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改『リディアの魔法学講座』~あなたたちを魔法が使えるようにしてみせる~  作者: 高瀬さくら
2.大学講義編

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18.授業後半

「先生。以前習った魔法相関図は、六角形で示されていましたが、これは内部に(アスタリスク)があります。なぜですか?」


 魔法の属性系統は六角形で関係が示される。それを魔法相関図という。


 六角形の頂点の一角を“風”としそこから右回りで各角に、“風・水・木・火・土・金”と置かれ、隣の属性(角)に右回りで影響を及ぼすとされている。風は水(雨)を降らせる、水は木を育てる、木は火を生む(燃やす)、火は土をならす、土から金は生じる、金板は風を作ると言われている。


 これは、彼らが今まで習ったこと。ただ今回リディアが示した図には六角形の内部にアスタリスクがあり、その線は六角形を貫いている。こんな物は見たことがないと、ざわついている。


「確かに魔法相関図は六角形で示されます。でも、その理由はまだ解明されていません。過去の黄金時代から形だけが伝わったものですから」


 そこで、とリディアは手製の魔石盤を示す。


「ただ、このアスタリスクを内包している図も、数年前に見つかっています」


 それを載せている教科書も文献もありますが、正式に認められていないのは学会が定めていないから。

 眉をひそめるキーファに、凝視するウィル。皆、興味がありそうだ。


「この魔石盤には六角形が描いてあります。まず、その角に右回りで相応する魔石を置いていますね。これで、六属性はすべて埋まりました。ただ、アスタリスクから伸ばした上下の線は六角形の線上には何もありません」


 興味を引けている、よかった。


「魔法相関図は六角形というのが以前からの説。けれどこの最近ではこの上下の線上に“生”の魔法、対極の下向きの線は“死”の魔法、そのように説明している研究者もいます」


 見渡すとみんな真剣な顔。自分は以前、生の魔法を使えた。それは相関図のどこにも属していない。だからこそ、それ以上の魔法があると自分は説明ができるのだ。


「先生、そうなると魔法相関図は魔法属性ではなく魔法そのものを示しているのでしょうか? それに上下の魔法がそうだとしても、他の線上は何があるのですか?」


 そもそも、とキーファは言う。


「生と死ほど大きな魔法は、六属性とはレベルが違いすぎる。この図にあてはまるのでしょうか?」


 キーファにリディアは頷く。


「そうです、本当は魔法相関図は属性ではなく魔法ともいう研究者もいま。またこのアスタリスクの線を結べば、二重の六角形ができる、またはこの形が正しいとも言う者もいます。生と死ならばそれと同等の『知られていない魔法が他にもあるのではないか』とも考えられます」


 学問の世界では、常にそれぞれの主張をする研究者がいるから、統一見解は出されにくい。


「とはいえ、魔法省の定義では現在はまだ、六属性説を採っていますし、国試にも六角形の説が出ますので、皆さんはその魔法相関図を覚えてください」


(すごく古い考えだけどね……)


 現場では、もう六系統ではなく更に上位魔法があるというのが定番説だ。

 このあたりは、基礎魔法では教えないので、みんなふーんとあまり実感がないなという顔で聞き入っている。


「皆さんの選択した境界型魔法領域、というのは、まさにこの知られていない魔法を研究する領域と考えることもできるのだけど。興味ない?」

「え!?」


 と、声を上げたのは、チャス。

 キーファも、ウィルもこちらを見ている、ただしウィルはこっちを睨みつけているように見えるんだけど……。


 うちの領域の境界型魔法は何を含んでいるかは、全く明言されていない。

 けれど六系統以外の部分じゃないかとリディアは考えている。

 

 エルガー教授に「この領域で示す境界型魔法ってなんですか」、と聞いたら「それを決めるのは私じゃないわ、魔法省よ」と言われたけど。


 あなたの設立した領域ですけどね。

 研究者って何らかの仮説を自分で持っているものだけどね……。


「俺のって、完全に枠外って言われてんだけど? 魔法でさえもないって」


 疑わしい眼差しのチャス。

 彼が使える唯一の魔法は特殊だ。『周囲の魔法を完全無効化してしまう能力』だと聞いた。

 

 そのせいで、彼は許された環境、状況下以外では魔法を使うことが禁止されている。

 普通の授業、普通の生活上では、一切発現禁止。

 彼の魔法は、何であるかわかっていない。

 そのため施設で研究協力を行い、その時だけ使ってみせていると聞いている。


「解明されていない魔法が四つもあるのよ、もしかしたらそれだけではないかもしれない。そこにあなたの魔法が何であるか、判明する糸口があるかもしれない」


 チャスは何かを言いかけて、けれど口を閉じる。

 普段軽い口調の彼だが、自分のことだし、本当は複雑な思いをもっているのかもしれない。


「今回それを示したのは、この世界にはまだ知らない魔法があるということ。そして今日は、この魔石盤で皆さんの得意属性を、可能性を見るためです」


 そして、リディアは皆を見渡した。


「――というわけで、各自測ってみましょう」


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