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勝手に魔王認定された魔女は勇者に魔力を奪われたので取り戻すために旅をする~なお500年経っても魔力は戻っていない~  作者: 山岡桃一


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123/151

誤算

「わ、私たちも?」

「やらなくていいから」

 アリスは周囲の熱狂に合わせて両の拳を握って気合を入れるが、私は若干呆れつつそれを止める。

 もちろんアリスでは筋肉隆起で服を破るなんてことはできないが、この周りの異様な空気だ。

 先日の水魔法失敗の例もあるし、変な気合の入れ方をしたら、魔力が暴走しかねない。

 そうなるとアリスの衣服どころか、この周辺一帯が吹き飛びかねない。

 ……というか筋肉アリスか……

 漫画のギャグキャラならありそうな展開ではあるが、それが現実になることを想像したくもない。

「さ、そんなことより、私たちも準備を始めるぞ」

「わかりました」

 司会の合図とともに、耳をつんざくような咆哮をあげて気合を入れた出場者たちは、衣服を破ることが料理開始の合図のようだ。

 マッチョ女性陣は流石に上半身裸ということはなく、インナーは残しているが、それでも倫理的に結構ギリギリのラインだ。

 男性陣の9割は上半身完全裸だ。

 この大会、確か動画でも生配信されているはずだが、色々な意味で大丈夫なのか? これ?

 まぁ『あの町のことだから……』で片付けられそうな気はする。

 この特設ステージは様々な場所に魔導カメラが設置されているようで、料理状況が即座にステージの魔導ホログラムに鮮明に映し出されている。

 流石にローアングルから覗き込まれるような角度はないが、正面はもちろん、頭上や背後までしっかりと立体的に映し出されている。

 しかし本来なら全方位を、しかも立体的に映し出す必要なんてないはずだが、これは不正対策でもあるんだろうな。

 手元までしっかり見えているし、下手な動きを見せれば即失格で、不正魔術を使う隙はなさそうだ。

 もし私が、いつものように魔術に頼り切った不正を行っていたら打つ手なし。

 よかった。ちゃんと魔法での料理特訓をしておいて。

 ちなみに、各らーめん店の配置だが、司会が立っているステージが中央にある。

 その左右に若干曲線を描くように10店ずつ並んでおり、私たちはステージを正面に見て、そのすぐ右側だ。

 注目を集めやすい場所である反面、下手な不正でもしようものなら、即バレる危険性もある。

 だからこそ、念には念を入れた、一月に及ぶ隠蔽魔法特訓の見せ所だ。

 そんな私の不正を見破れるのなら、それは魔女に近しいものだけだと断言できる。

 この合わせて20店の正面には、おそらく男女半々、老若男女の100名の審査員たち。

 そして司会が言っていた通り、見た目だけでは誰が特別審査員なのかは判別がつかない。

 しかも調子に乗って、この審査員の8割がたも衣服をぶっ飛ばしているので、衣服という判断材料までぶっ飛んでいる。

 さらに言えば、インナーまでぶっ飛ばした女性審査員もいるようで、慌ててタオルを巻いて隠していた。

 やりすぎなんだよ、おまえら。

 審査員たちの後ろには大勢の観客が詰めかけており、同じく衣服をぶっ飛ばした観客で溢れている。

 同じくインナー以下略。

 でも、あくまでここから見える範囲に限ってだが、女性が肌をあらわにしたというのに、そこに視線が集まるのではなく、ほぼ全ての視線がステージに向いていた気がする。

 やはりこの町の一大イベント。女性の裸程度では熱い魂の鼓動を抑えられないか。

 ……ちょっとクサいことを言った気がする……

 それはさておき。

 らーめん作りが始まるとほぼ同時に審査員たちも動きだし、おそらくそれぞれが目をつけていた店の前に足を運んでいる。

 上半身裸の連中がぞろぞろ動くのは見ていて気分の良いものではないが、つまりもう勝負は始まっているのだ。

 この『勇者王決定戦』の審査員たちだ。

 1人20杯は食えるかもしれないが、普通に考えれば現実的ではない。

 まさかそれを見越して……

「うおおしゃああああああ!」

「ここでコレをひと摘みっ!」

「華麗なる舞からのおおお!」

 中には、それ絶対らーめん作ってないだろ、というのもあるが、これが審査員を呼び込むためのパフォーマンスか?

 てっきり全員が少量ずつ食べるのだと思っていたが、このままではマズい。

 各店のド派手パフォーマンスに対し、私は地味にお湯を沸かしながら隠蔽魔法を仕込むだけ。

 そこに昨夜、アリスと共同作業で完成させた『幻覚魔法入りクレナイの蜜』を投入。

 あとは市販の安っぽいスープの素だとバレないように、高級っぽい感じで仕上げておいたので、さらにそれを入れて魔力を纏った素手でかき混ぜる。

 地味。しかしカメラには捉えられないほど、私の不正仕込みは完璧だ。

 しかし食べてもらえなければ当然ポイントは得られない。

 現に、場所的には好条件だというのに、私たちの方に審査員の足が向いていない。

 まずは1人だ。その1人に、若干過度になってでもいいから、強力な幻覚魔法を仕込む。

 その客が私の目論見通りオーバーリアクションをしてくれれば、真偽を確かめようと他が集まる。

 まず誰かこい。

 そう願いつつ、私は私とアリスの『美少女混合湯』に隠蔽魔法を仕込みつつ、ひたすらかき混ぜる。

 しかし相変わらず審査員の目が向かない。

 ……マズい……マズいぞ……これでは賞品が……

「私にお任せください」

 私が追い詰められ、焦りを見せ始めたことに気づいたのか、アリスは料理道具などを搬入した台車を持ってきて、その上に立った。

 ……何をする気だ? まさかここでお色気作戦か?

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