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解決。そして

「「かんぱ~い」」

トラブルも無事に解決し、その打ち上げをいつもの酒場で催す。が、二人だけというのもなんなので、何人か呼ぼうということになる。で、集まったのはアーシアの同期のプロメテウス様とイザベル様、そしていろいろあって仲良くなったジュロ。結局はいつものメンバーだ。

「はーっはっは! トラブルもさらりと解決!素晴らしい!」

「プロメうっさい!」

「はーっはっは!すまん!」

「でも、本当に。アーシアがトラブルを引き起こして田中が解決、そんなイメージしかなかったもの」

謝罪しつつも声は大きいままのプロメ様、普通に飲んで話しているだけなのに妖艶なイザベル様、相変わらずである。

「てか、田中が慌てる状況とか逆に想像できねえっすわ。んなこともあんだね~」

「俺も所詮は只の人間ということだ。人間関係や個人の能力が発端の問題ならともかく、スキルやら人間の範疇を超えた事となると知識からして足りない」

そう言ってジョッキをグイと飲み干す。能力は無くとも解決の糸口は、そんなことも今回は出来なかった。というよりも

「田中の出番が無い程にアーシアの対応が素早かったのである!」

「だからうっさい!あとありがと。まぁちょっとね」

「あら、ちょっとって?」

イザベルの疑問にアーシアが少し恥じらいながら答える。

「ん~最初にさ、田中と二人で今度の転生者が『普通過ぎて恐い』って笑ってたんだけど、なんかマジで不安になって? んで、こういうヤツが起こすトラブルって何だろ?って思って?」

「あの状況、前もって予測していたのか!?」

私は素で驚いた。もはや侮っていたわけではない。が、ここまで周到になれるとは思っていなかったのはたしかだ。

「ん~そこまで大したもんじゃないのよ。真面目なヤツだったら色恋や権力に~が可能性高いかな?って思っただけで。んで、それならどっちも根本からブッ壊しちゃうような簡単なやつは~って考えただけで」


~回想~

「狂戦士化?」

「そ。簡単に言えばバーサクね。身体能力がめちゃくちゃ上がるけど常時混乱状態。変わりに他の精神撹乱系は効かなくなる」

「つまり魅了がかき消される」

「そ。混乱はしちゃうけど、多重掛けされた魅了よりは単発の弱い混乱ならなんとかなりそうじゃない?」

アーシアはニヤリとした。いつものドヤ顔なのだが、驚いてばかりの私は少し小馬鹿にされた気がしてしまった。

「なんとか、な… ま、多少暴れたとしても悪党の本拠地なら言い訳も立つか」

「そゆこと。決まりね!」



「おや?どうしたのですかな勇者様」

「うふ。まだ物足りないのかしら?」

「俺に触るな、ゲス共」

女の手をはねのける。と、表情が一変。悪徳領主と遊女に扮した暗殺者たちが一斉に構える。

「魅了が解けたのか? おい、さっさと術をかけ直せ」

「やってますよ。でも効かなくなってる」

焦る一同。

「少し黙れ。罪を認めて裁かれるというならなんとか抑え込んでやる。出来ないと…」

勇者佐藤が言い終わらぬうちに領主がベルを鳴らす。すると重武装した兵士たちがあっという間に部屋を埋める。

「謀反だ。殺せ(やれ)!」

兵士たちは返事もなく勇者に向かって攻撃を繰り出す。しかし、その攻撃はひとつも当たることはない。全て躱されてカウンターで一撃。鞘に入ったままの剣を叩きつけて鎧ごと破壊していく。

「な、なんなんじゃこいつは!?」

領主が驚くもの無理はない。その暴れっぷりは勇者とは程遠く、まるで怪物のようだった。バーサクと言われれば納得なのだが、突然こうなるなんて意味がわからない。

「ちっ!ここも終い(しまい)か。ずらかるよ」

「こ、こら!最後まで働かんか!」

「誰も逃がさねえよ」

慌てて逃げようとする領主と暗殺者たち。しかし勇者は逃がさない。気絶した兵士を右手で掴むと入口に向けて投げ飛ばす。驚いて一瞬動きが止まる。と続け様に2人目、3人目が投げ飛ばされる。

「「ぐぎゃ」」

抵抗する間もなく重武装の兵士たちに押し潰されて動かなくなった。

その後、本能のままに暴れて落ち着いた勇者は持ち前の精神力で混乱も最小限に抑え込み、ちょっとした興奮状態程度に留める。それもそれで驚きなのだが…

そのおかげもあり、当初の計画通りに勇者単独の潜入捜査、そして単独での組織壊滅という栄誉を与えられることになった。ちなみに狂戦士化のスキルは後に国王から与えられた勲章の状態異常無効の効果により打ち消されることになって一安心。無事に一件落着となった。



「まぁ、結果オーライってだけよ。どっかでミスったら全部アウトだったし。それに、まだまだ勇者の冒険は途中」

「ふふ、誰だって最初から最後まで計画通りになんてそうそう無い。修正調整が大切なのよ」

「そのとおり!テコ入れ大事!!」

「プロメ様うっせ」

「ほんとうにうるさいのぅ」

「むむ。これはガンダルフ様。申し訳ない」

「ふむ」

「「ガンダルフ様!?」」

丁寧に一礼するプロメ。そのいつもの姿にスルーしかけたが、突然表れた最高神に全員が驚いた。

「ほっほっほ。うるさいのぅ。静かにせんか」

「いやいや、なんでおじいちゃんがいんの!?」

最高神におじいちゃんとは相変わらず不敬にも程がある。

「構わんよ。下手に敬われてバレて騒がれるより。無礼講でいこう」

そう言ってジョッキをグイグイと飲む。いや、無礼講ってレベルじゃないのだが。

「おじいちゃんも嬉しいのよね。いっぱい褒めてあげたくて仕方ないって感じかしら」

「恥ずいわ!」

「ほっほっほ」



「時に田中よ、何か思うところがありそうじゃの?」

暫しの歓談。から、ガンダルフ様が私に声をかける。自然と他の皆も注目する。おそらく気付いてはいたがタイミングを伺っていた、というところか。神々の目は欺けない。それがアーシアでも。

「いちいち入れんでいいて。言うてみ?」

照れ隠しのような文言も見事に受け流された。あまり祝いの席で言うことでもと思ってはいたが、頃合いというやつなのだろう。

「今回の件で決心がついた、という感じですかね。不肖田中、転生を受け入れたいと思います」

「な!?マジかよ田中!せっかく仲良くなれたのによぉ」

「はーっはっは!驚いた!!」

「………」

驚く者、察していた者、それぞれではあったが

「まぁ、いつかはそうなるもんね。思ってたよりも早かったかな」

「遅かれ早かれな。お前の成長が思ってたよりも早かったのだ

「もともとはあんたのわがままだもんね」

「そうだな。多方面に迷惑をかけた」

「でもだいぶ世話になった。ありがと」

「こちらも貴重な体験だった。ありがとう」

二人、ジョッキを合わせて、そして一気に飲み干す。

「でだ」

「でよ」

二人、目の色が変わる。

「たしかに俺の我が儘ではあるが、あのままだったら転生部が壊滅してただろうが!もっと感謝すべきところだ!泣き真似していい話に纏めようとするな!」

「っざけんじゃないわよ!あんたのそのわがままのせいで各部署引きずり回されてめちゃめちゃ大変だったんだからね!いなくなったらなったで引継ぎもめちゃヤバ確定だし!」

「だからそもそもの原因が自分だと!その程度で済んでよかっただろうが!」

「クソやかましいのよネチネチと!やる気を出させてナンボでしょうが!」

「「だいたい!」」


「ほっほっほ。うるさいのぅ」

「ほんとうに」

「でもまぁ、しんみりするよりは」

「はーっはっは!そのとおり!!」

「「プロメうるさい!!」」

「はーっはっは!!」

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