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真面目な子  作者: 雨世界
1/1

1 なんだかとってもわくわくするね。

 真面目な子


 登場人物


 峰田愛美 真面目な学級委員の小学生の女の子


 網田大和 いじわるな問題児の小学生の男の子


 プロローグ


 ねえ。一緒に帰ろうよ。


 本編


 なんだかとってもわくわくするね。


「おはよう。気持ちのいい朝だね」

 そう言って峰田愛美は同じ小学校に通っている、同じ六年一組の教室の友達の網田大和くんに朝の挨拶を元気にした。

 でも、大和くんは無言のまま、愛美の挨拶を無視した。

 そんな大和くんのそっけない態度を見て、愛美はもちろん内心すごく腹を立てたのだけど、……怒らない、怒らない、といつものように魔法の呪文を自分の頭の中で唱えることで、いつもの明るい笑顔のままでいることに成功した。


「うるさいな。あっち行ってよ」

 ようやく愛美を見て、大和くんは愛美に言う。

「そんなこと言わないで一緒に学校まで行こうよ。そのほうが絶対に楽しいよ」とにこにことした笑顔で愛美は言う。


 愛美は小学校の学級委員をしている真面目な女の子で、尊敬している担任の先生、藤山菊花先生から、教室の問題児である大和くんのことをしっかりと見張っているように、と先日頼まれたことから、その言葉通りに愛美はずっと大和くんのことをこの数日間の間、こんな風に付きまとうようにして(大和くんがわるいことをしないように)見張り続けているのだった。


「お前、なんなんだよ」

 電車のせいに座って、すぐに隣の席に座ってきた愛美に向かって大和くんはそういった。

「気にしない。気にしない」愛美は言う。

「お前、なんで最近、俺にずっとついてくるんだよ?」怒った顔をして大和くんは愛美に言う。

「気のせい。気のせい」

 ふふっと嘘の笑顔で、にこにこと笑いながら愛美は言う。


 そんな愛美の笑顔を見て、大和くんはなんだかすごく嫌そうなかをして、それからぷいっと愛美から顔を背けるようにして、反対側の席のほうに顔を向けてしまった。


 ……よし、今日も今のところ、問題なし。


 そんなことを愛美は大和くんの隣の席で思う。今の愛美はこんな風にして、大和くんを見張って、大和くんがなにも問題を起こさないようにして、そのあとで、尊敬している藤山先生から「頑張りましたね、愛美さん。とても偉いですよ」と笑顔で褒めてもらうことしか、その頭の中にないのだった。(こんな風になにか一つのことに夢中になると、そればっかり考えてしまう、と言う悪い癖が愛美にはあった)

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