5話 夜の茶畑にて
僕は夜の茶畑に向かった、鈴凛さんどこに行ったんだろう……心配だ。
「鈴凛さーん!どこにいますかー!?」
僕は霞む視界と聴力を頼りに鈴凛さんを探していた、だけど聞こえてくるのは反響する僕の声だった。
「どこなんだ……一体」
「ここだよー」
上から鈴凛さんの声が聞こえてきた。僕はその声を頼りに坂道を登っていった。
「ここかなぁ?」
「ここにぃるよ」
僕の手を掴み、そういった。
「二人だけだね……ぇへへ」
「そうだね……」
「星、きれぃだね」
「ごめん、僕は目があまり見えないんだ」
「そぅぃぇば、目がみぇなぃんだっけ」
「そういう鈴凛さんは耳が聞こえないんでしょ」
そうして僕と鈴凛さんは手をつなぎながら家に帰った、鈴凛さんはどうやら素足で出かけていたから足が泥だらけだったらしい。
「鈴凛……もう、あなた……靴下ぐらい履きなさいよ」
「ごめんちゃぃ」
そう言いながら手話をしている恵さん……すごい。
「風呂に入ってきなさい、幸くんはこのまま寝るの?」
「ちょっと書類を書いてもらわないとって、先生が」
「そうなのね……最近の学校はめんどくさいのね」
「はい、これ」
僕は学校から渡された書類を恵さんに渡し、僕は明日の用意をしてから眠った。
(この布団、いいにおいがする)
僕は布団に包まれ、そのまま熟睡した。
翌日、6時に起き、ゆったりと学校の支度を始めた。
「おはよー、幸くん」
「おはよう……」
「ぉはよぉ~」
鈴凛さんは眠たそうだった。
「さて、ご飯を食べたらさっそく車で出発よ」
「うん、これ美味いね」
「お茶の佃煮だね、これ美味いのよねぇ~」
僕はお茶の佃煮をご飯と一緒に食べ、そのまま学校に向かう車に乗った。
「じゃ、出発するよー」
車が発進した後、鈴凛さんは何か言い始めた。
「また、ぃじめられなぃのかな……?」
「幸くん、紙に私の言ったこと、書いて、それを鈴凛に見せて」
「分かった、運転中は手話ができないから……ですよね」
「イグザクトリー、じゃ、頼むよー」
僕は紙を出し恵さんのが言ったことを書いて行った。
「もしもいじめる奴がいても幸くんが付いてるから安心していいよ」
僕は書いた内容を鈴凛さんに見せた。
「……わかった!」
「分かればよろしい」
今言った言葉も書いて見せた。
「ん!」
そうして話をしつつ、偶に笑ったした。そして僕と鈴凛さんは別々の場所で降りた。一緒に暮らしてるとなるとちょっとめんどくさくなるかもしれないからね。
「じゃ、行ってらっしゃい!」
「いってきまーす」
僕は昨日と同じ道を歩いていた、曲がり角からまたあのいかつい人が現れた。
「何だテメェ……って主席君じゃねーか、うっす」
「あの金を出してきた人……だよね」
「そのイメージが強いのか……俺は六車健一、よろしくな、それで、目は見えてるよな」
「ぼんやりと見えてるんだ」
「なるほどな……ちなみに、小言でいい、女子のパンツは見た事はあるか」
「見たことは無いね」
「そうか、男として純粋だな、行こうか」
どうしてかは知らないけど、六車くんの顔には涙が流れていた。
最後まで見てくれてありがとうございます。
少しでも続きが気になる、それか面白ければブックマーク・評価・いいね・感想とレビューをお願いします!
評価が自分のモチベーションになってハッスルハッスルするのでよろしくお願いします!