魔法界入学試験4
街には沢山の人がいるが、獣人が居ないことに悠人は気がついた。魔法界からの説明では、たしか共生し合っていると言っていたはずなのだが、と悠人は疑問に思い懸命に探すがどこにも見当たらない。
本当のことを言うと、はじめに獣人と共生していると聞いたときは、ゾッとしていたが、その反面、会って見たいという気持ちも悠人にはあったのだ。
「キョロキョロしてどうしたんだ?」
せわしなく見えた悠人にジョンが声をかける。悠人は単調に、いや、別に、と返した。
「そう言えば、私、お二人の名前しか知らないんです。自己紹介しましょう。うん。そうしよう」
拳を振り上げて、アネ先生が上機嫌に言った。
「では、赤髪の君から」
アネ先生が急かす。ジャンは仕方なく自己紹介をし始めた。
「ええっと、名前はもうご存知と思うので、生まれからで。生まれは、人間界のイギリスです。年は、十六歳です。好きな食べ物は、カレーで、苦手な物は、イギリス料理全般です」
「へぇ~。自国の料理が苦手なんだ。珍しいね」
確か、イギリス料理はあんまりうまくないって聞いたな、と悠人は昔友達に言われたことを思い出す。
「他に、……好きなスポーツは、サッカーです」
「おっ、僕と一緒じゃん!」
悠人は、中学一年から中学三年にかけてずっとサッカー部に所属していた。自分と共通のものがあり悠人は喜悦する。まさか、こんなところでサッカー仲間に出会えるとは思っても見なかった。
「先生はそんなの知らないなぁ」
「そういうことでよろしく」
ジャンは、軽くアネ先生に会釈する。
「じゃあ、次は僕だね。生まれは、人間界の日本です。年は十五歳です。好きな食べ物は焼肉で、嫌いな食べ物は、野菜全般です。後は、好きなスポーツはジャンと同じくサッカーです。以上。これからよろしくお願いします」
悠人もジャンと同じく、アネ先生に会釈した。
「二人ともこれからよろしく」
二人の自己紹介が終わるとアネ先生も自己紹介を始めた。
「私も名前は言ったので省略しまーす。生まれは、魔法界のここ。魔法中央都市です。年は、ひ・み・つ。スリーサイズも秘密です。好きな食べ物は、男です。……嘘ですよ! そんなに引かないで」
悠人とジャンは五歩後ずさる。それをアネ先生は慌てて制した。
「アネ先生、もうわかりましたから。それよりもあれなんですか?」
ジャンが遠くの方をみてアネ先生に訪ねた。悠人もその視線の先を追って、遠くの方を見る。
視線の先には、周りの建物から孤立し、一つだけ作りが違う白い城が見えた。筒丈の白い棟がいくつも並びたち、それぞれのテッペンに付いた青い旗が風に揺らめいている。青い旗には何か描かれているのが見えたが、ここからでは遠くて悠人のは見えなかった。
「あれはね」
アネ先生はもったいぶって態と一拍間をおく。
「あなた方が通うことになるであろう学校。ミリテリア魔法学校よ。綺麗でしょ」
アネ先生が得意そうに胸を張る。悠人は学校そっちのけでアネ先生の胸を凝視する。ジャンは、これがオレの通う学校、と誰にも聞こえない声で囁いた。
「そろそろよ。あなた方のこれからの宿が見えてくるわ」
「そう言えば。どんな人なんですか? オレ達と組むことになる人は?」
「そんなに急かさない。宿についたらわかるわよ」
アネ先生は人差し指を自分の口に押し当てる。悠人は兎に角、男じゃないことを祈った。




