エフティア
宴会が終了し、住民たちを帰し学校を建設、無償で通学可能という条件付きで宣言した―――
とは言ったものの、先生がいない。それに生徒も少ない。知的好奇心を冷めさせないためだとか言ったけど、内心どうしようか考え込んで焦っている。
ヴァレンタインのところから、何かしら先生ができそうな人材がいないか聞き出すのもあり。でもいなかったらどうするか迷うところではある。
……いや、本当にどうしようか?打つ手がなくなれば本当に前言撤回しか方法がない。
住民の確保から始めるとしよう……
―――アトランティス大陸のアストレア王国(地下空間のある王国)とエルフの都魔導国家エルシアの間に位置する小さな村。
うーん……そこまでひどい状態の村ではないな。でも全体的に乾燥していて、水や食料も限られている。住民同士で会話をしているあたり、上手に交渉できれば地下空間に勧誘もできるかもしれない。
大抵ここに住むのは王国から追放されたものなどが多い。つまり王国から見捨てられた人。罪を犯した者これがほとんどだろうな。でも見る限りお互いに協力し合って生きているあたり、改心はできているだろうな。
交渉はできるが、よそ者が訪れたということになるので、気をつけたほうが良い。特に”人身売買”の人であることを疑われると、交渉はその時点で可能性は0になる。最悪の場合、仲間を守るために殺しにかかってくる可能性も捨てられない。
慎重に行こう。
「…こんにちは」
「何者だ?人間か?どこから来た?身元を述べてもらおうか?そしてどうしてここにやってきた?」
「アストレア王国からやってきた、ミウと申します。種族は人間。本日やってきた要件はあなた達を助けたいと思い、ここを訪れました。」
「あー…帰った帰った。やけに親しい、助けたい、それに具体的な説明もなしに。怪しさ満点。要件は飲まない。我々はこれでもそれなりに充実して暮らしている。助けなどいらない。」
「…数日前、ここはレッドサーペントの被害があったそうですね。」
「よくご存知ですね。ギルドの依頼にあったようでついでに助けてもらった感じです。」
「その討伐メンバーは私の部下の討伐隊が倒したのです。そしてその討伐隊のユニオン名は”エフティア”そして私はエフティアのマスター。身の安全は保証すると誓いましょう。」
「口実だけでは信じるのは難しい。それはそちらもおわかりでしょう?ありがたい話ではあるのですが、あなたがエフティアのマスターであることを示してもらえなければ、その話はありがたく受けさせてもらいましょう。勝手ですが、この暮らしをできる限り続けるために必要なことということに理解願いたい。」
「分かりました。では最近困ったことはありますでしょうか?現在マスターであることの証明品がありませんので。」
「困ったことですか……最近は小さな困りごとで収まっているので特には無いといえば無いのですが、困っているわけではないですが、早めに手を打っておいたほうが良いかもしれないことが一つありまして、実は最近龍が現れたという噂が流れているのです。」
「龍とは珍しい……
―――竜と龍の定義。基本的には骨格。竜は頭、翼(前腕)、後ろ足、尻尾で構成され、龍は頭、前腕、翼、後ろ足、尻尾で構成される。他にも違いはあるが、今回は省略
それと、一つ。龍の気配がないのですが?龍は気配を撒き散らして暮らし、自分のテリトリー(家族や自身の領地)を守るために、手段は厭わない。こちらから手を出さない限り、奴らは何もしてこない。それに奴らには知性がある。自分のテリトリーを拡大する上ですでに先客がいれば龍の矜持がある限り、謙遜し引き下がるでしょう。もし龍がいるのであれば、手を打てば返り討ちに合うだけでしょう」
「流石、エフティアのマスター様。その確かな知識、判断力、研ぎ澄まされた魔力操作。どれをとっても素晴らしい。マスターではないと疑うのは失礼。しかし、怪しい者は徹底的に調べ尽くす必要がある。拘束させてもらう!!!」
「そうぞ〜」
「では牢屋に入ってもらう」
「それはお断りだね。これで2回目になるし……」
体から地面に魔力を流し、地面と接着する。ここから動かないという意思表示のつもり
「完全に信じる訳では無いが、敵意はないな?」
「もちろん。それと助けるということで詳しく話していなかったな。簡潔に言うと、我々の拠点に招待したい。」
「おおよその拠点の位置はどこなんだ?」
「信じないだろうが、アストレア王国の地下だ。衣食住は保証しよう。」
「っはは!!アストレア王国の地下に拠点?ぶっ飛んだ話だ!興味が湧いてきた。最初俺だけでも招待してくれ、その後全員移動するか検討する。」
「準備はいいか?」
「ああ、すぐに戻れば問題ない!」
―――転移魔法を通して地下空間に移動する。
「確かに広大な土地だな。それに城があるぞ……それに吸血鬼の気配……やはりお前騙したか!?」
「お主、一人だけ連れてきたとかくだらないことじゃないだろうな?」
「なわけねえだろ!とりあえず下見で一人来たいって連れてきたんだよ!」
「こ、この女の子は……(もの凄いオーラ、只者じゃない…)」
「妾は女王ヴァレンタイン、高潔なるヴァンパイア一族の頂点に位置する者。」
「っは、はは……もはや信じるしかなさそうですね……ヴァレンタイン様もついてこられれば村のみんなも信じてくれるかもしれません」
「ってことだが、ヴァレンタイン?どうだ?」
「ついていくだけであろう?問題ない。」
―――村に戻る。
ヴァレンタインの気配に皆が近寄る…
「…はぁ…アストレア国王も分別を失ったものよ…」
村の一部の人は片膝をついて発言した人に向かって頭を下げる。残りはなんのことかわからず棒立ち状態。
「申し遅れた。魔導国家エルシアの女帝リリア・フィエルと申す。今後とも宜しく頼むぞ」
「ヴァレンタイン、この人は?」
「聞いておらんかったのか?エルシアの女帝じゃ」
「そういうことではあるんだろうけど、なんでそんな人がこんなところに?エルシアからはかなり離れているだろ?」
「妾の魔力を感じ取ったからじゃろ?リリ?」
「あら?数百年ぶりの面会なのにもう少し続くような話をしましょうよ〜?」
「お主と話していると無性に疲れる…」
それもそう
彼女の存在自体、悠久の歴史を物語っている生ける伝説。彼女に眠る記憶の中に幾千もの星の破壊と創造、人類史の繰り返しが残っている。人類史に残された古文書から変わらぬ容姿を持ち、静謐な美しさと揺るぎない魅力を宿しています。
彼女が統べるのは、力任せの支配ではない。彼女の智慧は、遥かなる過去から紡がれた知見と、季節の移ろい、そして民の心の機微を識り尽くした、尽きることのない叡智に満ちている。その声は、古の森の囁きにも似て穏やかでありながら、逆らうことのできない深遠な力を宿している。
そして何より何世代と渡って一国を支配し続けているのではなく、リリアの一世代でエルシア王国は築かれた。人類史でもエルシア王国の世代交代は記録されていない。
それだけすごい人物なのだ。
「あらぁ?人は中身によらずよ」
「お主の場合中身も見かけにもやらないんじゃがの……それでなんのようじゃ?妾が聞くような立場じゃないがな」
「そこのミウという人物に用があるのよね〜まず、資格は受けたかしら?」
「資格?誰からも受け取ったつもりはないんだけど……」
「誰かから受け取るような物ではないけど、該当者が現れると勝手に預けられる。」
「預けられる?受け取るじゃなくて?」
「本人が預けられたと自覚した時、受け取るという表現になるの。でも今回の話の本質はここじゃないのよ。あなたが未だに預けられた状態のままでもいい。その資格を受け取って、それを受理するかどうか」
「受理すると、どうなるのですか?」
「私や、ヴァレンタインのような今期の世界の調停者としての役職が与えられる。」
「すでにこの世界が始まってから随分の時間が経っていると思うのですか、すでに存在していてもおかしくはないのでは?」
「この世界について知っている口調ね。…まぁいいわ。少し入り込んだ話をしましょうか。
―――防音の魔法を展開―――
あまり外部に知られたくないような情報が入っているから、我慢してちょうだいね。
まず改めて自己紹介をさせてもらいましょうか。
倫理の復活から世界を引き継ぐ第3の調停者:エルシア・リリア・フェル。」
「肩書が長いわw妾のも大概じゃがな……」
「恥ずかしい自己紹介は終わりにして、…私の自己紹介を聞いてなんとなくわかったでしょう?」
「調停者?」
「そう!資格を受理するとその役割が与えられるの。今期の世界で見てきた中で資格を受け取っていそうだったのはあなたなのよ。」
「先程も言ったように、もういてもおかしくないのではないのですか?」
「一回の世界で何回も調停者は入れ替わるのよ。前回の調停者はアカシアよ。」
「アカシア!?……死んだら調停者の役割は剥奪されるという…」
「そう!随分頭がキレるわね!前回の調停者はアカシア。そして剥奪された調停者の役割が恐らくあなたに渡ってくる。そして、本当にお願いしたいことは、受け取っても受理しないでほしいということ。」
「?意味がよくわからないのですが……」
「そうよね。順を追って話すわ。私達調停者の役割を持っていた人は過去に12人。現在確認できる人数は10人。調停者みたいな実力者なら死ぬことなんてありえないのだけどね…絶対何処かに生きていると思うけどね。話がそれちゃったわね。
いきなりだけど、初代の調停者以外の私達はグルなのよ。ずっと裏から暗躍し続けているのよ。
理由はただ一つ、初代調停者の私利私欲なのが嫌い。あいつは、この世に普及していな科学が大嫌い。それを抹消するためならなんだってする。しかもたちが悪くてある程度普及してから破壊して生命が貶されていく様子を見るのが好きみたい。ほんっと最低なやつだわ…
調停者の役割は前期の世界の破壊された理由をなくすためにその役割が与えられる。そこで逆に役割を与えられるシステムを利用してこの世界を変えようとしているわけ。」
「まだよくわからないんだけど……」
「まだ話の途中よ!調停者の資格はふさわしい人にずっと付きまとい続けるの。そのシステムを逆に利用してやろうって企みなのよ!調停者は前期の理由をなくすために行動しようとするの。足掻こうとしてもいつの間にかその理由は消されているの。でも逆に考えると調停者がいなければそんな強制力は働かないって話なのよ。」
「大体わかったけど、調停者の役割が他の人にすでに預けられている可能性はないのか?」
「その可能性もあるかもしれないけど、資格を受け取るにはある程度の条件が必要なの。そしてその条件を満たしているのは今の世界を探してもあなた、ミウだけなのよ。
そして、一つお願いがあるのよ。」
「なにか関連があってなのか?」
「大まかにはそうなんだけど、初代の目から逃れるので必死なのよ。それであなたの保持する地下空間に私達のグループ”サデユ”の拠点を置きたいの。代わりにこちらからもいくつか条件を出すわよ。」
「…じゃあ、ここの住民を地下空間に移住してもらいたい。」
「…?そんなことでいいの?そっちにはデメリットしかないように思うんだけど?」
「まあ、男のロマンってやつさ。」
―――解除―――
防音の魔法が解除される。
「ここのみんなさんには、ミウの地下空間に移住してもらいます。安全性はこの私が保証しましょう
サデユのメンバーは後々に集めるわね。」
「ありがとうございます!地下空間への転移魔法の情報です。」
「あら、随分信頼されちゃったようね。ヴァレンタインはこの情報はもらったかしら?」
「妾もすでにもらっておるし!?」
「今回の件でかなりお前の本性がわかった気がするな…
それと家などがまだまだ不足していて、この区間ごと移動してもいいですかね?そしたらこっちとしてもとても楽で助かるんですけど…」
「それなら、こっちらとしてもかなり助かると思うわ。ここの住民はこの家の生活に慣れているでしょうし、無理に変えられても困ると思うわ」
「ここら一帯乾燥していて、食料とか全く無いように見えますがこれまでどんなふうに生活してきたのかわかります?」
「私が話しましょう」
門番の人、地下空間に一回招待した人。
「そういえば、自己紹介がまだでしたね。ここの村の村長の息子のシーブです。ミウ様のおっしゃった通りでここは食料を確保できるような場所ではありません。そのため、エルシア王国の支給品のみで生活してきました。」
「支給品と入っても、私の国で少し前から問題視されてた人権を守るためなのよ。変な風評被害が流れてしまっては困るものよね。
まず、なんの自衛にはならないけれど私自身はこの国の政治には一切関わっていないのよ。役割としてはただの象徴。
罪人差別はまた別の奴が企てたものでね、そのせいで罪人は罪を償わなければいけないという風習がかなり根強く残ってしまったのよ。そこで私や、他の奴らがこんなことが他の国に知れ渡って風評被害を受けてしまっては行けないと思って、余裕を持って生活できる程度の支給品を渡し続けている状況よ。」
「我々もエルシア王国に何かを持って恨むことはないですし、なんでここにいるのかすら分かりませんでしたが、なんとなく状況が掴めました。」
「それじゃあ、転移する準備はできてるかな?」
「恐らく大丈夫かと思います。もし忘れても取りの戻ればいいだけですし。」
―――街全体を覆う転移魔法陣を展開する―――
眩い光が魔法陣を中心に輝く――――――
「―――ようこそ都市エフティアへ」
それと、もう地下空間呼びはやめて、都市エフティアと呼ぶことにした。
「へぇーこれが”都市”ね」
「あなたの国と比較されても…」
「じゃあ、サデユの本拠地の設営をお願いするわね。完成したらあなた個人の名前で私に手紙を送ってちょうだいね」
(豪華にしないといけない感じだね…)
「!?ちょっと待って?あそこに見えるこじんまりした感じの家があるんだけど…あれってあなたの家?」
「…実質俺の家かな?」
(ちょっと!!とんでもないおえらいさんが来ているっつうのに、顔も出さないとか……それとも気づいてないのか!?)
(気づいてるわ!!!他のやつはいいとしてもあいつだけは今でもなれねえんだわ!!)
(あっ!もうそっち向かってるわ。ちゃんと挨拶しろよ〜)
―――とりあえずついてこ…
「この感じ結構好きよ。多分他のメンバーの好みにもあっていると思うわ。」
「拠点の建設は進めますが、メンバーも多種多様ですよね?サイズとかも考慮して設計したいのですが…」
「そうわね…体格差はかなりあるけれど、魔法で体格差の調整はどうにかなるから、そこまで気にしなくてもいいと思うわ。快適に過ごせる程度の空間の大きさは確保してほしいわね。」
「それなら、今の間におおよそ設計できたので、イメージ共有しますね。」
―――思念伝達で俺の構想した設計図を共有する―――
「うーん…雰囲気はいいけど会議するような感じではないわね。」
「やっぱり、円卓のある部屋のほうがいいんじゃないですか?」
この世界ではこのスタイルが一般的。円卓の中央に地図を置くなどして応用の効く構図。
「どの世界でも最終的にはこうなるのよね…いい加減飽きたから雰囲気を変えたいのよね。…じゃあこんな感じのものはどうかしら?」
俺の設計図が書き換えられる。元々の全体図としては平安時代の貴族の家をベースに設計した。メンバーは10人程度と言っていたので、ある程度の大きさは確保し、天井の高さも確保した。庭もかなりの大きさを確保した。景色は楽しみたいし。
そして書き換えられて部分としては、まずメイン拠点としていた真ん中の部分。最初はただただ畳が敷かれたままで何もなかったが、布を上から垂らし実質的に他のメンバーと隔離した。
和風のままで、エルシアが本気で和風にしたいという願望が垣間見える。俺自身としてはこのままでいいけど、他のメンバーが納得するかはまた別かもしれない。
「こんな感じでどうかしら?」
気づけば布を垂らした以外にも、円状に小さな机が加えられたり、その円の真ん中の少し上にモニターらしく魔法で作られた地図が浮かんでいる。会議に必要な物は粗方揃った。
「最低限必要なものは揃ったように思える。まだ土地は広いし、ほかメンバーの別荘とかも追加してもいいかもね。ここは昼夜のサイクルがないから無駄に長いけど意外と使えそうな廊下を設置してもそれっぽくなるかも」
平安時代の寝殿造りをうっすら思い出しつつ…
「そうわね…この辺り一帯木を生やして隠してもいいかもしれないわね。」
「木は元々植えていくつもりだったし、好都合。」
「それじゃあ、魔法で生やしちゃうわね。」
エルシアの詠唱が始まった。詠唱をしているが、エルシアレベルなら詠唱破棄できてもおかしくはないと思ったが、幼少期に試したことを思い出したから、詠唱が終わるまで語らせてもらうぜ
まず、詠唱とは魔法を発動させるためのトリガーであることは常識。と思われているが、詠唱破棄があることからトリガーである可能性はある程度否定できる。
魔法を発動するには集中する必要がある。詠唱を覚えれば暗唱も可能だが、唱えるときよりもより高い集中力が求められる。自分が今どこまで詠唱したのか把握し続け、どんな魔法だ発動するのかイメージし続ける必要がある。そうなると、暗唱はマルチタスクで魔法が乱れる可能性があって、詠唱破棄はイメージする時間が極端に少なく、威力が落ちるかもしれない。そうなると、一定のリズムのある詠唱が声に出すことで集中力を高めつつ、詠唱完了までイメージする時間がたっぷりあるので成功確率が高まる。
でも、エルシアならどの方法をとっても変わらないと思うけどね…
―――フォレスト―――
木を生やして森にするシンプルな魔法に見えるが、木も生物の一種…生命体が生きていくためにどのようなプロセスを経ているか想像すれば、この魔法がどれほど複雑かどうかは想像がつくだろう…
エルシアから同心円状におおよそ10kmの森が形成された。
「どう?気に入ってもらえたかしら?」
「感動だよ!位置によっては木の大きさが違ってて、より自然的に見せるランダム性もあってかなり魔素を消費したでしょ?」
「そうなのよ〜。数百万MPは消費したわね。かなり効率的にはしたのだけれど、数百万で収まったのはかなり大変だったわね」
MPは魔素の量を表す。ステータスから見るとわかると思う。世界12位の俺ですら魔力が2410…ギルドカードには明確に明記されていないので魔力=魔素として考えると、エルシアが扱った数百万がどれほど異常かわかってほしい。
「えあ、うーん…なるほど!?エルシアの魔素はどのくらいあるの?」
「わからないわね。魔素を枯渇させるまで使えばわかるわね。常に体から漏れ出る魔素量を抑えているとだんだんわからなくなるのよ。」
「そうですか…とりあえず早速建設に移りますけど、いいですかね?一人で勝手に進めていくのでメンバーを集めておいてください。」
「わかったわ。もっといい感じになるようならアレンジしちゃってね。」
まずは、会議室の部分から作ることにする。庭や廊下は後付で建設しようと思う。木材はここに生えてる木を使うとして、釘を使わない木組みを使って組み立てていこうと思う。
設計図は脳内から目を通して、建設予定地に精密に設計図が写される。それに沿って建設を進めれば容易に完成につながる。設計図を2次元から3次元に移すと誤差が生まれる可能性が高まる。
まずは石を使って土台を立てていく。日本の城のように石垣上にしようと思うとなると石の施工技術が必要となる。ヴァンパイア城の加工屋を再び雇おうと思う。
しかし、基地の位置を機密にするため、加工場所は申し訳ないが別の場所にて行ってもらう。そこから建設予定地に輸送し、土台作りを進める。しかし加工したものを上手に組み合わせて頑丈な土台にするには設計図が必要。そこは問題ない。どんなものか知られても、どこにあるのかを知られなければいくら設計図を渡しても何も問題はない。
〈レッド、お願いがあるのだけれどいいかな?〉
〈承ります。今回はどのようなご要件でしょうか?〉
〈加工屋をまた雇いたいと思ってね。報酬についてはお金での支給にしようと思う。依頼内容としては石の加工だね。設計図を送るからそっちで加工してもらっても構わないよ。輸送はこっちの方でするから、設計図通りに加工してもらうだけで構わない。原料についてはこちらから送らせてもらう。加工屋たちに通達しておいてもらいたい。〉
〈承知いたしました。通達が生き届き次第また連絡させてもらいます。〉
〈ありがとう。こっちもこっちで準備があるからゆっくりで構わないよ。〉
―――加工屋への依頼も済んだことですしお寿司…
石垣といえば色んな種類の石が使われているが、ポピュラーなのは花崗岩。このあたりにあるのかどうかが気がかりだが…調査しよう。
フェニックスの生息していた火山は花崗岩が含まれているかどうかわからないが、とりあえず近くの火山はすべて調査しておいて損はない…と思いたい。
ということでフェニックスの生息していた火山につきました。マグマの粘度はまあまあ高め。花崗岩が含まれる可能性は無きにしもあらず。噴火すれば出てくるはず。過去に噴火した記録はあるから火山の麓を探せばあるかも…
―――しばらくして…
火山の麓を探し続けて3分後。花崗岩の塊を見つけた。これなら土台は3,40個くらいは作成できそう。
アイテムボックスにしまって、探索を続ける。
探索を続けたがあとは1,15個くらい作れるものが2個見つかった。あとは作れるかどうかな大きさがたくさんあった。
ファイアードラゴンが済んでいる火山に向かう。確かにドラゴンの気配があるけれど、かなり弱っているように感じる。
ドラゴンにも知性がある。知性があるほどストレスを感じやすいという研究があったりなかったり…
ドラゴンは誇り高く、孤高を貫くが危機に陥ったとき仲間を呼ぶ。弱っている状況にて魔力の大きい存在が近づけば危機に陥ったと勘違いするに違いない。こちらも魔素の漏れを制御して、最低でもドラゴンの魔素量よりも半分以下には制御したいところではある。
魔素量を制御し、火山内部へと向かう。
「我が領土に入り込むとは……いや、只者ではないな。何者だ?」
「実は、花崗岩が欲しくて採取しに来た次第です。」
「いや、問題はそこではない。―――」
目は見開いたままではいられるが、かなり視界が奪われる程度の閃光が走る。
目の前に現れたのは、小柄な角が生えた少年が立っていた。
「どちらかというと、そっちが只者ではないなって感じですけど!?」
「魔素の流出を最小限にし、弱ったふりをし続けておったが、とうとう見破られる日が来るとはな…」
「弱ったときにも弱ったときなりの特徴があって、それがなかったので分かる人にはわかるような感じでしたよ。
失礼も承知の上で聞いてほしいのですが、私の下につけとは言いません。少しの間私の領土に招待したいです。」
「我としてはここから離れたくない一心ではあるが、万年ここにいるとなると新しい世界に出会いたいというもの。…よかろう。百年の期間お主の領土にお邪魔させてもらおう。
自己紹介がまだだったな…
―――暴食の…いや、アセンスタ・ドラゴンだ。よろしく頼む。」
「暴食の…?調停者の肩書でしょうか?」
「誰から聞いた!?」
暴力的ではないが、言葉の圧で押される。
「エルシアから聞きました。言い出しがかなり似ていたのでつい口出ししてしまいました。」
「そうか、エルシアからか…資格を受け取った奴がいそうだと言っていたのは聞いていたが、まさかお前とは…エルシアからはほとんど聞かされていると言うことだな…」
「はい。様々なことを聞かされました。」
「……」
「えっと……」
「いまエルシアから連絡が入った。転移魔法陣の情報とともにな。この先に拠点の建設が進んでいると聞いた。」
「私が招待した場所ですね。拠点は私が先導して建設を進めています。」
「もしや、建材を探しにここまで来たということか…そういうことなら遠慮なく持っていってくれ。」
手持ちに持っている花崗岩を見せて「これと同じような物はありますか?」と聞いたら溶岩湖に潜って探しに行ってきてくれた。大丈夫の心配があったが、ここに万年住んでいるとなるとこのくらい平気なのだろう
会議する部屋分は揃ったのでヴァレンタインの加工場まで持っていって加工してもらおう。




