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魔導研究オタ歴500年の独善魔女、規格外すぎる幼女を拾ってモチベ爆上げ被害も爆上げ  作者: 山岡桃一
魔導研究オタク魔女とパンをかじる少女

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実験結果

「では実験の本命に移ろう。今食べた術式ドーナツを作ってくれ」


 辛味のせいか、舌が痺れるようなピリピリとした感覚が残っているものの、実験は続ける。


「わかりました」

 私と違って平然としているアリスは、即座にイチゴドーナツを作ってみせる。


 しかし皿の上に現れたのは、アリスが食べた分量のみ。


「1つ丸ごとは作れないのか?」


「はい。食べた分だけですね」


「完成品が目の前にあっても不可能なのか?」


「みたいです。

 昔、ブドウを食べたことがあったんですが……あ、野生のブドウですよ。

 盗んでませんよ?」


「いや、そこは疑わないさ」

 アリスは焦って両手をパタパタ振るが、アリスの性格上そういうことはしないと思っている。


「それで、ブドウってこう粒々がいっぱいじゃないですか。

 だから一度にいっぱい食べたいと作ってみても、一度に作れるのは自分が食べた分だけだったんです。

 その後、何度やっても元の形では作れなかったので、諦めました」


「なるほどなぁ……」


 アリスは間違いなく天才型の魔女だ。


 だが、漫画なら授かった能力で機転を利かせてなんとかなるが、現実はそんなに甘くない。


 昔、確かな天才型で、実力では私を大きく上回っていたやつと勝負をしたことがある。

 しかし結果は私が勝利し、あいつは約束通り全裸で町中を走り回って、町の笑い者となったわけだが。


 しかし、アリスには魔導研究大好き美少女魔女の私がついている。

 ちゃんとした教育をほどこしていけば、あの時のようにはならないだろう。


「推測だが、アリス自身が自分の魔法の術式を理解できれば、可能になるとは思う」


「じ、自分の魔法の術式? ですか?

 難しすぎてよくわからないのですが……」


 魔導理論の話になった途端、アリスは頭を抱える。

 そこまで拒否反応を示さなくても……

 難しい話じゃないんだけどなぁ。


「まぁ、それはおいおい考えるとしよう」


「か、考える……?」


 ダメだ。アリスにとって勉強はアレルギーみたいなものか。

 話は聞いているが、顔を少しずつしかめ、段々と上の空になっていくのがわかりやすい。


「それはさておき。

 このアリスが作ったドーナツも食べよう」


「そうですね。せっかく作ったんですし。

 あ、2つ作ったほうがいいですよね」

 と、アリスはもう1つ、先ほど自分が食べた欠片ドーナツを作り出した。


 ……そこは気を使わなくていいのに。


 食べ物のこととなると、頭の回転が速くなるのか?

 実験の成功は喜ばしいが、この『術式ドーナツ』が成功していたら、先ほどと同じ不味いドーナツを味わうことになる。

 私は再び、覚悟を決めておかわりをいただく。


「……普通」


「おいしいですね」


 拍子抜けするほど、アリスが作り出したイチゴドーナツは、ごく普通のイチゴドーナツだった。


 つまり、術式が再現されていない。


「確認するが、作り間違えた、とかではないよな?」


「はい。

 それに私、ドーナツそのものを初めて食べたので、これ以外は作れませんし」


「ふむ……」


 分量の件を含めて、アリスの言うことを全て信用するわけではないが、仮に本当のことを言っているとして。


 1・アリスの能力はあくまでも『食べ物』を作る魔法であり、術式はそれに含まれず、元のイチゴドーナツが作られた。

 となると、味を知らなくても再現できたことになり『口にしたものを完全に再現する』という効果と矛盾する。

 上位魔女の自動防御が発動して術式を弾いた可能性もあるが、もしそうなら最初に食べた時点で私と同じ感想が出てくるのはおかしい。


 2・意図して術式を取り除いて作った。

 分量の件も含め、アリスは能力について隠している、あるいは嘘をついている部分がある。

 そもそも、出会って丸一日も経っていない相手に能力の全てを教えるほうがおかしいと考えるべきだ。

 なので、本当は術式ドーナツを作れるが、あえて作れないという結果を私に見せた。


 現状、はっきりとした答えは出せないが、これはある意味私への挑戦状だ。


『優秀な美少女魔導研究者なら、この食物魔法について解明できるだろう?』と。


 もちろんこんな面白そうなお題は喜んで受けて立つが、試行回数を増やすということは不味い術式料理をいっぱい食べないといけない……


 これは若干滅入る……


 一応、手っ取り早い解決方法として……


「なぁアリス。わざと普通のドーナツを作ったとかないか?」

 アリスに直接聞く。


「ええ!? ち、違いますよ! そんな器用なことできません!

 私の魔法は『食べたものをそのまま完全に再現すること』なので、これ以上のことはできませんよ!」


「……ふぅん。そっか」

 やっぱり正解は出てこなかった。


 ただ、嘘をついているような雰囲気もない。

 それにアリスが悪知恵の働く魔女なら、600年以上野生生活をすることもないか。


 ……それも嘘かもしれないが……


 現状いくら考えても答えは出てこないので、とりあえずアリスを教育して、食物魔法を解析するところかな。

 できるだけ、術式料理を口にする回数は減らしたいし。


「とりあえずこれで今日の実験は終わりだ。

 実験に協力してくれたお礼として、食後のおやつは好きなものを好きなだけ食べてもいいぞ。

 まぁお腹いっぱいなら明日でもいいが」


「全然よゆーです!」


 アリスは先ほどまで疑われてたじろんでいたのに、おやつの話となると拳をぐっと握って、待ってました、といわんばかりに元気な返事をする。


 こういう姿を見ると、裏表のなさそうな人間に見えるが……

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