54話 どこかに行ったノート
僕は本棚を探した、だがそこにもノートはなかった。
「ッチ、どこにやっちゃったんだろう……本当に馬鹿野郎……僕」
僕の様子を見ていた恵さんが部屋に入ってきた。
「どうしたのよ、そんな荒れちゃって、もしかして、反抗期?」
「違う、ノートが無いんだよ」
「あちゃー。そのノート、どこにやったのか、探そうか?」
「探してくれるの?」
「探すよ、どうせ、今日のデートの事を書きたいんでしょ?」
「お見通しだったか……」
「あれだってれっきとしたデートなんだよな、本当は海とか山とかでプロポーズをするのに」
「そもそも恵さんって何ですか?恋に口を出して」
「自称恋愛のプロフェッショナルよ」
「はいはい」
僕はその話を適当に受け流した。
「ねぇ、今話を聞いてろくでもないと思ったでしょ」
「思ったけど、どうしたの?」
「あのねぇ、チャンスってのを回転寿司で例えるとチャンスの皿を逃したらもうチャンスは訪れないんだよ?」
「……チャンスの皿」
「そう、チャンスの皿。そしてね、そのチャンスの皿は今の事なんだよ」
「今……恵さんといる事?」
「違う、アドバイスをしてやってるんだ、それで鈴凛に告白をしてやれ、私は祝福してやるぞ」
そう言ってポーズを取った。
「どうしてアナスイのポーズを」
「どうしてそのキャラを知ってるの?」
「あそこの本棚、見て」
「あー、あの漫画見てるのね」
「だって、今の人たちってあまり漫画とか読まないから国語の点数が低くなってるんだ、だから僕は漫画を読んでるんだ」
「へぇ……」
恵さんは僕の本棚を見た。
「凄いな、1部から9部までそろえてる……」
この光景を見る人がいた。
「……ぉかぁさん」
「鈴凛!?」
「見てたよ、本当にその本に目がなぃのね」
「そうなんだけどさ……ほら、惹かれるんだよね!?」
「見苦しぃぃぃわけ」
鈴凛さんと恵さんは本当に楽しい会話をしているなと遠くから見ていた。
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