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勝手に魔王認定された魔女は勇者に魔力を奪われたので取り戻すために旅をする~なお500年経っても魔力は戻っていない~  作者: 山岡桃一


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マッチポンプ

「ふん!」

 赤色筋肉は掛け声とともに二階から飛び降りると、ズドン、という豪快な着地音とともに黒ずくめの近くに平然と降り立つ。

 これだけ見ても、あの鍛え上げられた筋肉は見た目だけではないということがわかる。

 普通のボディビルダーなら、二階から飛び降りることすらできないと思う。

「どうした? 何があった?」

 そしてそのまま黒ずくめの近くに寄り、心配そうに覗き込む。

 しかし先ほどの衝撃がよほどショックだったのか、どうやら気絶しているようで返事はない。

 ただの衝撃音と自分へのダメージが計れないようであれば、そいつは手練れではなく、ほぼほぼ一般人だ。

 昔、権力をかさにきた軟弱な戦士風の男が、あまりにも私にしつこく言い寄ってきたので、ストレスが最高潮に達した時に使用したことがあるが、やはりその時も効果絶大だった。

 今回のように気絶こそしなかったが、無様にのたうち回り助けを求めていたので、一通り楽しんだあと真実推しててやった。

 すると顔を真っ赤にして、負け犬のごとく何かわめき散らしながら走り去って行ったっけ。

 あそこで私の魔力弾を平気でいなしていたら、ちょっとは興味を持ってやったのに。

 それはさておき。

「そいつはお前の店を覗いていたんだ。

 それと今は緊急事態だから目を瞑ってやるが、裸で町をうろつくのは犯罪行為だからな」

「おおっと! これはすまん!」

 私が指摘すると、赤色筋肉は慌てて胸元を隠す。

 ……違う。そうじゃない。着地の衝撃で緩んだタオルのことを言っているんだ。まぁいいけど。

「と……君たちは昼間の……

 いやそれより、オレの店を覗いていたというのは本当か?」

 そのまま話を進めるのか……

 美少女2人を前にして全裸に等しい状態なんだから、誰かに見られたらそれこそ通報されて問答無用で連行されるぞ。

 一応状況を説明すれば身の潔白は証明できるだろうが、連行されれば『勇者王決定戦』は出場停止だろうから、そっちのほうが都合がいいかな。

「それは間違いないが、その目的まではわからない。

 もしかすると腹をすかせすぎていて、思わず覗き込んでしまった可能性もある。

 だが万が一のことを考えて、例えば店の食材に毒を仕込めば客は倒れ、この店は出場停止となるだろう。

 あるいはよほどこの店を恨んでいたのなら、最悪の場合、本番でそれをやるつもりだったのかもしれない。

 もしそうなれば犠牲者は多数でることになり、営業停止どころの騒ぎではない。

 私も『勇者王決定戦』は楽しみにしていたからな。

 だから何か起こる前に対処させてもらった」

 本音を言えば、人の命を奪うことをよしとはしないが、賞品さえ手に入るのなら、他の店はどうだっていい。

 仮に毒だとして、これが魔女至上主義時代の上位魔女へ献上される料理ならそんな心配をすることはないのだが、一般人だと大惨事だ。

 私が本当の学生時代に、私をいじめる意地の悪い上位魔女に対して即効性下剤効果の侵食系魔力を食べ物に混入させたが、全く通用しなかった。

 あいつらにしてみれば『今日のケーキはいつもと違いますわね』とかいう程度。

 余裕かましやがって……うらやましいなぁ……

 もしあいつらがちゃんと術式の勉強をしていれば、魔力探知で私を探し当てて制裁を加えられただろうに、全くそのような行動を起こさなかった。

 まぁ持ち前の魔力と自動防御が強すぎるが故の傲慢なのだろうけど、結局それが災いして狂人変態勇者に食われたんだろうなぁ……と、勝手に思っている。

「なるほど。君の言うことは正しい。

 自分で言うのものなんだが、オレをライバル視する店は数多い。

 だから何か仕組んできたのかもしれないが、気絶していては目的を聞き出すこともできんな。

 仕方ないから起きるまで待つか。

 その間にこいつを鍋にでも入れて『お前が食材だ。食われたくなきゃ真実を話せ』作戦の準備でもしておこうか」

 赤色筋肉はそう言いつつ、拳を強く握る。

 ……昼間食べたらーめん、変な食材が入っていたんじゃないだろうな?

 まぁ私も拷問するならそれぐらいはやるつもりだけど、目覚めるまで待っていられない。お腹も空いたことだし。

「それは問題ない」

 今度は私が黒ずくめに近づき、気付薬同等の効果を持つ侵食系魔力を使用する。

 その名の通り、気を失いそうな人、失神した人、スポーツ選手が倒れそうな時や気合いを入れる時に使用するようなもの。

 その一方で、拷問時に気を失わせないために使用されるという、使い方によってはエグい魔法。

「……ん……う……ん」

 すると間も無くして黒ずくめが意識を取り戻したので、今度は照明魔法で黒ずくめを照らす。

「もう安心しろ。私が魔法で治療してやったからな」

 もちろん嘘だ。照明魔法でそう見せているだけ。

 これぞマッチポンプ。

 黒ずくめはおそらく自分を撃った相手を認識できていないはず。

 そこで私が優しく介抱してやれば、恩を感じた黒ずくめの心は私を受け入れ、優しく問いかけてやれば目的を喋ってくれるだろう。

 お前はハメられた、捨て石にされたんだ、とかな。

 そんな私の言動を見たアリスは唖然としているようだが、まぁ仕方がない。私自身自覚があるし。

 でもこういうのって効果あるのだから仕方ないじゃないか……しかしアリスの私に対する好感度をあまり下げるのも良くないか……

 別の方法も考えておこうかなぁ……暇があれば……

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