主任がゆく(千文字お題小説)PART13
お借りしたお題は「WEB拍手」です。
とうとう松子は住之江博己と付き合う事になった。
イケメン三人組も祝福してくれた。
住之江の妹であるななみも彼と十年以上の時を経て再会し、抱き合って涙した。
松子はWEB拍手を何度も押したいくらい感動していた。
その足で三人は愛の店に行った。するとイケメン三人組が先に来ていた。
「もう博己君を松子さんに取られたから、ウチ、出家しようかと思いましたわ」
愛は笑顔でそんな冗談を言い、二人を祝福してくれた。
「愛さん、そらないわ。俺ら、これから愛さんを誰が射止めるか、競争するつもりやのに」
三人組のうちの阿倍野が言った。平野と鶴見が大きく頷く。愛は、
「ウチ、モテ期かな、松子さん?」
嬉しそうに言った。松子は微笑み返して、
「そうですね」
皆で大笑いし、ビールで乾杯した。
「ちょっと遅かった?」
親友の光子が登場し、松子は仰天した。
「愛から全部聞いたわよ。おめでとう、松子」
松子はまた泣いてしまった。そして涙を拭いながら、
「金魚はどうしてるの?」
「大丈夫よ、ちゃんと小倉ちゃんに預けて来たから」
小倉ちゃんとはペットショップの店員の名前である。
「凄いイケメンね、住之江さんて。松子に飽きたらいつでも空いてるわよ」
ビール三杯を飲み干して酔いが回った光子の冗談で、松子と住之江とななみが顔を引きつらせた。
数日が過ぎ、いよいよ松子が東京に戻る事になった。
そのまま居着いてしまった光子と一緒に帰るのだ。
「仕事が一段落したら、本社に報告がてら、東京に行きます」
住之江は涙ぐんで言った。イケメン三人組と愛もこみ上げる物があるのか、涙を浮かべている。
「私もまた東京に遊びに行きますから」
ななみも涙ぐんでいる。
「ありがとう」
発車の音楽が鳴り響いた。その時、住之江が松子に近づき、口づけした。
松子は硬直し、ななみが目を見開いた。三人組と愛が囃し立てる。
「待ってます」
松子はウットリとした顔で住之江に言った。
東京に戻った松子はまたパンチパーマの母親との生活に戻った。
母親に住之江の事を話すと、初めて泣いたのを見た。
「あんたは絶対に結婚できないと思ってたからさ」
松子はちょっと苦々しかったが、堪えた。
ある日、店に向かう途中、あの人事担当だった杉本美樹を見かけた。
彼女はモデルのような若い男と一緒に歩いており、松子に気づくと勝ち誇った顔をした。
(杉本さんも幸せなのね)
松子は少しホッとした自分に驚いた。
彼女の幸せはこれから始まる。
お粗末でございました。