悪役令嬢のメイド~普通だけど普通は嫌じゃーないですか?メイドが成り上がった話
「ねえ。リディア、殿下はまだ自分を王子として扱えと言うの・・・どうしたら良いかしら?」
「えっ?」
私はリディア、メイドじゃーない?ただのメイドじゃーない。
普通のメイドじゃーない?少し可愛くて村娘にしては少し可愛くて賢いだけで。
普通だけど普通と思われたくないいたって普通の思春期の村娘16歳じゃーない?
今は王宮の貴族牢の前にいる。
立派な部屋だが、王子は不満らしい・・鉄格子から声が聞こえる。
「我は王子であるぞ。何だ。この食事は!コース料理にしろ!」
「あたしは公爵令嬢よ!メイドと従者を用意しなさい!」
同じ部屋には、お嬢様の義妹のスザンナ様がいる。結婚するのか・・。
そうだ。村には兵士のお爺ちゃんがいた。いつも威張っていた。
しかし、定年退職して兵士の制服を脱いだらクソジジィから普通のジジィになった。
「お嬢様、王子の服を平民服に変えたら如何じゃーないですか?」
するとお嬢様は。パアと顔が明るくなって両手を胸の前でポンと合せた。
「さすがだわ。リディア、すごいわ。王宮に一緒に上がれるわ」
「ちょっと!お嬢様、何の知恵を働かせておりません!」
何でか、普通でいたいのに、普通でいられなくなった。
私は少し可愛くて賢いだけの村娘だった。
☆☆☆回想
私には弟妹がいる。
いつも弟と妹は泣きながら。
「姉ちゃん!お腹腹減った」
「姉ェー!お腹空いたわ」
お腹減ったと大合唱じゃないですか?
「こら、ハンス、マリー、草を食べちゃだめだわ!」
ええ、ですから、村にある唯一の学校で猛勉強をして。
「リディア、王都のメイドに推薦したぞ」
「やったー!」
そして、運良く公爵令嬢様のお付きのメイドになったじゃーないですか?
ええ、お嬢様には4人ついて、私は5人目の見習いで、ベッドメイキングや掃除をするじゃーないですか?
「リディア、お使いに行ってきなさい」
「はい、先輩」
先輩のお使いに行ったり。
お給金を実家に送ったり。
イケメン使用人いないかな。
それとも騎士が良いかな。
と探して。
それとも男は顔じゃなくて金かなと悩んでいたら。
何かお嬢様の婚約者の王子とその側近の貴公子達がお嬢様の義妹にご執心し始めた?
旦那様と奥様も同じ家だから何とも言えない。
度々お嬢様が義妹に注意する現場を目撃するようになった。
「スザンナ、少々殿方に近くない・・かしら」
「まあ、お義姉様、挨拶しただけですよ」
王家は黙認、お嬢様の力量を見る?
はん?どうでも良いわ。
天上人の恋だの惚れただの。
しかし、先輩達は義妹の方に行きたがった。
「リディア、私はスザンナ様のお世話に行くから貴女、お嬢様にお茶を入れて」
「はい」
私にも仕事のチャンスがやってきた。
4人いた先輩は義妹の方に行く。何でも王子の寵愛を得たそうだ。
あたしはどうでも良いじゃーないですか?
「お嬢様、お茶をお入れしました」
「そう・・貴女しかいないの?」
「さ、っさああ、先輩方は、ほら、実家の用事とか、奥様とかの方にいったかも・・ほら、王都上空に怪鳥とワイバーンの空中戦が起きたみたいですよ」
誤魔化せ。先輩達は義妹の方に行って出世しようとなんて。
何とか誤魔化そうとしたけど誤魔化せたみたいだ。
「そう、もういいわ。貴女の名は」
「はい!リディアじゃーないですかぁ!」
その頃から名前で呼ばれるようになった。
村の仕事に比べたら楽でお給金が良い。
今のままで幸せじゃーないですか?
このままひっそりと暮らしていけるようになればと思ったけど・・・
ある日、学園までお付きで行ったらお嬢様、断罪されやがった。
☆☆☆
「アルテシア、婚約を破棄とする!愛すべき義妹スザンナを虐めたと聞いたぞ!」
ええー、お嬢様、断罪されているじゃーないですか?
私はお嬢様の後ろで指を差す王子を肩越しに見ている。
ワナワナ震えるしかないじゃーないですか?
「殿下、それは全て証言ではありませんか?」
「お義姉様付のメイド達の証言よ。観念して下さい!」
仕事がなくなる・・・
余ったお茶菓子を頂けなくなる。
まさか・・・
「そこのメイド、君もアルテシアの被害者か?」
私に話しかけられたじゃーないですか?
「・・・そこの王子様、おかしいじゃーないですか?お嬢様は意地悪そうな顔ですけど!いたって普通ですよ。
義妹君には、ヤリマン過ぎるなと警告していたじゃーないですか?」
「な・・・。ヤリマン・・」
「ええ、不特定多数の男性と性的関係を持つことじゃーないですか?!」
「ヒィ、殿下、嘘ですわ!」
「ほら、ほら、殿下の側近の方々、思わず腰を引いているじゃーないですか?!」
「ちょっと、リディア・・お黙りなさい」
「お嬢様、良いから、ほら、お嬢様はこんな場面でも義妹の名誉を重んじているじゃーないですか?」
「「「黙らせろ!」」」
「バーカ!バーカ!やるんか、チンチンでしか考えられないクソ王子と貴公子たち!コラァ!蹴ってやるじゃーないですか?」
「うわ。本当に蹴りやがった!」
「ちょっと、リディア!チン蹴りはやめて差し上げて!」
ええ、やけになりました。
どうせ失職するのなら、もうね・・・結局学園の騎士科の学生に取り押さえられました。
そしたら、お嬢様が貴族牢に行くかと思ったら、行かなくて。
逆に王子が貴族牢に入ったじゃーないですか?
お嬢様は、誰か知らない年上の殿方との隣にいるようになった。王族らしい。
「ねえ。リディア、殿下はまだ自分を王子として扱えと言うの・・・どうしたら良いかしら?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「とにかく、先輩達は失脚、16歳にしてメイド長候補になったじゃーないですか?」
どうする。お給金を挙げられるのは嬉しいが・・・ここらで潮時か?
と思ったが・・・
「姉ちゃん!」
「姉ェ姉ェ」
弟妹が王都に来たじゃーないですか?
父、母も来ている・・・?
「どうしたの?ハンス、マリー」
「お嬢様がね。観光に連れて行ってくれたの~」
「お嬢様がすごいごちそうを食べさせてくれた。お腹減ってない」
既に弟妹を囲われたか・・・
もう、逃げられないじゃーない?
私は先輩達を跳び越えて・・・
「リディア、ドレスよ」
「ヒィ」
レディースメイドになった。
知らないうちに男爵家の養子になって、お嬢様のご学友になってしまった。
しまったじゃない。普通だけど普通でいたくない状態になったじゃーない。
最後までお読み頂き有難うございました。




