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誓い-Valentine Style-

作者: 那音

すとむみずみです。


本作品をお読みいただく前に、ぼくの"誓い"という作品をお読みいただくとよりいっそうお楽しみいただけると思われますので、まだの方はそちらもよろしくお願い致します。

「ねぇ、ケン! 明日なんの日かわかる?」

ケータイからは、そんなユウの声が聞こえる。

わからない、と俺が答えると、ユウは少し怒ったような口調で、

「もー、ほんとに知らないの? バレンタインだよ、バレンタイン!!」

言われて、俺は思い出した。


 俺とユウは、去年から付き合い始めた。今年中学の卒業を控えている。

ユウこと広田友子は、相変わらず僕っ子で、可愛くて、とにかく、俺はユウが大好きだ。

ユウは俺のことを"ケン"と呼ぶ。坂井健という名前からだ。

俺とユウは昔からの仲だが、ずっと"ユウ"、"ケン"と呼び合っている。


「ケンはどんなチョコが好き?」

「ユウの手作りのチョコ」

「だから、どんなの? 種類は?」

「なんでもいいよ。ユウの手作りなら、なんでも好きだ」

ユウの手作りのお菓子なら何度か食べたことがある。クッキーやケーキなど。

どれもほんとにおいしくて、俺はユウの手作りお菓子が大好きだった。

そして、ユウが今度は俺のためにチョコを作ってくれるらしい。ユウのチョコはまだ食べたことがない。

これは期待せずにはいられないだろう。

「じゃ、明日僕の家に来て。そこで食べてよ。いい、ぜっったいに来てよ?」

俺は、わかったと答えたあと、

「朝から行っていい?」

と付け加えた。

「僕から電話するから、そしたら来て」

「わかった。楽しみに待ってるよ。おやすみ」

おやすみ、と返ってきたのを確認して、俺は電話をきった。

ケータイの待ち受けには、20XX 2/14 AM00:18と表示されている。

それを見て、俺は思った。

"明日ってか、今日じゃん。"

俺はそのあと、眠れなかった。

ずっと、ユウからの電話を待っていた。


そして午前11時を少し過ぎた頃、ユウの声で

「ケン!!」

と聞こえた。

俺のケータイのユウ専用着ボイス、ユウに吹き込んでもらったものだ。

俺は電話にでた。

「え……と、チョコできたからさ、食べに来てよ」

「わかった。すぐ行くよ」

俺は支度をすると、玄関で

「ユウのとこ、行ってくる」

と言った。すると、

「お昼はどうするの?」

と返ってきた。

知らね、と答えると、玄関をでた。

ユウの家は道路を挟んで向かい。徒歩4秒。

俺はユウの家のドアチャイムを鳴らすと、その瞬間にドアが開けられた。そしてユウがいた。ここで待っていたんだろう。

「あがって、あがって」

ユウに促され家にあがると、途中でユウのお母さんに会った。

すでに俺とユウの関係は互いの親公認なので、彼女も俺に親しくしてくれている。

「あら、ケンちゃん。こんにちは」

「こんにちは。お邪魔してます」

「あら、いいのよ。あなたの家も同然なんだから。友子ったら今日早くからキッチンで……」

「ストップ、ストーップ!! 余計なことは言わなくていいの!」

お母さんがそこまで言うと、ユウは慌ててそれを遮った。

「ケン、早く二階行こ」

俺を連れて上がっていった。

ユウのお母さんが微笑みながら、ゆっくりしていってね、と言ってくれたので、俺は、はいと返事をした。


 ユウの部屋に入ると、なんかドキドキしてきた。

ユウの家には、それこそ何度もお邪魔しているが、部屋にはあまり入ったことがない。まあ、この一年で急増したが。

「チョコとってくるから、ゆっくりして待っててね」

俺を部屋に残して、ユウが部屋を出た。

階段を降りる音が聞こえた。

そして、すぐに、あがってくる足音も聞こえた。

「お・ま・た・せ」

ユウはそう言うと、部屋のテーブルに大きな皿を置いた。

そこには、いろんな種類のチョコが並んでいた。

「さっそく食べていい?」

俺が訊くと、ユウはホワイトチョコを一片つまみながら、

「いいよ」

と答えた。

「ユウも食べるの?」

「うん、一緒に食べよ?」

満面の笑顔だった。

俺もホワイトチョコを一片取った。

このあとのことはわかっている。

「はい、あ~ん」

俺が指示通り口を開けると、ユウが俺の口にチョコを入れた。そのあと

「どう、おいしいかな?」

照れながらそんなことを訊いてきた。

おいしくない訳ないだろう。

「おいしいよ。ユウが作ったのだったら、焦げててもおいしいよ」

「焦がすなんてドジ、僕はしないよ」

ユウはぷく~とふくれた。

俺は一瞬開いたユウの口に、チョコを置いた。

「おいしい?」

俺が訊くと、

「うん。ケンの味がする~」

なんてことを答えた。

作ったのはユウなんだけどな、と思った。

思ったことを口にすると、

「でも、ケンが食べさせてくれたじゃん」

と返ってきた。

その表情は、すなおに可愛かった。

「ユウ」

俺はユウを抱き締めた。

「ちょっと、ケン、待ってっ」

ユウはそう言いながらも、俺の肩をぎゅっと抱き締めてくれた。

お読みいただきありがとうございました。


大変不勉強で申し訳ないのですが、

"家にあがる"の"あがる"と、"二階にあがる"の"あがる"、それぞれどの漢字が適切でしょうか。


もしよろしければ、感想等ならびにこちらの方も教えていただきたく思います。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 二人の描写、たまらんです♡ [一言] また近い内に、お邪魔させていただきますね♪ 最近、ちょっとスランプなのですが、よかったら今度また、見に来てやってくださいm(_ _)m
[一言] どちらも「上がる」でしょうね。 えっ、ここで終わり? って感じでした。 せめてキスくらいは…WW ほのぼのしてて、いい二人ですね。 ユウかわいいです。 素敵な時間をありがとうござい…
2011/03/16 00:55 退会済み
管理
[一言] 漢字……今回も残念ながらわかりませんでした。 本当にすみません。 ひとつひとつの場面の説明が丁寧ですね。 読んでいてとてもわかりやすかったです。 お粗末な感想すみませんでした。
2011/02/19 19:34 退会済み
管理
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