34-4
「自らの愚かしさによって純血エルフが滅ぶというのなら滅んでしまえば良い。個人的には、そう思っている」
紅茶を飲んで一息ついたオルセラは、そう吐き捨てた。
今まで黙っていたオロチが疑問を呈する。
「それはエルフの価値観に依るものではないのですか?」
「他の同胞たちが何を考えているかなど知ったことか。我が考えは我のもの。奇特な兄上と違って我はこの苔むした古都に思い入れなどない。感謝するとすればすこぶる丈夫な体で生まれてきた幸運に対してのみだ」
「成程。不躾な質問をお許し下さい」
「貴様、リザードマンのくせにエルフに敬意を払うのか。竜人を敬わないとはおかしなやつ」
「私は私の志す道があります。言葉をお借りするなら、他のリザードマンの常識など私には関係のないことです」
「そうか。道があるのは結構なことだ」
無感動なオルセラの言葉には皮肉や馬鹿にしたニュアンスはない。
彼女は良くも悪くも自分の感性に対して素直なようだ。
アマリリスがクッキーをつまみながらオルセラに問う。
「賛成でも反対でもなく興味ナシかぁ。そんなに興味ないのにギューフ新王の手伝いをするのは、血族の序列的なもの?」
「ダエグじゃあるまいし、そんなもの気にするか。我にとっては同胞に上も下もない。ただ、兄上の策が上手くいった方が過ごしやすくなりそうだから手伝いはする」
「ダエグというのは……同じ古の血族?」
「ああ。兄上の策が頓挫するとしたらあれが足を引っ張ったときだろうよ」
何がおかしいのか、オルセラは獰猛さと陰湿さの混ざり合った顔でくつくつと嗤う。
「血族にして血族の教育係や相談役を務める最年長の糞婆だ。先祖の血の覚醒なのかしわくちゃ婆のくせにすこぶる元気で、長の決定に対しても育てた恩を忘れたかとか恩着せがましく意見してねじ曲げることが多い」
「要注意人物だな」
「その糞婆を戦闘訓練で殴り飛ばして赤っ恥をかかせてやったのが我だ。偉ぶりやがって、様を見よ」
「お前も要注意人物のようだ」
悪い顔の理由、やんちゃ武勇伝だった模様。
彼女の顔にはまだ殴り足りないという嗜虐心と害意に満ちていた。
「お前あれか。もしや現在進行形で反抗期か?」
「黙れ。あの婆が我のやることなすことに血族の誇りだエルフのあるべき形だとうだうだ文句を垂れて我の気を害したのが悪い。あのときは邪魔が入ったが、今度は我にも兄上の助成という大義名分がある。何がレベル100越えだ……あの鼻っ柱を陥没するまで拳で押し込んでやろう」
指をごきごき鳴らす彼女は完全に己の感情を剥き出しにしている。
よほどダエグが気に入らないのだろう。
これを機にたまりに溜まった鬱憤をぶつけて完膚なきに敗北させるつもりのようだ。
まだ妨害が入ると決まった訳でもないのに気の早いことである。
「それにしても、レベル100越えを相手に強気だな。勝算があるのか?」
「我はこれでも自治区一の暴力自慢だ。多少武術を囓ったところで後衛タイプの糞婆など近づいてしまえば脆いものよ」
「不良娘すぎる」
「誰が娘だ、無礼るな」
彼女の気配から滲み出る喧嘩上等の気配にアマリリスは頬を掻いて苦笑いする。
「オルセラさんそういうキャラかぁ……」
「あの、穏便に済めばそれに越したことはないですよね? ね?」
必死に訴えるフェオの確認に、オルセラは「穏便に済むならば、な」とたっぷり含みのある返しをした。その意図は明白で、彼女はダエグが指を咥えて見ている筈がないと確信しているのだ。
「ギューフ新王がオルセラを俺たちの側に置いたのは、ダエグに対する牽制か」
「それもあるだろうな。ダエグが口八丁でコモレビ村を丸め込むリスクは減るだろうよ。ダエグは明日の就任式典を前に今夜の晩餐会辺りで一度は近寄ってくる筈だ。ゆめゆめ思わせぶりな科白に気迷わぬようにな」
「覚えておく」
どうやら今宵の晩餐会は陰謀に塗れているようである。
(なら、俺も出来ることをしておくか……)
式典にはハジメの知る人間も何人か招かれている筈である。
まずはそうした人物に接触を図り、情報を集めておこう。
あと、ついでになんとか散財出来る場所がないか探しておこう。エルフの経済事情を知りたいだけで他意はない。決してない。
『だから転生者ハジメよ、誰に言い訳を……はぁ。フェオちゃんに後で怒られても知らないぞー……』
神もたまには確かにと思える言葉を残すなぁと珍しく思ったが、ハジメの散財衝動はその程度で止められるものではなかった。
◆ ◇
ハジメはこの場で知り合いと何人か会える筈だと思っていた。
そのうち確定でいるだろうと思っていたのが、バランギア竜皇国の面々である。
これほど大きなイベントに呼ばれていない筈がないと思って探して見れば、案の定すぐに見つかった。
「久しぶりだな、ガルバラエル。皇は席を外しているのか」
「今はギューフ王子と会談しておられる」
バランギアに宛がわれた部屋でたった一人で本を読んでいたガルバラエルは、読みかけの本を閉じる。
「何か用か? 明日の式典の内容なら明日聞くことをおすすめするが」
「いや、エルヘイムのダエグという古の血族について知っていることがあれば聞きたい」
オルセラの話は主観的すぎてどの程度信用していいのか判断に困る部分がある。それに、そもそも彼女は普段外交の類に関わっていないようだ。外国から見たエルヘイムがどう見えているのかを知るに当たって一番中立的な視点を持っているのは恐らくバランギアだろう。
「熾四聖天ともなれば皇の護衛や外交にも携わるだろう。何か知っていることはないか」
「ふむ……確かにダエグなら多少は知っている。あの老婆はエルヘイム自治区では外交に頻繁に姿を現すからな」
「どんな人物だ」
「一言で言い表すなら、頑なな保守派だな。外国や時勢にもある程度は目を向けているが、それら全ては古の血族の変わらぬ統治のため。情報操作、検閲、自治区外とのやりとりは実質全てがダエグの仕切りで執り行われている印象だ。血族でさえ教育係のダエグは無視出来ず、隠れ里では最長老などとも呼ばれている」
どうやら想像していた以上にダエグの影響力は強いようだ。
エルヘイム自治区の民が世界に何も興味を示さず差別意識が剥き出しなのは、ダエグが丹精込めて自治区を箱庭化した賜物ということか――と推察していると、ガルバラエルが言葉を付け加える。
「誤解のないよう言っておくが、ダエグが仕切るようになる前からエルヘイム自治区はそういう場所であった。むしろダエグの仕切りになってからは外との取引自体は増えている」
ガルバラエルはおもむろに道具袋から小さな人形を取り出す。
のっぺりとして飾り気がなく呪文や魔法陣が刻み込まれたそれは、過去にハジメが一度だけ使ったことのあるアイテムと似ていた。
「イミテーションドールか? 使用者の意識を読み取って本人の現し身に化けるアイテム……」
「そうだ。首脳級は知っていることだが、これは実はエルヘイム自治区で製造されている。他にもいくつかエルヘイムでしか手に入らないマジックアイテムがあり、これらの取引でダエグは古の血族の格を保つための外貨や物資を仕入れているというわけだ」
「外貨、とは引っかかる言い方だな。エルヘイムには独自の通貨でもあるのか?」
「エルヘイム自治区は生きる糧を全て自然から得る。故に貨幣経済が存在しない」
「……!?」
ハジメの全身を情報の稲妻が貫いた。
「前々から取引自体はあったが、ダエグは随分金に執着があるようでバランギアの銀行にも口座を持っている。周辺国の発展を見て当人なりにエルヘイムの経済を持たない脆さを憂いているといったところか……ハジメ?」
「貨幣経済がない、ということは……エルヘイム自治区には、Gを、金を使う場所がないということか?」
「ダエグと直接取引できれば話は別だが、あの老婆は首脳レベルとしか取引はしない。コモレビ村は相手にされまい」
「なんということだ……なんと、いう、ことだ……ッ!!」
未だかつて、これほど絶望的な状況があっただろうか。
全身が求めていた、やる気満々だったものが目の前で打ち砕かれる。
希望が潰えた瞬間に反転して溢れ出す膨大な感情――絶望がハジメの視界と未来を暗く覆い尽くしていく。
「確かに大きな期待はしていなかった。していなかったが……くぅ……買い物が出来ないなら、散財が出来ないじゃないか……! 豪遊できないじゃないか……っ! あんまりだ……あんまりだッッ!!!」
「何だこのヒューマン」
ガルバラエルが理解出来ないものを見る目でドン引き、神も黙って首を横に振るハジメの悲しき慟哭が響き渡った。
その後、「お前の気持ちに全く共感することは出来ないが、なんか哀れなので」とガルバラエルが古いイミテーションドールを五千億Gで十個転売してくれた。利益目的の転売ではないので悪事ではないし、ガルバラエルはいいやつだと思ったハジメであった。
◇ ◆
明日の就任式典を控えた晩餐会は、流石に豪勢なものだった。
エルフらしい香草や新鮮な野菜、山菜等を使った料理は多かったが、肉料理、海産物、デザートなどエルフが普段口にしないであろう外の人間向けの料理も相応に並べられていた。
参加者の中にはバランギアの他にも知った面子がちらほらおり、キャバリィ王国の面々、ドメルニ帝国の皇女アルエーニャ、そして未来の偽善王ことシャイナ王国のエーリッヒ王子及び円卓議員らしい男達などがそれに当たる。
明日正式に新王となるギューフの元には各国首脳たちがひっきりなしに足を運び、フェオも形式上それに参加した。彼らはギューフの真意をどこまで知っているのかは不明だが、前評判では「ギューフはこれまでの王と比べて外交に積極的」という印象らしい。
その後は各国同士のやりとりが主となり、コモレビ村一同は様々な首脳陣と顔を合わせることになった。
エーリッヒ王子はきちんと顔を合わせたのは初めてだったが、整った顔立ちながらどこか緊張感のない男で、フェオが礼儀正しく挨拶した際の第一声が指を差して「誰だこやつは?」と宰相に聞くという最悪なファーストインプレッションをかましてきた。
宰相の耳打ちで漸く得心のいったエーリッヒは、最悪を更新する。
「コモレビ村なる村は過去から未来に亘って我が国に存在せぬ故、口を利く謂れがない。身の丈に合わぬ夢は諦めることぞ」
「ち、ちょっと王子!!」
宰相が慌てて止めに入るが、それも無理はない。
エルヘイム自治区はコモレビ村の存在を認知しこうして招いているにも拘わらず村の存在を否定するということは、ホストに恥をかかせる行為だ。同じくコモレビ村を認知しているいくつかの国に対してもやや配慮を欠く。
しかし、止められたエーリッヒは自分の発言の何が問題なのか本気で理解していないのか、首を傾げた。
「なにゆえぞ? 円卓はこやつらを認めてはならぬと言っておったではないか? ということは頭のおかしなやつらぞ。真実を知らせて妙な望みは諦めて貰った方が彼らの未来の為であろう?」
「タイミングと言い方ってものがあるんですよ……!」
「それは為政者たる私が決めねばならぬことぞ。なにせ私は未来のシャイナ王国の行く末を決定する器にならねばならぬからぞ! 嗚呼、父上。どうか我が成長ぶりを見守ってください……! 今、エーリッヒは迷える民に言葉を授けましたぞ……!!」
勝手に使命感を持ち出して勝手に悦に浸るエーリッヒに宰相はほとほと困り果て、円卓にさえやや辟易した空気が流れていた。ルシュリアはビジネススマイルを貼り付けている。
彼らから離れたフェオは、小声で「予想以上ですね」とコメントした。
ハジメとしても果てしなく母国の将来が不安になる王子であった。
会場にはハジメが訪れたことのない他国の人間もおり、一際ハジメ達の目を引いたのはガナンドル国という狼人の王族が治める国だった。
何故目を引いたのかというと、女王が見た目幼女だったから……というのはどうでもよく、その娘だという王女カルヴェンナの外見や声がラシュヴァイナとそっくりだったからである。
彼女との違いは古傷の代わりに民族的な赤い入れ墨があることと、三つ編みの位置だけ。
ラシュヴァイナは左のこめかみ近くから小さめの三つ編みを垂らしているのに対し、カルヴェンナは反対側だった。
(余りの共通項に姉妹はいないかと聞いてしまったが、心当たりはなさそうだったな。考えてみれば王族の血筋が奴隷剣士になるとは考えづらいが、それにしたって凄い偶然だ)
カルヴェンナは何故そんなことを聞くのかと胡乱げだったが、ラシュヴァイナの話をするとその実力に興味を示した。
「某に酷似した者か。強いのか?」
「そうだな……今はもうレベル80を越えている筈だ」
「善哉! 狼人は強くあってこそである! 某と同年代でレベル80ともなるとクシャトリヤの類い希なる資質がある。是非にも会いたい!」
好奇心にかられる表情もまたラシュヴァイナに似ていて、他人に思えない。
生き別れの双子だと言われた方がしっくりくる程だ。
ガナンドル国は身分社会で、クシャトリヤは戦士階級のことらしい。
古代インドの宗教にも同じ呼び名の身分があるが、詳細を聞くのに晩餐会という場所は相応しくないのでまた機会があればという話で終了した。
カルヴェンナだけでなく彼女の周りも少なからずラシュヴァイナに興味を示していたので、もしかしたら将来的にガナンドル国との交流に繋がるかもしれない。
(それにしても、カルヴェンナは戦闘面でもかなり出来るな……他にも見渡せば実力者だらけ。やはり各国首脳が来る場所ともなると護衛の質も桁が違う)
恐らく、護衛のせいで会場内の人物の平均レベルは50をゆうに越えている。
魔王軍の軍団長、すなわち幹部たちがおおよそレベル60とされるこの世界では異常なことだ。
ドメルニ帝国の鬼札、【六将戦貴族】。
シルベル王国最高戦力、【聖結晶騎士団】。
ネルヴァーナ列国は王族自体がいつでも魔人召喚を行える。
その他の小国には精強な冒険者を連れている所も散見される。
当然、シャイナ王国もルシュリアの部下以外に何人もの護衛がついている。
(あの中には例の【影騎士】が混ざっている可能性もある。戦うとなると厄介だな……)
前回の戦いでは【影騎士】四名を罠に嵌めたハジメだが、今回は待ち伏せも不意打ちも難しいため、まともに相対すればどんな初見殺しが飛んでくるか分かったものではない。
それに、もしもオルセラの話通り最長老ダエグがギューフを妨害すると仮定したとき、それに協力することで最も利がありそうなのはシャイナ王国だ。
ギューフの暴露は十三円卓を、ひいてはシャイナ王国そのものを揺さぶることになる。もし十三円卓が事前にそのことを知れば、ダエグと連携を取ってギューフをなんとかするかもしれない。
ギューフの身柄さえ押さえてしまえば、後は【影騎士】の中から変身なり洗脳なり超強力な幻影なり適切な転生特典保持者を使って儀礼や儀を乗り切ることが出来る。
そして今、一人の老婆のエルフと円卓議員が何かのやりとりをしたのが見える。
大きな水晶を浮遊させてその上に座るという占い師感のある老婆はにこやかと笑って議員から離れると、別の王族に挨拶回りを続ける。
年齢を重ねたことが覗える皺だらけの顔は一見するとオルセラの「糞婆」という表現がしっくり来ないが、ガルバラエルの人物評を加味すれば一筋縄ではいかない曲者だ。
「ご機嫌麗しゅう。お久しぶりです、ダエグにございます」
(あれが例の、な)
ダエグは最初にバランギアに、次にシャイナ王国、続いてシルベル王国へと挨拶をしている。
恐らくはエルヘイム自治区から見た格式の順なのだろう。
国力で言えばシルベル王国よりドメルニ帝国の方が上だが、シャイナ、シルベル、ドメルニの三国同盟の中ではドメルニが一番の新参だからシルベル王国を優先したと思われる。
各国首脳陣の動きを見るに、ギューフよりダエグとの会話の方がよりフランクに踏み込んだ話をしており、彼女の影響力が覗えた。
結局、ダエグがコモレビ村に声をかけたのは宴もたけなわを過ぎ去ろうとしていた頃であり、内容もあまり中身のないものになった。
「ギューフ王ははぐれエルフとも交友を深めたいご様子。是非これからも王子のお求めにお応えするのが最良の道となりましょうぞ」
「私も、王とはよき関係であり続けたいと思っています」
友好の証とも、服従しろとも取れる曖昧な発言に、フェオは当たり障りのない言葉を返す。
政治慣れしているからか、ダエグがコモレビ村をどう思っているのかを態度や表情から読み取ることは出来ない。
代わりに垣間見えたのが、口を挟んだオルセラとダエグの因縁だ。
「この婆の言葉を信じない方がいい。本当に兄上の言葉なのか、渡したものが兄上まで届くのかも怪しいところだ」
「これ、オルセラ。客人を前にして不遜な物言い、お目付役として小言を言わずにはおれぬぞ」
「小言で済ますとはお優しいな。末の弟の歩き出す足が右か左かだけで高貴なエルフの魔法を折檻に使うお前の豆粒ほどちっぽけなプライドが本当に許すかな?」
「それ以上の罵詈雑言はギューフ王の恥となると心得ておるのか?」
「恥をかくのは業突張りのしわくちゃ婆一人だけだ。エルヘイム自治区でも兄上でも我でもない。まぁ折檻したいなら構わんぞ。次は何本お前の肋が反対向きに曲がるか知らんがな」
「……まぐれの一撃で増長すれば身を滅ぼすと忠言しておるのだぞ、半世紀を生きたこともない小娘が」
「長生きしているだけで自分が偉くなったと? 耄碌婆の放言に付き合うのも大変だ」
各国首脳の目の前で堂々と悪言三昧でダエグを貶めるオルセラと、静かな怒気が漏れ出すダエグ。
突然始まった両者の睨み合いに、各国首脳陣の反応は思っていたより薄い。ひそひそと「あれが血族の異常者と仰られていた……」と良くない言われようをしている辺り、ダエグが先に彼女の存在を貶めつつ仄めかしていたようだ。
しかし、剣呑な空気もギューフが現れたことで霧散する。
「あまり身内で諍いをするものではないよ、オルセラ」
「……ちっ」
「ギューフ王よ、余り妹気味を甘やかすのは――」
「ダエグもどうかここは私の顔を立ててくれ」
「……血の導きのままに」
古の血族の言い回しなのか、そう言ってダエグは頭を垂れ、オルセラはそっぽを向いたことで諍いは収まる。
オルセラがばつの悪そうな顔をしていることや彼女を怒らせた時の言動を見るに、彼女なりにギューフに苦労を掛けるのが本意ではない伝わってきた。
(身勝手だが兄を大事にするオルセラ、オルセラと啀み合うダエグ、暴走するオルセラを諫めつつダエグにも気を遣わなければならないギューフ……ギューフの負担大きくないか?)
彼の頭に10Gハゲが出来ないか心配になるハジメであった。




