59話 和解の涙
鏑木の目に涙が流れていることに気が付いた鈴凛さんは黙ってティッシュを出した。
「ありがと……」
「ぉたがぃさま」
「それで、どうして住所がわかったんですか?」
「それは……探偵を雇ってわかったんですよ」
「探偵ですか……私に言えばこういう場を設けることも考えましたが……急に押しかけて来たので追い返そうとしてました」
「いえいえ、その思考になるのは仕方ないんです……」
そうして鏑木さんの母親は立ち上がった。
「私たちは帰ります……ご迷惑をおかけしました」
「いえいえ、わざわざ遠方まで……御足労をかけましたな」
そうして鏑木と鏑木さんの母親は帰っていった。
「……しかし、急に押しかけてくるからバタバタしちゃったな」
恵さんは「はーほんと迷惑」と言わんばかりの顔だった。
「僕は部屋に入ってるね」
「いってら」
そうして僕は自分の部屋に入り、再びぼーっとした。
(しかし、急に押しかけてきたのって、本当に申し訳ないっていう事なのかな?)
恵さんは少しだけ怒っていた、我が子が傷つけられた怒りを少しだけぶつけていたけど、ほとんどは抑えていた、そのことをあの人たちが気が付いていたらいいなと僕は思う。
「……アイス食べるか」
僕は冷凍庫を漁りにキッチンに向かった。
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