3話 ァゥト・ォブ・がんちゅぅ
僕は靴を脱ぎ、自室に入った。
「……資料、渡さないとな」
僕は資料を机に出し、僕が書くところを書いていった。
「ここは名前を書く場所、これは書かなくてもいい」
そして下からあの子の声が聞こえてきた。
「ご飯だよ~」
僕は下の階に向かった、そしておかゆを食べ始めた。
「……後であの人に聞かないと」
「どぅしたの?」
僕は紙に疑問点を書いて行った。
{今までどこにいたの?}
「ずっとぃた、みぇてなかったの?」
{多分見えてなかった}
「これが、漫画でぃぅところの『ァゥト・ォブ・がんちゅぅ』だね」
そんな話をしている彼女はぼやけていた。眼鏡をつけていないからかな……
「ただいまー、もう帰ってたのね」
「ちょっと聞きたいんだけど、前までこの子いたの?」
「あー、そうだね、目が悪かったんだね、この子は八木鈴凛、虐待で耳が聞こえなくなったんだ」
「虐待で……」
「そういう幸くんの家庭も大概よ」
「それで、お父さんは?」
「離婚した、虐待をしてたけど、ある日を境に私と鈴凛に興味を湧かなくなっていってね、そのまま別れたっていうね。でも離れられてよかったって思うよ」
「そうなんですね……」
「でも鈴凛は人より2倍ぐらい勉強を頑張ってたんだけど、幸くんみたいな子に主席を取られて学年2位ってね」
「そうだったんだ……」
今日あったことを言おうとしたが、どうしても言い出せなかった。
「……きょぅ、髪の毛引っ張られた」
「そうなのね……大丈夫、あなたなら大丈夫」
「ママだぃすき」
「そういえば鈴凛さんってどうして母音が聞こえにくいんですかね?」
「それはね、自分の声が聴けないからね、母音の発音が分からないんだ、だけど子音は出来てるんだよね、それも個性なの」
「個性ですか……」
「世の中にはギフテッドがいると聞いたことある?」
「聞いたことはあるんですが、どういう物なのか、分からないんですよね」
「幸くんみたいに頭が生まれつきとびぬけて天才って事、幸くんの場合、視覚を頭の良さでカバーしていったらいいんだよ」
「……僕って、ギフテッドなのかな」
「多分そうだね……」
「それと……鈴凛さんの手が僕の手に触れた時、何か……ドキドキしたような気がして」
それを聞いてその場にのたうち回る人、それを見る僕、慌てて止める鈴凛さん。
「わわわ」
「それって……こ」
「わわわ」
「でもいいじゃんか、甘酸っぱいねぇ……私も学生の時、そんな感じになりたかったな」
僕は素朴な疑問を言おうとした。
「ここで何年も暮らしてきたけど、名前聞いてなかったね」
「そうだっけ、封筒を見て名前を知ってると思ったら」
「いや、そんなことは無いよ」
「なら言っちゃおうかな。私は八木恵、改めてよろしくね」
「うん、よろしく」
「どぅしたの?」
そうして僕は少しだけ疑問だったことを言ったから少しだけ心がふんわりとした。
「茶畑、ぃこ」
「茶畑って、この近くにあったんだ」
「そうだよ、3人で行ってみる?」
それと同時に手話をしていた。
「ぃこ」
「分かったよ、行こうか」
そうして僕は茶畑を見に行くことにした。
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