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勝手に魔王認定された魔女は勇者に魔力を奪われたので取り戻すために旅をする~なお500年経っても魔力は戻っていない~  作者: 山岡桃一


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お風呂回・導入

「今回はお風呂回をやるぞ」

「少年漫画でみかけるような、あの定番のやつですか?」

 駅近くのホテルにチェックインし、荷物を置くと早速アリスにそう宣告する。

 ちなみに、今回はらーめん作業を伴うので、普段のツインよりも大きい部屋だ。

「定番、とはちょっと違うかな。

 男が覗くことはないし、私とアリスが身体を洗いっこして、きゃっきゃうふふ、みたいな展開もない。

 盗撮魔術のチェックはするが、もし仕掛けられていたら、それはそれで定番ではあっても別問題に発展するし。

 今回のお風呂回は、普通に浴槽に使ってもらうだけでいい。ただし、普段より少し長めでな」

 アリスは普段から長風呂で、私は魔導研究のことを考えている時なんかは、シャワーだけで済ますことが多い。

 魔力を満たせてくれる温泉でもあれば別だが、お風呂で長考してのぼせたことが何度もあるからなぁ。

「長め、ですか。それは構いませんが、今回は……

 はっ! まさか私の入浴を写真に撮って販売を……

 確かに私ぐらいの身体に興味を持つ男性はいるようですが、それだと売る側のルシアさんも犯罪として捕まってしまうのでは?

 ……もしかして、私が食べ過ぎてお金がないのですか?

 それなら私は野宿で構いませんし、入浴写真は恥ずかしいですが、できることなら協力します……」

 アリスは申し訳なさそうに言いつつも、恥ずかしながらも何か決意を浮かべたような表情を浮かべる。

 ここで『迷惑な私はやっぱり1人で生きて生きます』とか言って立ち去らないのは、私との信頼関係が築けている証拠だな。

「全然違うから。そんな心配しなくていいから。

 確かに昔は見た目がアリスぐらいの年齢の少女が普通に……というわけでもないが、人身売買されていた時代もあったし、写真が出回っていた時代もあった。

 それも高額でな。

 今でももちろんそのような犯罪行為は横行しているが、それが見つかれば閲覧だけでも逮捕案件なのに、それを販売したとなったら、国にもよるが極刑ものだからな。

 ただでさえ魔女である可能性を示唆するような記録は残したくないのだから、そんなことは絶対にしないさ。

 そんなことをして稼ぐぐらいなら、魔導ネットワークいから銀行に侵入してお金を強奪したほうがまだマシだ。

 そもそも、このちょっとお高いホテルに一月ほど滞在するぐらいなら余裕も余裕のお金は所持しているからな」

 アリスには私の全財産を教えていないが、このレベルのホテルなら一月どころか10年ぐらい滞在しても余裕の資金を保有している。

 それだけ昔の『冒険者ギルド』時代の高難易度依頼は高額だったのだ。

 まぁ高難易度魔物討伐依頼の魔物って、狂人変態勇者対策として私が作ったと思われる魔物の子孫もいたみたいだから、あれもマッチポンプだったかもしれないなぁ。

 それに他にも『色々な方法』で稼いでいたので、お金に関しては基本余裕だ。

 ただし、研究に必要な魔力、例えばアリスのような上位魔女の保有魔力量と同等量の魔力を買おうとすれば、一気に底を突くどころか全く足りない。

 その魔力量は最新鋭主力魔導戦艦一隻分以上だ。

 世界最高額の個人資産を保有する人物なら買えるだろうが、私には無理だしなぁ。

 そいつが何か悪事を働いていた、という情報でも手に入れられれば、そこをついて資金を掠め取ることも可能なんだんが……

 そのため日々の情報チェックは欠かせない。

「そうなんですね。

 となると、今回はどのような魔導実験なのでしょうか? それで汚れそうだからお風呂場で行う、と?」

 察しが良くて助かる、というか、これまでも身体検査を含め、アリスには色々と協力してもらっているから、慣れたものなのだろう。

「実験といえば実験だが、汚れとは逆だな。

 アリスには『綺麗な状態』で浴槽に浸かってもらう。ただそれだけだが、この『綺麗な状態』というのが重要だ。

 多少汚れていたほうが喜ぶ層もいるかもしれないが、それでも埃やゴミなどは混入させたくないからな。

 髪の毛ぐらいは『サービス』として入れてやれば喜ばれるかもしれないが、今回はそれもなし。

 ちゃんとまとめて浴槽にはつけないように」

 実際いたんだよなぁ。美少女の髪うめえ、とかいうやつ。あの時は、私の髪を装ったおっさんの髪を使って勝つことができた。

 しかしもし捕まっていたら『お前が生きている間はその髪を食う』とか言っていたから、髪食い男が死ぬまでの50年くらいはずっとハゲにされるところだった。

「………………」

 私の説明に、アリスはまるで石像にでもなったかのように、ぴしり、と硬直する。

「ま……まままままままさか……つ、ついに……ついに私を食材に……

 た、確かに協力するとは言いましたが……でもでも……きっと美味しくありませんよ!?

 ほら! さっきの人も『人の肉は不味い』って!

 はっ!? それを美味しくするための実験……」

 そして今にも泣きそう……いや、涙目で訴える。

 うーん。ついさっきも命乞いを見た気がするな。

「落ち着け落ち着け。

 食材にするなら暴れられないよう逃げられないよう、寝込みを襲うだろ。

 そうではなくて、スープの元になってもらうんだよ」

「……それは同じ意味なのでは?」

「意味は同じでも、アリスはただお湯に浸かっていればいいだけだ。

 もちろん熱湯で茹でたりしないし、身体を傷つけたりもしない。

 いつもより少しぬるめの温度で、少し長めに入っていてくれればいい。

  のぼせそうになったら途中で上がってもいいし、ちゃんと水分だって摂っていい。なんなら食事をしていても構わない。

 ただただお湯に浸かっていればいい。それだけだ」

「……それで美味しいスープができるのでしょうか? 私が浸かったお湯ですよ?」

「私が美味しく仕上げるんだよ。

 これが私流の魔導料理ってとこだ」

 まぁアリスの入浴シーンと共に『このお湯でスープを作りました』と宣伝すれば、気持ち悪い連中が殺到してきっちりスープまで飲み干してくれそうではあるが、運営委員に即時退場を言い渡されそう。

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