相羽総合サービス業務日誌5・異伝  作者: 笠平
所長・倉田信也 篇
3/8

Ⅲ・『爆走変体メガマッチョ! イリアの異世界修練旅。』★

クレーム必至の第三話!

 本社へ出張してきた時だ。

 日に日に三柴社長が怖くなっている。

 いや……原因は僕のせいなんだけど。


 去年の社長交代劇が過ぎた本部会議にて、当然相羽前社長の責任問題は大きく取り上げられた。三柴社長や伊上さんにも言及飛び交う中、僕と小畑さんは事情を知る者として擁護派に回らざるを得なかった。


 その時、僕の持つ特殊能力は大いに活躍をした。

 腹芸が得意な者、懐柔できる者、すぐに見分けがついた。


 多分熱心に三柴社長への擁護に回ったせいだ……妙に彼女が僕を見る目が艶っぽくなっていく。いやいやいや年上は嫌いじゃないけど、ヒラ社員に粉掛けようとするなよ!


 もう好感度ゲージが日に日に上がっているのが目に見える。

 しかも何かにつけ本社への出張をキャンセルし始めると何故か三柴社長の表記に爆弾マークが付く。なんなんだこのゲーム再現能力は!


 ……ああ、どうしよう。このまま三柴社長に喰われたりしたら間違いなく出世街道まっしぐらだ。下手をしたら将来三代目の我が社の社長の椅子に僕が座らされている可能性も大きくある。


 今のうちにこっちで彼女を見つけよう。

 もう本当にそうしよう。



◇◆◆◆◆◆



 さて、頭痛薬をペットボトルの水で飲み干す。

 僕は恒例のPCのブラウザを立ち上げるとお気に入りのサイト『小説家になろうぜ』を開いた。


 新着メッセージが1件あります!


 マイページに赤字で表示される新着通知がある。


「はぁ……」


 早速クリックした。


――――――――――――――――――――――――――――――――

 件名:おいおい倉田

 送信者:熱血バカ

 本文『くくく、ドーラ大陸の出張報告書を偽造して机の上に放置したら案の定あのバカ勘違いして旅に出やがった……くくく、当面はアルバディアでゆっくり羽を伸ばせそうだ……今夜あたりゲインのおっさん連れてジアスさんの店で一杯やってくるわ』

――――――――――――――――――――――――――――――――


 先輩、今はその勘違い&スルー能力がマジ羨ましいです……。


――――――――――――――――――――――――――――――――

 件名:Re:まぁいいですけど

 送信者:倉田信也

 本文『出掛ける前に、またお気に入りの小説を発掘したんで感想を聞かせてもらえませんか?』

――――――――――――――――――――――――――――――――

 件名:Re2:まぁって

 送信者:熱血バカ

 本文『おいおい……相変わらずメールだと素っ気ないなお前。

   まぁいいや、時間が惜しい、早く教えろ。どんな作品なんだ?』

――――――――――――――――――――――――――――――――

 件名:Re3

 送信者:倉田信也

 本文『http://ncode.syosetunarouze.com/n9193cc/

 タイトル『爆走変体メガマッチョ! イリアの異世界修練旅。』

 筆者『ツモレ』

 主人公は可憐な美少女……ですがその血に宿るとんでもない能力が災いして思いもよらない身体変化に翻弄されるお話です。親バカすぎる両親に育まれ健やかに育った少女の突然の一人旅。


 旅先でのいろんな出会いと別れがほっくりとさせた気持ちにさせてくれます。

 まぁ一度読んでください。爆笑必至です!

 感想お待ちしています』

――――――――――――――――――――――――――――――――



「送信と……」


 こういう気分の時はノリの良い明るい小説がピッタリだ。


 さて、小野寺さんが読んでいる間にオヤツでも食べようか。


「あ……?」


 新着メッセージが1件あります!


――――――――――――――――――――――――――――――――

 件名:読み終わった……

 送信者:熱血バカ

――――――――――――――――――――――――――――――――


 速読なんてレベルじゃねー!

 あの人、あのとんでもない力技以外に別の異能に目覚めたんじゃないよな!?



◆◇◆◆◆◆


――――――――――――――――――――――――――――――――

 件名:読み終わった……

 送信者:熱血バカ

 本文『母親のメリアと父親のドンのキャラクターが爽快だ!

 これこれ、こういうキャラは熱くて俺好みだわ!


 イリアも懐が広いし、クライスの出生に左右されない男らしい生き様。異世界モノはなよなよしているヤツらが多いケドこの作品はまっすぐでまじいいな!


 多分ツモレ先生も俺みたいに熱くパワーが漲っている男らしい人なんだろうな。機会があったら空手の組手でも一緒にやりたいぜ。


 やっぱり国は振り回して何ぼだ。色んな立場ってものがあろうがそれを許容できる広い心も大事だ。この作品は痛快だな、もうブクマだ、ブクマ。お前もちゃんとしとけよブクマ……評価も忘れるな!』

――――――――――――――――――――――――――――――――


 小野寺先輩……言えない……ツモレ先生はレディーなんですよ……とは言えない。

 なんなんだ、この思い込みが激しい脳筋バカが!

 でも作品を好きになってくれてありがとう。ブクマは当然してますよ、もち評価も。


 いやぁ、先輩の突きぬけに熱い感想読んでたら元気が出て来たや。

 よし配達に行こう。


 飲み友か……先輩程お酒強くないけど僕も

交友関係増やす努力をしようかな。

 そういえば青年会の会合があるって言ってたっけ……。

 たまには顔を出してみるかな。


「これも先輩流の親心なのかもな。僕もイリア同様騙されたと思ってもっと交流深めに行くか!」

もう切腹なんかでは利かないかもしれない。

パロディなんですよ、パロディ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ