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決戦前夜

 アイの目が治り、ヴァンパイア・ダンピール軍と情報交換をする。


 まずは、ヴァンパイア・ダンピール軍のことの成り行き。

 ソロモンが少し前に話していた通り、2つの種族・そして人間までも滅びかねないと思い、立ち向かうことにしたそうだ。

 それと、悪魔たちが北上する理由、ここに現れる理由も知っているとは言うが、現れる理由は、悪魔の住処とここへのアクセスが最適だからだそう。だけど、肝心な北上する理由については教えてくれなかった。

 ソロモンが「なにか言えない理由があるのだから、深堀りするのも良くない。言えるようになってもらえるまで待ったほうが良いだろう……」と言い、全員を納得させた。


 こちらの成り行きも、

 明日の朝、作戦通り討伐戦へと向かう予定であったが、戦いが起こったのを察知し急遽予定を変更し駆けつけたこと。

 をソロモンの口から直接伝えられた。


 〈そうでしたか……では、この後も協力して戦ってくれるということで解釈しても良いというわけですね?〉


 〈はい。志をともにする仲間はいればいるほど心強いです。こちらからもお願いします。〉


 〈では、このあとの作戦について立てましょうか。〉


 作戦がソロモンとヴァンパイア・ダンピール軍隊長のレッドがいくつかの作戦を立てていく。


 レッドが言うに、ソロモンがビッグバンを放った場所は悪魔たちが無理に転移魔法を発動したので悪魔の魔素・魔力が強く残っており、またここに現れる可能性が高いと言う。


 転移魔法にもクールタイムが存在し、数分は再度発動に時間がかかる。(同一人物であれば)

 なので、今度こそソロモンのビッグバンは必中である。

 対策としてはあらかじめ転移魔法陣を用意し、現れた瞬間再び展開するような方法だ。簡単に防げるが、ビッグバン実は燃費はよく、1日に数十回は打てるようなものである。打って損はないのだ。

 精密な魔力操作の上で成り立っている魔法である。


 もし、ソロモンのビッグバンが命中したのなら、君主級の悪魔とその側近の侯爵級以外は吹き飛ぶそうである。

 君主級が1匹。大侯爵が2匹。侯爵が4匹。相手に残る戦力はこの7匹になると思われる。侯爵級はビッグバンで多少弱体化していてもおかしくないので、賭ける人数を多くし、完全に消す。討伐でき次第、次の標的へと向かう。

 潰せるやつは先に潰しておいたほうが楽というものだ。

 他にも選択肢としてはたくさんあっただろうが、悪魔たちがまた現れるのがわからない中パッと思いつくのはこれしかなかった。


 レッドが軍団に作戦の内容を話す。


 ソロモンは、アイに念には念を押して目の予防策を再確認している。


 ―――待つこと…


 そろそろ日が昇りそうってとこまで来ている。メイカなんて、ヴァンパイアの一員と戦ってるし……


「はーっはは!我の力に驚いたか!だがまだこれも序の口!」


 もちろんヴァンパイアは何言っているのかさっぱりなので「?」状態である。


 こちらとしても、もちろん思考停止しているわけではない。

 可能性としては、また別位置での転移を企てている。それか、もう一つ上の階級の大君主を呼んでいるなど


 しかし、現れないと言ってここを離れるわけには行かない。


 緊張感を持つ状況だが、あまりにも暇。


 〈おーい?いま自宅でゴロゴロしてるとこだろ?〉


 〈ああ、すんげえ暇だ。〉


 〈意識だけこっちに戻ってこないか?悪魔討伐に役立ってほしい。転移した来た瞬間、多重詠唱で吹き飛ばす作戦。〉


 〈面白そうだな!いいぜ?最高火力で行こうじゃないか?〉


 脳を3つに増やす意識で、それぞれで詠唱を開始する。

 あいつに関しては、5つに増やしているそう。合計で10個の脳がある感覚。


 威力の公式は:魔法段階^詠唱した個数×魔法段階^詠唱した個数×………


 例:3段階^3×4段階^3=1728段階相当。


 すげ!………!?いやいやいや…11段階のビッグバンであれなら、この星吹っ飛ぶじゃん!!!


 〈却下!却下!〉


 〈何いってんだ?この世界の摂理である一定の威力は出ないようになってるぞ?威力は100段階あたりから一定になるぞ?相対関数ってやつだ。〉


 〈でも100とは言っても、このあたり生命体が生きれないほど吹っ飛ぶんじゃねえか?〉


 〈たしかにな。ヴァンパイアに確認取ったら?〉


 〈いや、聞かなくても却下だろ?〉


 〈いや、わからんぞ?〉


 〈いや、どう考えても住処失うんだから嫌に決まってるだろ?〉


 〈いや、いや、いや、いやばっかりうるせえな〜?地下空間に案内すればいいじゃねえか?環境の復活は時間が解決してくれる。〉


 〈責任あるのか、ないのか……まあ、聞くだけ聞くさ〉


「……あの、ソロモンさん。レッドさんに一つ聞いてほしいことがあるのですが、良いでしょうか?」


「いいぞ?でも先に話は聞いておく。」


「実は……」

 100段階相当の魔法を打ち込みたいと言った。


「冗談きついぜ?打てるなら空に試し打ちしてみな?」


 〈聞いてたよな?一発だけだぞ?〉


 〈じゃあ、いくぞ?〉


 今回のレシピは第3段階魔法を4つ詠唱していきます。81段階です。

 詠唱を淡々と進め、完了しました。

 魔法の発射口もピリ付いて来たので打ちます。


 ドーン!


 空に穴が空きました。オゾン層は破壊され、紫外線が大量に降り注いでいます。環境破壊は蜜の味がするが、目に見えないのであまり味がしない。と言っている場合ではない。そこら中見渡すと、

 ヴァンパイアが苦しそうにしている。日光を克服した者のみを連れてきたそうだが、紫外線に弱かったのか!


 やばいと思い、闇魔法で範囲的な夜を形成した。

 しかし、オゾン層もすぐに治るわけではなく、数年はこの状態が続くかも………


「……ぜひ打ってもらいたいが、打ってほしくない。」


「ですよね〜」


「!?今のはなんだ?」


 レッドが慌てた様子でこちらに近づく。


 ソロモンが顔をそむけながらこちらに指を指す。


「まさか、これほどのお力をお持ちであったとは……ソロモンさん彼は一体?」


「ミウって言う人です。ああ、それとこの人がここへさっきの魔法を打ち込みたいと申しています。」


「さっきの試し打ちですでに人間が住みにくい環境となってしまいました!ごめんなさい!もしよければこちらで新たな住処を用意します!!!!」


「謝らないでください。すでにここの大陸では砂漠化が進み、数十年後にはどんな生物でも住めない状態になります。」


 するといきなり、レッドが虚空を向きながらじっと眺め始めた。


「すいません。女王様とお話していました。新たな住処を手に入れれるかもしれないと。」


「俺自身としては歓迎だけど、大丈夫?」


「長命のヴァンパイアにとって、数十年は長くて短いものです。残り数十年で新たに住処を探すのは至難の業。そしてまたとない機会。それにおまけで悪魔の討伐が約束されたようなその魔法。いずれ住めなくなるのであればいつ破壊しても同じ。ぜひともその提案に乗らせていただきたい。」


「この場所に思い入れはない?」


「あると言えばあります。ですけど、すでに破壊されてしまった(ミウさんのせいではない)場所に破壊を行っても何も変わりません。また来ようと思えば来れる場所ですので、気になさらず。」


「本当に良いのですか?」


「ふっ…大丈夫ですよ。それとあなたのその心配具合、アカシアによく似ています。言葉は通じなかったものの、何度も心配しているんだなと感じました。」


「彼と知り合いなのですね?」


「そうですね。どちらかと言うと知っているのほうが正しいでしょうね。私が生まれてすぐだったので記憶が曖昧で、合ったことがあるのかわかりませんが、父からよくその人物像を聞かされていました。」


「そうなんですね。って、見た目的に20代なのに軽く2000歳超え!?」


「ふふ、長命種は見た目で判断してはいけませんよ?特に女性にはね。地の果てまで追いかけられる事例も多々……」


 ―――バリバリ……転移魔法特有の音が聞こえてきた。


『っは!ヴァンパイアもダンピールも人間と手を組むことにしたか!愚かめ……いくら組んでも無駄。目的を達成するためだ。邪魔者共には消えてもらう……』

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