ルシア・ガルブレイの物語 完?
おっと。バカみたいな……バカの性欲に呆れている場合ではない。
シルヴァが使用した魔術は、おそらく魔力障壁の書き換え術式だ。
簡単に言えば、魔力を纏わせた魔力弾は、魔力障壁の抵抗を受けることなく通過する。
魔力消費が多いので、昔は魔女以外に使用できるものがいなかったが、現代の発達した高度魔力解析技術がそれを可能にしている。
しかもシルヴァなら、間違いなくこの家の魔力防御に使用されている術式を知っているはず。
なので、一般的に使用される解析術式が必要ないから、簡単に書き替えることができる。
つまり何が言いたいかと言えば……
ロケットランチャーが発射された時点で、私の木っ端微塵が確定するというわけだ。
いくらジジィでも、中位魔女の魔力防御を突破できる攻撃では肉壁になり得ない。
そして私も巻き込まれ、あえなくミンチとなってしまう。
それを鑑定して身元は……判明しない。
現代には私の正確な情報はないはずなので、結果、身元不明のまま始末は完了したのであった。
〜ルシア・ガルブレイの物語・完〜 って、なってたまるかああああっ!
肉片になってしまえば全てが終わり。
私が魔女だとバレてしまうかも、なんて気にしている場合ではない。
私はスカートの裾を少しだけ摘み上げる。
「むぅ!」
……すると私の行動に気づいたジジィが、唸りながら、ぐりん、と首をこちらに回した。
きっしょ。
しかし今は、この変質者の処刑は後回しだ。
私もシルヴァと同様、太ももに巻き付けるように魔術を仕込んでいる。
理由は簡単。
オシャレのためには、ポケットの無い服を着ることがあるからだ。
服は当然脱ぐし、入れ忘れるなんてことがあるかもしれない。
ポケットに入れると、ぽっこり目立つ。
それに、素肌に直接身につけていると、忘れていないな、と直感でわかるようにしている。
「見えないじゃと……」
あったりまえだ。
私は当然の如く覗き見防止魔術付与スカートを着用している。
それにこのぐらいのことなら、スカートに使用されている魔力を使うこともない。
というか、シルヴァと違って控えめにスカートを摘み上げたからか、ジジィは床に転んで仰向けで覗き込んできやがった……
その体勢って、すでに犯罪なんだが……
これなら慰謝料がわりに、貴重な魔術を頂いても文句ないよな?
しかし今は交渉の余裕はないし、ジジィを優先的に撃ち抜きたくなる。
だがそこはグッと我慢して、逃げることに集中しなければ。
かちり。
「え?」
これからかっこよく私が魔術を使用する場面だったのに、空気を読まないシルヴァが引き金を引いた……
ちょまままままああああああ!!




