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地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!  作者: あざらし かえで
第三章 自分のこと、これからのこと

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57.夜景の前で

 暫く車を走らせてくれている間、私は都内の景色を楽しみながら、色々な話をした。

 私が施設にいたころの話とか、逆に氷室さんの子どもの頃の話とか。

 少しずつ相手の人となりが分かっていくのは嬉しいし、もっと知っていきたい。


「どこに向かっているんですか?」

「場所は地味な感じで普通だが、その場所から見える夜景が綺麗らしい」


 走らせているうちに次第に外は暗くなってきた。

 十九時過ぎだから、そこまで遅くならずに着いたみたい。


 駐車場に車を停車させると、目の前にはキラキラと光る橋が見えた。


「ライトアップされていて、綺麗ですね」

「車内からも眺められるのが良いと言っていたのを思い出した。外に出たければ出ても構わないが」


 氷室さんが横を向いて、私に訪ねてくれる。

 少し迷ったけど、私は首を振った。


「大丈夫です。出たくなったら出ますけど、今はここで。氷室さんこそ、都内の運転は疲れませんか?」

「まあ走りづらいが、そこは慣れだな。このくらいなら問題ない」


 氷室さんの運転は性格通りの運転というか無茶な走りはしないし、模範的な運転だった。

 私もあまり車に乗らないから分からないけど、少なくても怖い運転じゃなかったし。


「でも、社長ならこの場所を勧めてきそうですね。分かる気がします」

「ああ。アイツは好きそうだな。でも、悪くないな」


 氷室さんも眼前に広がる景色を眺めてフッと笑う。

 橋も綺麗だけど、高層ビル群も一面に広がっていて良く見える。


「普段はあまり気にしないけど、改めて見ると夜景っていいですよね。静かな自然の風景も勿論素敵ですけど」

「そうだな。我々が普段いる場所だと思うと余計にな」


 静かに景色を眺めていると、時間を忘れてしまいそうになる。

 明日もお仕事だから、そこまでのんびりしている訳にもいかないんだけど。


「夕飯のことを考えていなかったな」

「今日はコンビニで買って帰ろうかなと思って。氷室さんは夕飯どうするつもりですか?」


 私が適当に言ったのに、氷室さんは真に受けて一度真面目に考えてくれる。


「そうだな。私も簡単に済ませることにする。知っているとはずだが、普段から高級な店で高級な料理を食べている訳ではないからな」

「そうですね。氷室さんは庶民的なお店にも行くし、ラーメンや牛丼もお好きなんですよね」


 クスクスと笑っても、嫌な顔一つせずに微笑してくれているのが、少し前とまるで違う。


 恥ずかしいけど、愛の力って凄い。

 私もあれだけ氷室さんと一緒にいるのは嫌だなって思っていた気持ちが吹き飛んじゃったし。

 今は一緒にいられると安心で嬉しくなっちゃうんだから。

 

 今、この瞬間が。

 浮かれ期間っていうことなのかもしれない。

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