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2話 高嶺の花

放送で始業式が始まると言われたので体育館に向かった。

「しかし、どんな校長なんだろう……?」

周りがざわざわしていると校長が出てきた。

「えーと、そこのギャル!一旦話をやめてこっちを向きなさい」

「えー?なんでですかー?」

「それか声のトーンをもっと落とせ、わしの話が聞こえないだろう」

「どうして声のトーンを下げないといけないんですか、それに、錆の付いた話なんて、誰も聞きたがらないでしょー」

周りの取り巻きが同調するようにねーと言っていた。

「まぁいい、入学おめでとう、さっそくこんな目に合っているが、新入生代表挨拶を行う」

新入生代表は大抵主席が行うのだ、だがその主席は僕だ。目があまり見えない中でスピーチをしないといけない。そばで先生がサポートをしてくれるから安心だが、ちょっとだけ怖かった。そして僕は新入生代表挨拶を終えた。

「ヒィ……」

「お疲れ様、あっ、君はちょっとここに居てね」

小声で校長がそう言った。

「まず、この子は視覚に問題がある子で少しだけ迷いながら新入生代表挨拶をしてくれた、わしは敬意を示したい。まずこの学校ではいろいろな個性を抱えた子が多い」

その時、僕のクラスの女子が騒ぎ立てた。

「ならこいつはどう?耳が聞こえないんだよ?」

きつく言われてた子の髪を掴んでいた。

「困ったな……周りの先生方、その女子高生を一旦拘束しておいてください」

そうしてその女子は先生に取り押さえられ、外に運び出された。

「皆さん、申し訳ない、そして今日、必要書類が渡されたはずなので明日か明後日に出してください、以上!解散!」

そう言って校長は僕を抱っこして階段を降りてくれた。

「ありがとう……おじちゃん」

「おじちゃんか……もうそんな年なのか……」

僕はそのまま帰ろうとした、すると後ろから誰かが来た。

「お前って……あの朝の」

「……誰です?」

「あの時はごめん!まさかここの高校の首席なんて……これ、詫び料の3万だ」

僕はその人に見覚えがあまりなかった、だけどこの声、登校してる時に絡んできた人だとわかった。

「大丈夫、君のお金でしょ?」

「いいのか?」

「うん、僕なんか、どこにも行けないし」

「そうか、なら(ダチ)と呼ばせてくれ」

「そんな……いいって」

「いいから、ほら、(ダチ)って呼んでくれよ」

朝会ったときと空気が変わっていた、そして僕は急いで帰りの電車に乗ろうとした。

「……しかし、帰りの定期券、買っておいてよかった」

行きは車で行けるけど帰りは電車に乗って帰らないといけない。本当に時間がかかる。

(たしか逆の方向に行けば天王寺に行けるんだっけ」

そうして待っていると横から誰かがくっついてきた。

「誰ですか?」

匂いはいい匂いの人で知っている人かもしれないと思った。

「ぁの……ぃっしょにかぇりましょぅ」

イントネーションが変だけど、聞き覚えがあった。あの時、髪を引っ張られていた人だと。

「あの……声、聞こえないんですか?」

その答えに帰ってきたのは、紙だった。

「これに書いてって?」

「ゎたし、こぇ、きこぇなぃ」

「そうだったんだ、ごめんね、つい声が聞こえるんだと」

僕は紙に今言ったことを書いた、そして見せた時、僕の目には彼女のほほ笑んでいる顔、そしてかわいい顔がくっきりと見えた。

「……ぃっしょ」

だけどこの子はあの人の子だ、僕は養子として迎え入れられたんだ、血はつながっていないんだ。

「おっと、来た、じゃ、一緒に乗ろうか」

こんなことを言っているけど、彼女には聞こえていないんだっけ。

「……ふぅ」

僕は椅子に座った、この時間、電車は空いているらしい。

「……出発した感覚がしたな」

そして1時間経ち、隣の子が僕の肩を叩いた。

「どうかしたの?」

「出る」

まだ月ケ瀬口駅じゃないはず。

「乗り換ぇ」

「乗り換えなのか……なら行かないとな」

僕たちは乗り換えで関西本線に乗った。

「……目がみぇなぃの?」

僕は紙を出し、YesとNoを書き、Yesを指さした。

「ゎかった」

その時、僕の手に彼女の手が触れた。

(このドキドキした感情……初めて)

そして電車に揺られること20分ぐらい、また彼女が僕の肩を叩いた。

「ぉりる」

「降りるのか、分かった、ここが月ケ瀬口駅か」

その時、電車のアナウンスで月ケ瀬口駅とはっきり聞こえた。

「次は月ケ瀬口駅、月ケ瀬口駅、降り口は右方向です」

僕たちは電車を降り、そのまま家に帰った。そういえば、この子の家って、どこなんだろう?

「ここ、ぃぇ()

そこは僕の住んでいる家だった。

「僕もなんだけど……」

僕は紙に言ったことを書いた。

「……知ってる、だって、みてぃたもん(見ていたもん)

その子は僕が住んでいる家に住んでると言っていた。

「……ご飯、作る」

そう言って無邪気に彼女は走っていった。しかし、見覚えが無い……記憶力がないだけなのかな……?わからない……

最後まで見てくれてありがとうございます。

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