幸運を祈った言葉
―――ギルド本部にて
〈ミウ様。結果が出ましたのことです。〉
〈わかった。こっちもちょうどついたところ。すぐに向かうね〉
「アーバス。行くぞ」
―――ギルドの訓練場にて
「へぇ〜ギルドの本部の地下にこんな施設があったんだね……知らなかったぁ」
「レッド、やめさせるように言って。ギルド職員を待たせるわけにはいかないし。」
「仰せのままに」
レッドが、威圧するように声をかける。しかし、仲間たちは特に怖気づいた様子はなく、速やかにやめ行動した。レッドが信頼されている確固たる証拠が見れた。
―――ギルド本部エントランスにて
「結果が出ました。ギルドカードをお渡しします。にしてもすごいです。集団での登録は以前から何件か依頼されたことがあるのですが、ここまで全員のランク平均が高いのは見たことありません」
そんなことを言われつつ、結果が帰ってきた。
S+が4人。S-が6人。A+が9人。A-が3人。
S+の内、ヴァレンタインが世界ランク5位。レッドが38位。兄弟は兄が42位弟が45位。という結果。
「それで、このメンバーでユニオンを結成したいです。」
「わかりました。人員も、実績も豊富ですのですぐに許可が出ると思います。ですが、審議を一応通す必要があるので、後日連絡させてもらいます。」
手紙などを送るための転移魔法陣を登録し、ブルーに設置した。これで連絡手段は確立し、ユニオン結成は約束されたようなものとなった。
帰宅し、夜が明けると手紙が届いていた。
―――ユニオン結成の審議が通りました。マスターの登録、副マスターの登録、ユニオン名の登録が必要なので、大変申し訳無いのですがこちらへ再び来てもらいたい。
「アーバス、審議が通ったからきちんとした登録をするってさ。」
「わかった。すぐに準備する。」
〈レッド。また本部へ向かうから昨日のメンバーたちを集合させておいて。すうふんでそっちへ行くと思う。〉
〈承知。〉
―――数分後。
「ミウちゃん!おはよ〜!」
「おはよう。準備できた?」
「うん!ばっちり!いつでも準備オッケイ」
「よし。…アーバスは?」
「そろそろ来ると思うけど……」
「ミウ!もう行けるぞ!」
「そういえば、ブランも準備してる?」
まさかと思い、ブランの部屋をノックして入る。
「ブラン!起きてるか?」
「ミウさん〜まだ眠いですぅ〜もう少しだけ……」
「起きて!今日は大事な日なの!」
「じゃあ、このまま連れて行ってくださいよぉ〜」
「恥をかいても知らないぞ?」
「うむぅ?」
お仕置きが必要なので、ベッドごと本部へ持っていくことにした。
昨日の先鋭部隊と一緒に本部へ転移する。
移動中に、ブランは先鋭部隊に”可愛い”と思わせることに成功した
―――ギルド本部エントランスにて。
「大変お待ちしており…ました…(!?)」
「わがままな子にはお仕置きが必要です。」
苦笑いされた。
まずは、マスターと副マスターの登録のために、この書類に署名してください。
マスターは、アーバス。副マスターはヴァレンタインと、俺。
書類を渡すと、
「すみません。マスターが副マスターよりランクが低いとギルドの規定により受理することができないのです。」
「では、妾が…」
「お前は、絶対駄目だ!」
「しょうがない。強くない俺の定めだ。ユニオン結成が夢ではあったし、それができるなら、降りることは厭わないさ。マスターはミウでお願いします」
「アーバス……」
「厭わないって言ったでしょ?それにミウに任せていたほうが心強い。」
「それでは、アーバス様は副マスターということでよろしいでしょうか?」
「はい、構いません。」
「それでは、会計の方はいらっしゃいますか?」
寝ているブランの方を指し、「ブランが会計になります」と言った。
「えーっと…一応、技能検定があるのですが、受けてもらえますかね?」
「おーい!ブラン起きろ!逆に起きないほうが恥かかずに済むかもね」
「ん〜?どうしたのミウ様?……!?」
バサッって布団にくるまって隠れてしまった。
「……一応、俺より頭がいいのですが試しに僕が受けてみてもいいですか?」
「まあ、彼女が布団から出てくるまでなら、お遊び程度に解いてもらっても構いませんが、一応過去の問題ですからね。」
「わかっていますよ」
それで問題用紙と解答用紙、筆を配られ制限時間は30分。そのうちに問題を解くというもの。
いたってシンプルで、最も王道的な試験だ。
しかし、蓋をあけると、あら簡単。基本的な財政知識、税率計算。それだけ。ものの数分で終わってしまった。
「あの〜、終わりました…」
「もう終わったのですか!?ちょっと採点させてもらいます!」
―――数分後
「こんな短時間で終わらせてしかも満点……それに彼女のほうが頭が良いって……」
「ミウさん、私も受けたいです!」
「…では問題をご用意させてもらいますね。」
さっきとは違う問題が用意され、先ほどと同じようにして問題を解いてもらった。
ブランも同様に数分で終わらし、満点を取った。
「では、ブラン様が会計ということでよろしいですね?」
「はい」
「あとは、ユニオン名ですね。どういたしますか?」
「うーん……」
”エフティア”
「というのはどうです?」
「どういう意味だ?」
アーバスが問う。
「俺の知っている古代の言葉さ。少し読みやすいように変えたけどね。みんなの幸運などを祈る言葉さ。」
「妾は気に入ったぞ。」
「僕も納得だね。賛成する。」
「「「賛成」」」
「では、”エフティア”で登録させてもらいます。本日からあなた達のユニオンは有効です。こちらの依頼をまとめた書類のクエストリストと呼ばれるものです。すでに他のユニオンから依頼が引き抜かれていますが、まだまだ量はあります。毎日更新しておりますのでご確認ください。」
―――ブルーへ帰宅。
「おかえりなさいませ、ミウ様。もう遅いですし、ご飯にします?それとも、わ・た・し?」
「ヴァレンタインが、ユニオン結成のお祝いでパーティーを開くらしい。今日は思う存分楽しむぞ!!!」
―――ヴァレンタイン城の大広間にて
とても大規模なお祝いが開かれていた。俺としてはこの空気感は苦手である。
広間の端っこでワイングラス片手にグラスをゆっくり回しているのが、一番だ。痛いやつと思われるが、この光景を嗜むにはちょうどいいのだ。
「お主は何をしておる?今回の主役はお主であるわ!」
気づけば、高台でみんなを見渡せる位置に立っていた。
「そうすれば良いんだよ?」ボソボソ
「皆、お主のためにこの会を開いたのじゃ。それ相応に答えな、主の姿としてみっともないぞ」
…仕方ない。
「エフティア!みんなの幸運を祈った言葉だ!今日は思う存分楽しもうではないか!!!!」
「「「ワォォォォォォォーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」」」
そして、長いようで短い時間が過ぎていったのだった。




