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勝手に魔王認定された魔女は勇者に魔力を奪われたので取り戻すために旅をする~なお500年経っても魔力は戻っていない~  作者: 山岡桃一


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クレナイの行動

「……うーん……なかなか変化が進まないのですが、失敗したのでしょうか?」

 アリスは進まない変色に不安を見せているが、これで失敗だと判断するには早計も早計。

「変化が常に一定とは限らないからな。

 よく観察すれば変化の法則がわかるだろうが、今は待つだけだ。魔導関係は忍耐が必要だからな。

 料理だって煮込めば煮込むほど美味しくなるものだってあるだろう? それと似たようなものだと思えばいい」

 全然関係ない話ではあるが、とりあえず料理の話を出しておけばアリスは納得するだろう、と思っている私。

「手間のかかる煮込み料理を食べたことがないのですが……

 あ、煮込み料理といえばカレーを食べてみたいのですが。漫画では基本的に美味しいと表現されることの多い料理ですし」

「確かになぁ……」

 たまにアレに似ていると表現されることもあるが……

「ではこの仕事が終わったら評判のいいお店に食べに行こう」

「本当ですか? やったぁ。

 ……というか、ルシアさん。少し離れすぎでは……?」

 アリスが喜んだのも束の間。私の位置に気づくと、すぐに不安そうな表情に戻る。

 さすが危険に敏感なだけはある。

「心配するな。

 離れたのは私の持っている魔術にクレナイの栄養吸収能力の影響が出ないよう、念のためだ。

 ちゃんと警戒はしているから心配はするな。

 それに、万が一にも手持ちの魔術が全て使えなくなるような事態に陥れば」

「そっか……困りますもんね」

「泣く」

「え?」

「アリスが引くくらい号泣すると思う」

「そ、そうなんですか?」

「あぁ。魔術というのは魔力を装填したり送り込めば使えると思っているかもしれないが、内部に組み込まれた術式が稼働するから魔術としての役割を果たすんだ。

 仮にクレナイが内部術式の魔力も栄養とみなして吸収するようだったら、全ての魔力が奪われなくても機能に影響が出る。

 知っての通り、私の所持している魔術は市販のものもあるが、私がそれを改造したものや自作したものの方が多いからな。

 さらには高額の魔術だってある。

 その全てが使えなくなったら泣く。号泣だ」

「わ……わかりました……では私はがんばって……ん?」

 アリスは私の力説を理解してくれたようで、素直にクレナイの観察に戻ろうとするが、そこで何かに気づいた様子。

 それを見て私はクレナイの様子を見てみるが、蜜部分はまだ変色が完了しておらず、緑部分がまだ半分程度残っており、相変わらず動こうとはしていない。

「ひっ!? なっ!? ちょっ!? ルシアさん!! 足!! 足になにかああああ!!」

 突如アリスが慌てふためき叫び声をあげたので、私も慌ててアリスの足元に視線を向けると、草に覆われて見づらいが、アリスの足元から現れた緑色の触手のようなものがアリスに絡みついていた。

「ひ……あ……ふぎゃ……」

 アリスは必死に逃げようとするが、時すでに遅し。

 触手はアリスの足に完全に絡みつき、逃げようとしたアリスは足を取られて転倒してしまう。

 ……やっぱり他人主導だとアリスの豪運は発動しないどころか、転倒してダメージを負うという不運に見舞われている。

 さらに言えば、本来ならあそこで絡まれているのは私だから、アリスは私の身代わりになっている状況だ。

 やはり、アリスの豪運が発動するのはあくまでもアリスが考えた行動によるものだけか。

 例えばアリスに買い物を頼んだ場合でも、私に頼まれた行動、なので、アリスセンサーは無効化され、豪運も発動しない。

 もしそうだとするとアリスの重要な能力の一つを失ったことになる……

 まぁその検証についてはこの仕事を終えてからにして。

 あの触手のようなものは、おそらくクレナイの根だろう。獲物に気づかれないよう、地中を進んでいたんだな。

 見る限りでは獲物を絞め殺す目的ではなさそうだが、植物、ましてや魔導植物ともなれば、その根を身体強化魔力を使用しない素手で引きちぎるのは、よほどの馬鹿力でなければ不可能だ。

 なので、アリスは若干抵抗は見せているものの、触手は段々とアリスの全身に絡まっていき、若干エロい雰囲気を出してしまっている。

 これは事故なのか、あるいはあえて伏せていたクレナイの行動なのか。

 前者なら農園側に慰謝料請求だが、後者ならこれが素人を募集した目的なのかもしれない。

 これを撮影して売ればそれなりの稼ぎになるだろうしなぁ。男性ものだって好きな人には売れるだろうし。

 そのための18歳以上。アリスの見た目はヤバすぎると思うが……なんてバカなことを考えていないで。

 この状況で考えられるのは、クレナイの本当の栄養は人間そのもので、タンクに入っていたのはおびき寄せるための魔力。

 食事の内容が肉なのか魔力なのかはわからないが、後者なら『生命体から魔力を奪い取る魔力』という可能性が出てくる。

 そうなれば何がなんでも丸ごと持って帰るのだが……

 とりあえず、結果を確認するため観察していてはアリスを放っておくことになるので、アリスの私に対する信用を失ってしまう。

 まずは助けるとしよう。検証はそのあとだ。

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