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勝手に魔王認定された魔女は勇者に魔力を奪われたので取り戻すために旅をする~なお500年経っても魔力は戻っていない~  作者: 山岡桃一


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垂涎の的

「喜んでくれてよかったよ。

 ところで、君はここで生活をしているみたいだが、どういった事情が?

 あぁ、話したくなければ無理にとは言わないが」

 とは言うものの、事情を話してくれるまでは様々な角度から話を引き出すつもりだ。

 気をつけるべきは1点。

 少女を怒らせないこと。

 今の所、上位魔女で間違いないとは思っているが、その上位魔女を怒らせたらどうなるか……

 不意打ちでもしない限り、私に勝ち目はない。

「大した事情ではないのですが、私も各地を転々としていまして。

 それにお金はちょっとしか持っていないので、野宿をしているんです。

 なので、今回はこんな小屋を見つけられて運がよかったです」

「ふむ」

 飴玉の恩なのか、特に答えを渋ることはなかった。

 また答えに迷いがなく目が泳いだ様子もないので、本当のことを言っているのだろう。

 嘘が得意、という可能性もあるが。

「ちなみに、どれくらい滞在してから別の土地へ移動するんだ?」

「そうですね……

 その場所にもよりますが、今回の場合だと長くても5年程度でしょうか」

 少女は少し宙を見上げてから、そう答えた。

 ということは、滞在サイクルは私と同じくらい、ということか。

 これはますます魔女疑惑が浮上してきたな。

 世間に馴染んでいようが、離れて暮らしていようが、魔女は魔女という存在を隠す。

 それはもちろん『魔女狩り』に狙われないためだ。

 『過激派魔女』は『魔王戦争』時にほぼ全滅した。

 そして生き残った魔女は『穏健派魔女』であり、あまり戦闘能力は高くない。

 あるいは戦闘を好まない魔女である。

 なので『魔女』だと疑われないため、長くても5年程度の滞在で、その土地から移動する『習性』みたいなものがある。

 仮にその土地に何十年も滞在していると『歳を取らない住人がいる』という噂は、あっという間に広がってしまうだろう。

 そうなれば『魔女狩り』の的だ。

 ある程度なら、化粧で誤魔化していると言えるが、さすがにそれでも10年が限界だろう。

 つまり、世の中の合法ロリの正体は魔女、という結論になる。

 なお、統計をとらない持論ではあるが。

 長期滞在手段として、誰も寄り付かない山奥に地下室を作る、という手もあるが……さすがに不便すぎる。

 魔女だって何か食べないと餓死してしまうのだから、食料は絶対に必要なのだ。

 買い物に行けない生活は、さすがに困る。

 それに、あまりにも外に出なくて身なりを気にしなくなると、いざ外に出た時、美少女と認識されないレベルの不健康になっているかもしれない。

 やはり誰かに見られるからこそ、この美少女を維持できるのだ。

「しかし現状を見るに、かなりギリギリの生活を送っているのでは?

 失礼ながら、先ほどこの小屋に誰もいないと思っていたから調べさせてもらった」

 本当は誰かいると思って警戒していた。

「この小屋には照明のようなものはなさそうだし、窓は割れて雨風も入ってくる、寒さも暑さも凌げない」

 私はできるだけ心配している風を装ってはいるが、少女は困っていそうな態度を一切見せない。

「大丈夫です。この生活も長いので、そこは慣れたものです」

 この自信に溢れた答えでは、生活の不便には付け込めないか。

 ただ気持ちはわかる。

 私も逃亡生活が長かったので、慣れてしまえば屋根、壁があるだけでも快適に過ごせるというものだ。

 それに徐々にではあるが、廃屋を綺麗にする魔術も開発できて、野宿の最終段階ともなれば、どこで生活しようが快適に暮らせるようになっていた。

 だからこの廃屋を選んだのだ。

 ただし私と少女には決定的な違いがある。

 私は常に見た目には気をつけていたので、逃亡極貧生活の中にあっても最低限のケアは怠らなかった。

 それに対してこの少女は、その最低限のラインを余裕で下回っている。

 もしかすると、稼ぎの全てを食費に回しているのかもしれない。そう思うほどに、この生活の割には血色が良い。

 次はそこを突いてみる。

「ところで、ちゃんとした食事は久しぶり、と言っていたが、普段の食事はどうしているんだ?

 まさか虫とか草を食べているのか?」

 魔女も健康を維持するためには、栄養のある食事を摂ることは必須だ。

 虫や草でそれを補うとなると、どれだけ食べなければならないのか?

 ちなみに私は、木の実や草は食べたことはあるが、虫だけはさすがに食べられなかった。

 もちろん昆虫食があるのは知っているが、どうしても……それがどんなに空腹であっても、どうしても私は無理だった。

 そこは普段から食べている人、すまん。素直に謝る。

「い、いえ! そんなことはありませんよ。私、魔法で食べ物を作れるので」

 ……こいつ、今なんて言った?

 魔法で食べ物を作る、だと?

 魔法の歴史上、ぶっちぎりの重大発言なんだが?

 私も昔、研究したことはある。

 しかし魔力は魔力。食料っぽい見た目は作れるが、当然栄養は取れない。

 それをこの少女は可能にしていると?

 さすが上位魔女……という言葉では片付けられなくなってきた。

 上位魔女としての魔力庫だけではなく、そんな才能があるとは……

 これは研究素材として、ヨダレが出るほど欲しくなってきた。

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