前夜
現在、最西の地へ向かう準備をしている最中である。
…っと、その前にこの討伐依頼を受注しないといけない。これをしなければ何も始まらないも同然。
しかし、この依頼書を持ってカウンターへ行くのも何かしら気まずいと言うかなんというか……
カウンターの方に俺のステータス更新をしてくれたお姉さんがいる。
困ったときに頼れるいい人だ。
「すいません…悪魔の討伐へ行きたいのですが、あの依頼書を持ってくるのが少し気まずくて……」
「別に自身持って持ってこればいいじゃないですか?逆に”俺は100位以上だぞ”って威張れるし!」
「その威張るのがなんか、恥ずかしいと言うか、器が小さく見られません?」
「そうですか?私なら絶対威張りますけどね。おっと、話がズレてしまいましたね。悪魔討伐の依頼ですね?こちらから依頼の受注がされたと報告しておきますので、ご安心を。では、ご武運を……」
「ありがとうございます。では、行ってきます。」
―――クエストの受注を済まし、市場へ向かい、手軽に食べられる食料をいくつか買った。
そして、図書館にて―――
「すいません、司書さん。地図はありますか?世界全部が書かれているものです。」
「………」
黙ったまま、指をさす。
その方向には地理関係の書物が置かれている。
「あ、ありがとうございます…」
あるのかわからないので、はっきりと感謝は言えない。言うべきだろうが、曖昧だとこちらも曖昧になってしまう。
司書さんが指していた方向へ向かい、地図らしきものを探す。
四つ折りにされて置かれている紙がある。開くと、ちゃんと地図だった。地方名などは書かれていないが、地形の特徴などはしっかり捉えられている。
軽くどんな感じかと言うと、6つの大陸がある。1つは北の地。そして左半分の中央に中国を右回りに120°回した形の大陸がある。その更に左下、あまり大きいとは言えないが、確かに大陸がある。そして真ん中にドカンと地図の3割は占めるほどの大陸がある。それと南極に一つ。そして今回の目的地の最西の大陸。
現在地は、中央大陸のアトランティス。
どのくらいの距離なのかはっきりしないが、地球サイズと仮定するとおおよそ15000km。いくら音速の数倍の速さで移動できたとしても半日は絶対。それに部隊を組んで移動するとなると、数日は確定。
―――そんなことを考え続けていたら、ついに部隊の結成日が訪れた。
「お集まりいただき感謝申し上げます。ご存じの方はいらっしゃると思いますが、私はギルド34代目の代表取締役社長のサトーです。どうかお見知りおきを。
今回集まってもらったのはほかでもない、君主級の悪魔討伐です。発生原因については現在調査が進められていますが、足取りは掴めぬままです。まだ被害が出たという報告は上がっていませんが、いつ被害が出てもおかしくありません。それと、今回の目的は悪魔の無力化です。なので封印するなどの無力化でも構いません。
…最西の地まで転移魔法陣で結んであるので、準備でき次第向かってもらいます。食料などの支援は必ず行います。成功を祈ります」
移動の心配はなくなった。食料いついても全然問題はない。
「や、やあ…わ、我の名は”冥界の殲滅者:カタストr…」
「無理しなくていいぞ…?」
「っふ…我の名に怖気づいたか…っははは!」
「まだ、完全に名前聞いてないけど?」
「我の名は”冥界の殲滅者:カタストロフィ”だ!!!…あーっははは!我の参加にさぞ感動しておろう?」
「だから、無理すんなって?それと君結構幼く見えるね?何歳?」
「っ!?む、無理などしてい…無理などしておらぬ。っふ…我にこの長きにわたる戦況を生き抜いてきた年を聞くとはな…いいだろう!教えてやろう…我が生まれたのは遥か太古の時……
あまりに長かったので要約:
昔に生まれて、何度も生まれ変わってきたそう。だけど、その転生の時どうやら世界のバグのようなものに阻まれて記憶を失うらしい。記憶はないけど、自分は自分だから数え切れないほど生きてきたそう。
…それ故、我の年齢は汲めども尽きぬというわけだ。」
「俺はミウ。12歳、よろしくね。」
「12!?不正登録じゃ?」
「っははは!それが、本性でしょ?まあ、君と僕の秘密さ。」
「秘密……はっ!さっきのは本性ではない!」
「じゃあ、何なの?って聞くと黙りこくっちゃう気がするからやめとくね。俺も準備しないといけないし、またね♪」
「我の圧に恐れおののいたか!では、決戦の地でまた会おう…」
案外かわいいやつだな。ネロのメンテナンスと、事前に魔法陣を組んでアイテムボックスにしまっておこう。
最近になって、多重詠唱も魔法陣に打ち込めると気づいたので、さそくさと準備を進める。
「お?魔法陣組んでるじゃないか?しかもすごく複雑な……あっごめん。自己紹介がまだだったね。僕の名前はテスタ。職業は魔道士。よろしくね」
「こちらこそ。名前はミウ。職業は魔剣士。よろしくね」
「魔剣士!?魔剣士でその魔法を!?それに、全く知らない技法も使われているし……それ、僕に教えてくれる?(わくわく)」
「うーん…じゃあ、今回の件で一番活躍したらね」
「約束だよ?」
「ああ、もちろん。使えるかはまた別になるけど…」
「魔法に目覚めた者の知識欲求を舐めてもらっては困るね」
「無力化できるのを祈ってるよ」
「そうだね。じゃあまた後でね」
―――複数の魔法陣を重ねた多重魔法陣をいくつか作り、アイテムボックスに保管する。
最後の切り札を含めて―――




