6話 女性に暴力は振るわない
六車くんが僕を導いてくれたおかげで学校にたどり着いた、だけどこの人、ヤンキーなんだよね。
「じゃ、俺はこの教室だからよ、じゃ」
「うん、またあとで」
僕は自分の席に向かった、だけれど僕の椅子があの女子に取られていた。
「あっ、ごめーん、使うなら空気椅子だね」
「そうか」
僕はカバンを机のそばにかけ、教科書を机の中に入れていった。
「よっと」
僕の背中に椅子が投げつけられた。
「この椅子、物凄く気持ち悪いんですけどー」
「ねー」
僕は机に突っ伏せていた。そして誰かが教室に入ってきた。
「あー、耳が聞こえない奴だー、こう言っても聞こえてないんだろうなー」
そう大声で騒ぎ立てる女子、周りは無視を決め込んでいる人もいればスマホでこの光景を撮っている人もいた。
「ほら、何か声を出せよ、ぎゃぁとか」
どうせ、この女子は人を尊く思ったりしてないんだろうな。
「また来たぞーってなんじゃこりゃぁぁ!!!」
隣のクラスから六車くんがやってきた。
「女子が女子の髪の毛を引っ張てるじゃねーか!?」
(そんな大声で言う六車くんの方はもう少し落ち着いた方がいいかもね」
そして六車くんはその女子の前に近づいて行った。
(これ……傷つけたりしないのかな……?)
「こら、女子同士、仲良くしろよ」
「何なのよアンタ、気持ち悪いんだよ!」
「そ……そうなのか……」
そう言われて僕のところに歩いてきた。
「なぁ~主席君~あんなこと言われたよ~」
「てっきり暴力を振るうのかと思ったよ」
「俺は女性に暴力を振るわないからな……だけど……あんなことを言われたんだ、慰めてくれるよな」
「はいはい、よしよし」
「はぁ?何あれ、きも~い」
そう言って女子は教室を出ていった。
「しかしよぉ~俺、馬鹿だからよぉ~勉強教えてくれね?」
「いいよ、だけど帰りはある人と一緒だからね」
「ある人って、恋人か!?」
そのワードにクラス中の視線は釘付けになった。
「いいや、恋人じゃないんだ」
「そうか、ドキドキさせやがってよぉ~」
その時、チャイムが鳴った。
「おっと、俺は教室に帰るぞ」
そう言って六車くんは教室に帰っていった。
「おはよっぴー」
「また先生っぴーってつけてるー」
「最近のマイブームなんだ、出席を取るぞー、1番、秋口」
「はーい」
そう言って出欠確認を取っていった、僕の番号は20番、ちなみに今回の受験者数は127人で定員数は60人だ。そう言っている間に僕の番が近づいてきた。
「20番、吉田」
「はい!」
「元気いいなぁ、何かあったか?」
「何でもないです!」
「そうか、今日も、ガッツファイア!」
「センセーださーい」
そんな声を聞いた先生はちょっと泣いていた。