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勝手に魔王認定された魔女は勇者に魔力を奪われたので取り戻すために旅をする~なお500年経っても魔力は戻っていない~  作者: 山岡桃一


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余裕のある朝・ルシアの場合

 翌朝。

 今日から特訓開始なのだが、かといって切羽詰まっているわけでもないので、目覚ましをかけることもなく寝たいだけ寝て自然と目を覚ました。

 とはいっても、時計を見ると午前6時を少し過ぎたところで、カーテンの隙間から少しだけ朝日が漏れている。

 目が覚めたのなら時間は有効に使わなければならないので、よほど疲労が溜まっていない限り二度寝はしない。

 そして時間に余裕があれば私は朝の日課をこなす。

 ベッドから身体を起こし、着替えを持って向かったのは浴室。脱いだ部屋着は丁寧に畳んで籠の中へ置く。

 シャワー魔術に魔力を注ぎ、少し熱めのシャワーを浴びて、お湯が頭、肩、背中、そしてつま先へと伝わっていく、眠っていた身体が少しずつ目覚めていく。

 タオルを手に取り、まずは髪をそっと包み込んで軽く押すように水分を吸わせ、身体も同じく優しく丁寧に押し拭き取る。

 そして大きな鏡の前に立ち、自身の姿をじっと見つめる。

 相変わらず華奢な身体だが、その肢体はとても美しく整って隙がなく、そして私は自他共に認める美少女。

 そんな姿に満足した私は、今日という1日を過ごすための衣服を見にまとい、落ち着いた足取りで浴室を後にする。

 ……とまぁ、毎回こんな優雅な朝を迎えられたらいいのだがなぁ……

 極力予定を組んでホテルも予約して行動するようにはしているが、毎回毎回そういうわけにもいかない。

 アリスと出会った時、本当は『セイヴィアーク』を手に入れているはずだったので、廃屋を掃除して使うつもりだったし、魔導研究のために山の中や遺跡に向かえば、屋根のある部屋なんて期待できない。

 それでも認識阻害の魔法・魔術を使えば、暴漢に襲われることもなく過ごすことはできる。

 アリスにはまだそんな過酷な場所へは連れて行っていないが、そもそもアリスはそのような場所で何百年と過ごしてきたのだ。

 私とは年季が違う。体力だって私よりあるし、間違いなく私よりも平然と過ごすことだろう。

 次。

 現状、私の魔力は魔女としてのギリギリのラインでしかなく、クラスで言えば下位の中の下位、底辺魔女であるため、魔力の無駄遣いはできない。

 それを補うためには、制度の高い魔法や魔術を使うこと。つまり効率よく魔力を運用しなければならない。

 そのために必要なのが、完璧な魔力制御、という技術であり、底辺魔女の私には欠かせない特訓、言い換えれば、私が生きていくための生命線、でもある。

 その中でも偽造技術に用いる魔力精度が低ければ、私はこんな優雅な朝を迎えられていないだろう。

 こればかりは大事な研究中でも欠かせない、というか、研究中だからこそ、むしろ集中して魔力制御の特訓をしている、ともいえるので、魔女であり魔導研究者である私の魔力制御能力は極めて高い、という自負はある。

 それでも魔力制御の特訓を欠かさない私は向上心の塊だ。私偉い。

 さて、今日はせっかくなので、昨日アリスが魔力浸透させた茹で卵と、味比べのために残しておいた普通の茹で卵を使うことにする。

 それぞれ2つは私とアリスで食べて味比べをしたので、残りは1つずつ。

 まず、昨日テスター棒をぶっ刺してそのままにしておいた魔力浸透茹で卵を手に取り、魔力をその手に集中させ破砕魔法を使用する。

 すると完璧に魔力制御された微弱な魔法によって、魔力浸透茹で卵は殻だけが綺麗に崩れ去り、中身はテスター棒の痕を除けば傷ひとつなく、綺麗に剥ける。

 続いて普通の茹で卵。

 まずは私から1メートルくらいの位置に浮遊魔法で視線の位置まで浮かせ、右手に魔力を集中して茹で卵に向ける。

 そして私が息を、ふっ、と吐くと同時に、微弱な切断魔法が中身を一切傷つけることなく、殻だけを見事に断ち切る。

 続いて浮いたままの茹で卵をこちらに引き寄せ右手で掴み、殻はゴミ箱へ。

 最後に魔力浸透茹で卵を左手に持ち、2つの茹で卵を爆発させないように温める。すると程なくして、まるで茹でたてのようなほかほかな茹で卵が完成する。

 もちろん亀裂などは入っておらず、綺麗な状態だ。

 これこそが魔女のなせる技。私凄い……というわけでもない。でも私の魔力制御技術は凄い。

 この程度なら一般人レベルの魔法使いでも魔力制御に磨きをかければ誰でもできることである。

 重要なのは『魔力制御の特訓をしている』という認識であり、これを『完成されたパフォーマンス』として捉えているならそこで終わり。成長は期待できない。

 このような特訓を積み上げることによって、私は上位魔女以上の魔力制御を身につけたと自負している。

 そもそも、上位魔女は自身の膨大な魔力に物を言わせる使い方をしがちなので、意外と細かい作業には向いていない、というか、魔力制御を身につける努力をしない傾向にあった。

 雑用なら信者がやってくれるわけだし。

 なので魔力保有量が圧倒的に劣る私であっても、魔力制御に磨きをかけること、それに加えて魔術を駆使することで上位魔女たちに罠を仕掛けることができたのだ。

 とはいえ、やはり上位魔女の能力そのものは強力なので、度々仕返しをうけたわけだが。

 というか、最初に私を見下しバカにしてきた(体型とか魔術関連とか)のはあいつらだったのだから、私がやり返すのは必然。

 そんなやり返しの応酬をくる返していくうちに、なぜか私が問題児扱いされるという理不尽。

 結果、私は魔術の研究と発展のために頑張っていたというのに、施設の利用にも制限がつくという……

 ま、そんな制限など無視無視だけど。

 当時の私の懐事情からして、学校の設備は何が何でも使いたい設備だ。制限されたからといって素直に聞く私ではない。

 そして何度注意しても、何度罰を与えても言うことを聞かない私に対し、教師陣はついに諦めることになった。

 私の勝ち。

 というわけで、ここまでが余裕がある時の私の朝起きてからの日課。

 そしてアリスと行動を共にするようになってから増えた日課が、アリスを起こすことだ。

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