表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勝手に魔王認定された魔女は勇者に魔力を奪われたので取り戻すために旅をする~なお500年経っても魔力は戻っていない~  作者: 山岡桃一


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/151

今夜の宿泊場所

「でも私、本当に食べ物を作る魔法しか使えませんよ?

 それにお金を稼ぐ方法もなく、たまに拾うことがあるだけで。

 なので私はルシアさんの足手まといになると思うのですが、本当にそれでいいんでしょうか?」

 お金に関する知識があるのなら、極端な世間知らずというわけでもないか。

 漫画に突っ込んでもしかたないかもしれないが、たまに見かけるお金持ち描写。

 売り物を勝手に持って行くなんて、世間知らずというか、常識知らずにもほどがある。

 どんな教育を受けて育ってきたんだ、という疑問よりも、そのように育てた教育係の責任が問われると思う。

 もはや坊ちゃん嬢ちゃんではなく、ただの野生児だ。

 やっぱり漫画は漫画。

 それはさておき。

 最初は自然な流れで魔力を使わせてもらい、徐々に徐々に使用魔力を増やしていく予定だったが、アリスの方から話を振ってくれて助かる。

「ふむ……

 では私の魔導研究のために、少し魔力を貸してくれないだろうか?

 食べ物を作る魔法を連続で使用しても疲労をあまり感じないのなら、それは才能だ。

 私としては大変助かる。

 もちろん強制するつもりはない。それでも約束通り、衣食住の保証はするから安心してくれ」

 まだほんの少ししか話していないが、無償で村人を助けるアリスだ。

 私がいじめたりしない限り、多分断らないと思う。

「は、はい。そんなことでよければ、ぜひ協力させてください」

 ふふ。やはり読み通り。

 アリスは私の提案に嫌な顔をみせないどころか、即答な上に頑張って役に立とう、という意思すら見える。

 ふひっひっひ……やったぜ……

 それでも最初から調子にのって全開使用は避け、まずはアリスが苦しいと思わない程度の使用に止める。

 そして私との仲がより親密になったところで……10年後ぐらいを目安に……大掛かりな魔術を使用した研究を行おうか。

 楽しみ楽しみ。

「ありがとう。

 では早速今日の宿泊場所へ、と言いたいところなのだが……

 いきなりで申し訳ない。

 実はその宿泊場所がある町へ移動するバスがもうないし、タクシー(一般乗用旅客魔導車)も、このような田舎町だとあまり期待できない。

 なので町まで戻って寝床を探すよりも、今夜はここで一晩明かした方がいいかもしれないのだが。

 私も旅が長いのでこのような生活に慣れているし、補修魔術も使用できる。

 それにアリスが気になっているカップラーメンもある。

 どうだろうか?」

「い、いいんですか?

 私、一度食べてみたいと思っていたんです」

 そう言うアリスの目が輝いていた。

 カップラーメンでこれほど喜んでもらえるとは。高級レストランとかに連れて行ったら気絶するんじゃないだろうな?

「もちろん構わないさ。

 今は非常食分しか持っていないが、好きなだけ食べてくれていいぞ」

「あ、ありがとうございます。

 わぁ、ルシアさんと仲良くなれて早速いいことがありました。

 流れ、変わってきてますね」

 いきなり約束を反故したことで機嫌を損ねるかもしれない、と様子見で提案してみたが、アリスはすんなり受け入れた。

 もしかすると、意外と前向きな性格であるため、運も味方についていたのかもしれないな。

 というか、こんなことで機嫌が良くなるのに、本当に今まで無事だったのか?

 お菓子につられて、怪しい人について行ったことがあるんじゃないのか?

「では、どうぞ」

 上機嫌なアリスはそう言って、蝶番の外れたガタガタのドアを開け『自宅』に招き入れてくれる。

 対して私は、まだアリスの演技と疑ってはいるので、罠などを警戒しつつ小屋の中へ入る。

 小屋の中は外から見てある程度わかっていたが、中に入ってみると、綺麗にされていることがよくわかる。

 部屋の中央には自作なのか、木で作られたガタガタな小さなテーブルと椅子が設けられている。

 それと外からは見えなかったが、奥にも部屋があるようで、こちらも蝶番が外れてドアが傾いている。

 これぐらいの広さがあれば魔導研究所として十分使えたんだがなぁ……

 あの変態のせいで……と、いつまでも悔しがってはいられない。

「あれ? 灯りなんてなかったはずですが……」

 中に入ると、アリスは転がっている照明魔術に戸惑い、足が止まる。

「あぁ、それは私が中を調べるために放り込んだんだ。

 ちょっと待っていてくれ」

 私は転がっている照明魔術を拾うと、窓際にちょうどよく引っ掛けられそうな出っ張りがあったので、そこに吊るす。

「おぉ。明るいですね」

「これだけで生活がまともな気がしてくるだろ」

「そうですね」

 アリスはすぐに人と仲良くなれるタイプなのか、私に臆することなく接してくる。

 何度も思ってしまうが、よくそれで今まで無事だったな。

 悪人以下略……

 次に窓の上下に棒状の魔術をセット(木材に対して食いつく仕様)し、起動。

「それはなんですか?」

「これはな、薄型魔力防御で、雨風虫の侵入を防ぐことができる魔術だ。

 さらに外からは中の様子は見えないが、中からは外の様子を見ることができ、魔力フル装填で大体12時間稼働できる。

 これと同じものを玄関に設置し、次に圧縮魔術で小さくしていたラグマットを広げる。

 そんな感じで、私はパパっと野宿用魔術を展開し、あっという間に快適空間の出来上がりだ。

「凄いです。もう普通の家と変わりませんね」

「これが私の魔術経験値ってやつだよ」

 これに加えて研究用魔術を用意すれば、簡易魔導研究所の完成だ。

 長期間暮らす場合には、もうちょっと凝った作りにして、生活魔術も用意しなければならないが、今夜だけならこれで十分。

 これで落ち着ける環境が整ったので、次はシャワーを浴びる。

 どのような環境であっても、綺麗な肌は乙女の義務だ。

 例え張り込みをしなければならない状況でも、スキンケアは欠かせない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ