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勝手に魔王認定された魔女は勇者に魔力を奪われたので取り戻すために旅をする~なお500年経っても魔力は戻っていない~  作者: 山岡桃一


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『食物魔法』の条件

「アリスは身分証を持っているか?」

「いえ、持っていません」

 だろうな。

 現代の魔女の難題でもある身分証。

 昔のようにセキュリティが緩いどころか、そもそもそんなものはなかった時代とは違い、今は魔術でガッチガチの時代で、偽造魔術、偽造魔法を使えば、即バレからの即逮捕。

 私のように常日頃から研究していたり、魔力の研鑽を怠らない魔女ならまだしも、ひっそりと魔法だけ使って暮らす魔法至上主義魔女では、現代のセキュリティを突破できる偽造魔法は不可能だ。

 そのため正規の仕事には就けず、闇バイトですら身分証の提示を求められるため、お金を稼ぐためには実力がものをいう、いわゆる『裏』の仕事に就かざるを得ない。

 しかしその世界では高確率で魔女狩りと鉢合わせるため、バレたらアウト。魔女裁判行きだ。

 まぁ裏の仕事って『現代の魔女狩り』ともいわれたりするからなぁ。よっぽどバレない自信がない限り、魔女は近づこうとはしない。

 500年前、私の魔術研究をバカにした魔法至上主義のやつら。生きていたら貧困に苦しみ、みすぼらしい姿で生活してるのかなぁ。

 そんな魔女たちを、私は当然助けてやるつもりはない。私、結構根に持つタイプなんだよなぁ。

 いい気味だ。

 さて、偽造といえば。

「食べ物を作る魔法……今後は『食物魔法』とでもいうか。それの応用で身分証を作り出すことはできないのか?」

 もしこれが可能で、精巧かつ同等の機能が備わるのなら、私は今後、研究用魔術を持ち歩く必要がなくなり、いつでもどこでも大掛かりな研究及び実験を行うことができる。

 期待に胸を膨らませ、アリスの答えを待つ。

「身分証はずっと持っていなかったので試せなかったのですが、昔、拾ったお金を作ろうとしましたが、全く上手くできませんでした」

 ……がっかりな答えが返ってきた……しかしまだ諦めない。

「それは形が歪になるとか、どこかが違うとか、見てすぐ偽物だとわかるようなものか?」

「いえ、作ることそのものができませんでした。

 なので私の魔法はあくまでも『食べ物を作り出す魔法』であり、作れる条件は『私が食べ物として認識して食べた物』に限るようです。

 なので服やお金が必要な時は、落ちているものを拾う必要がありました」

「……なるほど」

 残念ではあるが、納得のできる答えではある。

 1つのものに特化したものであればあるほど、より強力な効果が期待できるのは、魔法も魔術も同じだ。

 私のスナイパーライフルだって攻撃に特化させれば、今の倍ぐらいの威力は出せるが、時代がそれを許してくれない。

 なので、大手を振って武器を所持できた時代のほうが威力は高かったのだ。

「では、例えば衣類を食べ物だと認識して食べれば、その衣類を作り出せる、と?」

「……条件的には可能かもしれませんが、認識できません……」

 私の提案は早速アリスから信用を失うレベルで、ドン引きされてしまう。だがここはあえて更に踏み込んでいく。

「間違えて口に入れてもダメか?」

「……あの……何をさせようとしているのか聞くのも怖いですが……あくまでも『食べ物と認識した物』だけです……」

 うーん……いい案だと思ったんだが、これ以上は逃げられるかもしれないから、ヤメておこう。

 それと一応フォローをしておこうかな。

「怖いこと、というか、怖いことを避けるための確認だな。

 例えば、明らかにお菓子で作ったとわかる衣類があるとする。それなら食べ物として認識できるだろ?」

「それは……そうですね」

 アリスは少し考えるも、納得はしてくれる。

「アリスの食物魔法の条件は『食べ物として認識できる物』だが、それを『一口で食べなければならない』というわけではなさそうだ。

 それを踏まえた上で、衣服型お菓子、さらには人形型お菓子も食べておけば、緊急時には少しでも時間稼ぎができるようになる」

「あ、なるほど……考えたこともありませんでした」

 よし。アリスの機嫌を軌道修正できたな。

「暗闇では衣服を棒に引っ掛けて振っただけでも、ある程度は注意を引くことができる。だから身の安全のため、試してみる価値はあると思う。

 それに、魔法を使うことに慣れてきたら、より精巧な、それこそ本物と間違うレベルの衣類型お菓子を、食べなくても作り出すことができるかもしれない。

 そうなると、さらにアリス自身のレベルアップが見込め、アリスが思っている作成条件及び作成できるものの幅が広がり、食べ物以外も作り出せる可能性もある」

「……わかりました。せっかくルシアさんが魔法を教えてくれるというのですから、私も頑張ってみようと思います」

「あぁ」

 アリスはそう言って、胸の前で両の拳をぐっと握る。

 見た目と相まって可愛らしい仕草だとは思うが……真の魔王レインジ以上の才能を持つ上位魔女に魔法などを教えて、魔力だけでなんでもできるようになり『新たな魔王』として覚醒しなきゃいいけど……

 まぁ私の調教……教育次第かな。

「あ、でも、特訓と言って本物の衣類に味付けをしたものを食べさせないでくださいね。

 喉を通らなければ食べた判定にならないので、無駄ですから」

「お、おぅ……当たり前じゃないか……」

 試してみようと思っていたが、見抜かれたのか勘がいいのか……

 でも近いうちに、衣類型お菓子は試してみよう。

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