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憑きものがかり 前編

作者: みぶ真也

 撮影所に入ると、まず控室で作務衣に着替えてメイクさんのところへ行く。

 今回は時代劇なので床山さんに頭をやってもらい、ドーランも塗る。髪の毛が長かった頃はまげのかつらをかぶる前に羽二重をつける手間があったが、今はスキンヘッドなので床山さんもぼくも楽だ。

 その後、作務衣のまま衣装部屋へ。

 慣れない人が時々丸首のシャツを着たまま頭にまげをつけ、シャツが脱げなくなって困ることがある。

 作務衣でなくてもいいが、時代劇の時は前開きのシャツを着ていかなければ苦労することになるのだ。

 衣装に着替えた後、下駄や草履やわらじなど履物は小道具さんの担当になる。

 大小の刀もだ。

 そこまでつけて立派な侍の出来上がりだ。

 控室に戻ろうとすると、

「みぶさん、こちらへ」

と演技課の人に呼ばれた。

 見ると、控室の隣に「憑きものがかり」と書かれた部屋がある。

 中には白い着物の老婆がいて、

「みぶさんは浪人役じゃな。では、この霊を憑けてやろう」

と両手を突き出す。

 たちまち頭の中に、誰か別人が乗り移った気配がした。

「みぶさん、あとは控室で待っててください」

 演技課の人に言われたが、控室に向かう足取りがいつもの自分とは違う気がする。      つづく


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