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メモリー  作者: tko
3/4

子連れのレディー③

レディは、ドーザーの言葉を聞き、グラスの中の酒を軽く揺らした。


「賞金首の護衛ねぇ……」


「そういうことだ」


ドーザーはニヤリと笑い、指を軽く鳴らした。


すると、部下の一人が立ち上がり、店の奥に消えていく。


数瞬の沈黙の後、重い金属音とともに裏口の扉が開く。


そこから連れてこられたのは、痩せた体に薄汚れたコートを羽織った男だった。

手首は後ろ手に拘束され、顔には擦り傷と疲労の色が濃く刻まれている。


それでも、その目には強い意思が宿っていた。


「こいつが、今回の護衛対象か?」


レディがじっと男を見つめると、男は静かに頷いた。


「……アレック・シェルマン」


「で、何やらかした?」


レディが尋ねると、ドーザーの部下が苦々しい表情で答えた。


「ナクシス南部の施設から抜け出したらしい。重要な情報を持ち出したとかで、色んな奴らが探してる」


「なるほどね」


レディは興味なさげに鼻を鳴らす。


「つまり、こいつを無事に届ければ、約束の報酬がもらえるってことか」


「そりゃそうよ」


ドーザーは肩をすくめた。


レディは少し考え込んだ。


五万クレジットは悪くない。

だが、こういう話には決まって裏がある。

それに──


「どうした?」


ドーザーがニヤニヤと笑う。


レディは鼻で笑いながら、軽く顎をしゃくった。


「いいぜ、やってやるよ」


「決まりだな」


ドーザーが満足げに頷いた、その時だった。


遠くでかすかな閃光が走る。


次の瞬間──


「伏せろ!」


鋭い音が響き、店の窓ガラスが弾け飛んだ。


レディはカイルの腕を掴み、素早く身を屈める。


背後で何かが砕け、ガラスの破片が床に散らばった。


「くそっ……やっぱり来たか!」


ドーザーの部下が叫ぶ。


レディは素早く状況を確認する。


店の外、影が複数動いている。


「追っ手か?」


「間違いねぇ」


レディは微かに笑い、腰のホルスターに手を伸ばした。


「カイル、下がってろ」


「……」


カイルは無表情のまま、静かに状況を見つめていた。


レディは短く息を吐くと、素早く駆け出す。


敵の一人が何かを構えたが、その瞬間、レディの蹴りが武器を弾き飛ばしていた。


銃を奪い、すかさず相手の動きを封じる。


「くっ……!」


さらに、別の敵が接近する。


レディは身を翻し、相手の動きを封じると、手首を固定し、反撃を封じた。


その隙に、カイルが静かに何かを拾い上げる。


しかし──


「カイル!」


レディは素早く彼の腕を掴む。


カイルの瞳には、計算された冷たい光が宿っていた。


──違う。


レディは、それがただの子供の目ではないことを本能的に察した。


「下がってろ」


短く言い放つと、レディはナイフを蹴り飛ばした。


敵の一人が拾おうとするが、その瞬間、レディの素早い動きが先に出た。


「甘いね」


彼女は瞬時に動き、相手の腕を捉え、体勢を崩す。


残りの敵たちは警戒しながら距離を取った。


レディは軽く息を吐き、彼らを睨む。


「さて、どうする? まだやるか?」


追っ手たちは互いに視線を交わす。


そして──


「……撤退だ」


静かな声とともに、影たちは闇の中へと消えていった。


レディはタバコを取り出し、火をつける。


「やれやれ……」


紫煙を吐き出しながら、カイルの方を振り返る。


カイルはレディを見上げていた。


「……終わり?」


「ああ」


レディは短く答えた。


「仕事の続きだ。行くぞ」


シェルマンを連れ、レディとカイルは夜の中へと歩き出した。


二つの衛星が、静かに彼らの道を照らしていた。

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