46.レトロな喫茶店で
連れてきてもらった喫茶店彩は、昔ながらの喫茶店といった佇まいで、カウンターと幾つかのテーブル席があるこじんまりとしたお店だった。
この時間は読書をしているお年寄りくらいしかいなくて、店内も静かで落ち着ける感じがする。
「何だかレトロなお店で素敵ですね」
「いつも考え事をしたいときや、静かな時間を過ごしたいときに来る場所だからな」
氷室さんにとっての憩いの場なのかもしれない。
私と一緒で大丈夫なのかなと思ったけど普通にメニューを勧めてくれたし、いいって思ってくれてるのかな?
「どうしよう……ウインナーコーヒーとオムライスにしようかな」
「お腹が空いているのなら、オムライスはオススメだ。私もたまに食べる」
オムライスのイメージが全くないんだけど、食べているところを想像したらほのぼのするかも。
「私をどういう目で見ているかは知らないが、好き嫌いは特にない」
「そうなんですね。良いことじゃないですか。美味しくご飯を食べられるのっていいと思いますよ?」
笑いながら注文を取りに来てくれたマスターに私の分の注文を先に伝える。
氷室さんはブルーマウンテンとナポリタンを頼んでたから、食べるのに付き合ってくれるみたい。
「お話は……のんびりで大丈夫ですか?」
「真剣というほど真剣でもないんだが、静かなところで話したほうがいいかと思ってな」
お店の中をキョロキョロと見回していると、コーヒーの良い香りが漂ってくる。
淹れたての香りは香ばしくて、気持ちを落ち着けるにはピッタリだ。
「小鳥さんも、楽しんでくれているようで安心した」
「え、あ……変な顔してました?」
私が慌てると、いや、と微笑した氷室さんがゆっくりとコップを手に取って水を飲む。
そういう仕草もキビキビしているというか、絵になるのが不思議。
姿勢がいいからかな?
観察していたのがバレてしまって、思いっきり目が合った。
「そんなに見られても困るのだが……」
「つい……絵になるなって思って……」
返事をしてから、思っていたことをそのまま言ってしまった事に気がついて固まる。
言われた氷室さんも困ったように視線をそらしてるし!
何言ってるんだろう、もう!
このタイミングで運ばれてきたコーヒーに感謝するように、慌てて白のシュガーポットに手を伸ばす。
「あっ……」
取ろうとした私と、取ってくれようとしてた氷室さんでお互いに手がぶつかった。
いや、なんでそんな少女漫画みたいなことしてるんだろう?
普通に気恥ずかしくなって、パタパタと手で顔を仰ぐ。




