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ブルーに戻るとちょうど、リーナが少女の部屋から出てきた。それにブルー全体がきれいになっているような……
「おはよう、リーナ。ここの掃除してくれた?」
「はい!頑張りました!出来栄えはどうですか?」
「完璧だよ!…それと、あの子にあってきた?」
「一応会ってきましたけど、起きたばかりであまりちゃんと会っていません。……でも挨拶はした。………その子は?」
「えーっと………」
「わ、私はアイナと言います。よ、よろしくお願いします………」
「アイナちゃんね。よろしくね♪」
「はい!」
アイナって名前なのか、そう言えば聞いてなかったな。少女にも会わせてあげよう。
「アイナ、この子だよ」
驚いた顔をしていた。まだ顔や腕など見えるところに傷が残っているのだから。
「大丈夫……なの?」
「大丈夫だよ。薬を使って痛みを抑えているからそこまで痛くないの」
「そうなんだ……これからよろしくね」
「こちらこそよろしくね」
少し反応が冷たい気がした。
(名前がないから少し妬んでいるのだろうか?)
「……そろそろ名前決めない?君にとっても僕達にとってもあった方がいいからさ」
アーバスが入ってきた。少し捉え方によっては語弊のある言葉であるが、理にかなってはいる。
「実は、ずーっと考えてたの。それで出た結論は――――――
ミウさんに考えってほしいって」
「いい考えじゃない?私もミウ様から名前を付けられたかったです。」
「自分自身に自分で名付けるより、思い入れのある人に付けられる方が嬉しいだろうしな」
みんな肯定的……とは言っても、名付けなんか………
「だ、だめですか……?」
だめなわけ無いだろぉぉぉ!そんな可愛い顔されたら断れないだろ?断る気なかったけど。
「うーん……(純白の髪、うっすら赤い瞳……フランス語で白の意味のブラン……安直すぎるか?でも、自分なりにセンスあると思うのだが……)ブランなんてどうだ?」
「ブラン……意味としては何ですか?」
「白って意味が含まれてる……」
「っふふ、ミウさんらしい安直な名前ですね。気に入りました。ですがミウさんのイメージカラーの黒と対極しているのはわざとですか?」
「そんなことないよ。たまたま、別に反対だから会えなくなるとかじゃないから。――――――じゃあ朝食にするか!」
俺はブルーの台所へ向かい、予定してたはちみつレモントーストを作成する。
「おーい、ミウの兄ちゃんはいるか?解体が終わったぞ〜」
どうやら解体が終わったらしく、わざわざ伝えに来てくれたらしい。部屋にいるブラン以外お前誰?状態だったので、事情を説明した。
「なんだ?今から朝ご飯か?一緒にしてもいいか?」
「俺としては構わないが、みんなはどうだ?」
『いいよ〜』
満場一致でOK。
俺は予定通り、トーストを作ってみんなで食べる。
「そう言えば、今朝レモン一個盗まれたって事件が起きたらしい。お前らも雑貨屋だし、気をつけろよ」
アイナがこちらを見ている。思念伝達をアイナに向けて飛ばす。
〈わかっているだろうが、絶対に言うなよ…〉
ニコっと笑う。こんな状況の笑顔が一番怖いのである。
「それじゃあ、兄ちゃんに用事があるからよろしく」
「ブランの分も届けておいてね。アーバス、最低でも320万入るからよろしく」
ニカっと笑う。この状況の笑顔は欲望に満ちているのである。
ギルドの解体場につくと、鑑定士らしき人が立っていた。
「はじめまして、ミウさん。鑑定士のレクロスと申します。以後お見知りおきを」
「はい。よろしくお願いします。」
「まず、単刀直入に言うと、今回のレッドサーペントの素材の状態は非常によく、依頼した貴族方に”依頼として提示していた額での購入は不可能です”と申立て購入額の向上ができました。」
「一体いくら……?」
「300万です。おおよそ2倍です。と思いきや、素材を実際に見せると想像以上の物品だったので更に値上げができ、500万まで上がりました。私としてもこれは想定外です。私が買い取るなら400万程度ですが、あの貴族は知能がないのでしょうか?でも、それ以上に彼らには魅力的に見えたのでしょうね。」
一部悪口が入っていたのはとりあえずスルー。というか500万て何だよ!
「では、貴族の方に直接売りに行くので、付いてきてください。」
「その貴族の名は何ですか?」
「ルドルフ・レグナス家です。この王国内の影響力は3番目程度ですかね。」
「かなりの大物ですね……」
「そんなに緊張することでもないですよ。彼らは他の貴族と比べて、非常に優しいというのか?穏やかなんです。貧民にも支援を行い、非常に国民から指示されている貴族です。…じゃあなんでレッドサーペントの皮なんて買おうとしたのでしょうか?」
(たまに毒舌になるなこの人……ストレスってやつか……)
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ルドルフ・レグナス家に付いて―――
「失礼します。レッドサーペントの購入の件でこちらに来ました。」
「どうぞ、お入りください。」
執事らしき人が案内をする。
「そこの方、できればその被り物を外してもらってもよろしいでしょうか?」
「すみません。それについては、控えさせてもらいます。どうしても脱げない事情がありまして」
「………」
「ミウ殿よ、被ったままで良いぞ。それに今回は品を購入する最後の手続きのみであるしな。」
部屋からこの屋敷の長らしき人が出てきた。
「ありがとうございます。」
新聞に悪魔の使いと書かれた名前と同じでそれに、顔を隠したいなどほぼ確信犯である。
(これはミスったな………)
「では、これが500万だ。」
この世界は貨幣社会なので、必然的に額が大きくなるほど貨幣の量は大きくなる。
銅貨(小):10
銅貨(大):100
銀貨(小):500
銀貨(大):1,000
金貨(小):10,000
金貨(大):100,000
ミスリル金貨:1,000,000
※(小)はおおよそ日本での100円玉サイズ。(大)は500円玉サイスとなっており、ミスリル金貨も500円玉サイズ。
今回の支払いはミスリル金貨での支払いなので、5枚で済んでいる。これに100万の価値があるように俺自身としては思えない。でもこの世界でもう決まってるから受け入れるしかない。
「ミウ殿、今回の依頼よく受けてくれた。ルドルフ家代表として感謝する。」
「いえいえ、力試しに依頼を受けた程度です。また依頼があったら受け付けます。」
そう言って、ルドスフ家から去る。魔力探知をしながら――――――




