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HUNTER・GIRL  作者: 一理
はじまり編
7/57

反省せい

「反省してください」

「「へぇーい」」

 みんなで地味な返事をする。

 皆って言ってもみつこ・ヤスコ・サキ・リィシャの四人で怒っているというか諭しているのはカナタなだけなのだが……。

 怒られている理由と言うものがまたクダラナイ。

「サキはクエストごとに建物崩壊しすぎ」

「だって、壊れるんだもん」

 クエスト完了までに破壊されたモノの数は数え切れず。

「もんじゃねーよ! ヤスコはクエストにこない」

「いきたないもん」

 クエスト受理回数ゼロ。

「こい!! リィシャは帰ってこない!!」

「え? あはは?」

 森に行けば迷子。町に行けば誘惑に負けて達成効率がものすごく悪い。

「はぁ~、みつこは最近クエストしない」

「い~じゃん別に」

 みつこの場合「やらない」ではなく「やれない」のほうが正しい。理由は前回の通り。なかなかもどかしいポジションにいる。そんなこと知ったこっちゃないカナタには、とにもかくにもカナタを悩ませるものだった。

 別段気にしなくてもいい気もするが……。

「って、ことでやり直してもらいます」

「いきなりだな、おい」

「何をやりなおすん??」

「カナタの人生?」

「嫌だよ!じゃなくて君ら!!」

 え~、と文句たれる四人を無視してカナタは机の上においてあった紙を取り出す。

「ハンター協会第14章『問題児はプロ級についてもらいましょう』てことで」

「どゆこと?」

 カナタが笑った。しかも『にこ』じゃなくて『にたぁ』って。こういう笑いをするときはたいていロクなことはない。

「……何?」

 嫌な予感。

 そして予感的中、カナタに指定された場所は学園コロシアム、そこにいたのは体形のいい男たちだった。

「キャーエロ同人みたいに」

「わけないから」

「知ってる」

 冗談、と鼻で笑いながら肩をすくめた。

「ハンター・プロ級一流上流の人たちです」

 カナタが簡単に説明すると男たちに頭を下げた。

「んじゃ、説明すると」

 ハンター・上級。接近攻撃型に長けたムツキさん

 ハンター・プロ飛行攻撃型に長けたキサラギさん

 ハンター・一流防御型に長けたフヅキさん

 そして、ナイト。パートナー無しでハンターになりそこらへんのハンターを超えた超戦士ハズキ

「ってこところ?」

「すげーよく呼べたな」

「ミスタークレアの、コネ」

「ん? 知り合い?」

 みつこの質問はカナタに返されることはなかった。サキが黙り込む

「ゴメン、カナタ。俺らそんなに酷い?」

「勿論」

「即答かよ!」

 間一髪も入れずに肯定した。

「てか、ナイトってもはやハンターじゃないやん?」

「ランクなんて、そうゆうものさ」

「てーか~さぁああ!!」

 みつこが嫌そうな顔と声を出しながらハズキを指差した。

「なんで居るかな~! 師匠!!」

「は?」

 皆がみつこを見る。

 ハズキはしばらくみつこを見つめていたが……ふっと笑った。

「ソレが……」

「いっ!?」

 みつこの両頬をつかみひねりあげる。

「いだだだだだだ!! リアル痛い! これは!? ギブ! まぁじゴメン!」

「久ぶりにあった師匠に、いい口のきき方だなぁ? みつこ」

「ごめんなさぁああ!?」

 数分後。

「はぁ、はぁ、はぁ」

「みつこって師匠おったん? じゃあうちと同じ『見習』じゃないん?」

「わたしは優秀だからね! 卒業したのさ!」

「卒業してもまた習う羽目になったんなら意味がないと思わんのか!」

「けっ」

「……まぁ後ろのほうで関節技されているみつこは放って置いて」

「おくんだ」


 カナタは「んじゃ」っと手をあげた。この行動は私はコレで、ともとれる。

「どこいくの?」

 リィシャがなんとなくカナタに聞く。

「ん? 帰る」

 当たり前じゃんというカナタは本当にそのまま帰ろうとした。そんなカナタをサキは首根っこをつかんで引き止める。

「ちょうマテやゴら、自分主催しといてなぁに帰ろうとしとんのや」

「すごむと怖いなぁお前」

「真面目に聞け!」

「あのね、サキちゃん」

 カナタは遠くを見るような眼で言った。

「君らと違って暇じゃないのよ?」

「えっと、みつこもカナタも関節技されてるけど、俺らどうしたらいいわけ?」

「とりあえず、鍛えるから来なさい」

「あ、はーい」

 リィシャはキサラギさんに連れられ、ヤスコはフヅキに連れられていった。

 サキのところにムズキがいきサキを連れて行ったおかげで、なんとかカナタは骨を折られずに済んだ。

 犬がじゃれる様子は見ていて可愛らしいが、関節技されかけている様子はどうとっても、可愛いとはいえないものだ。とわけの分からないことを思いながらカナタは消えていった。

 残されたのは、みつことハヅキのみ

「さて、そろそろ始めるか」

「ウィ~っス、あ! 質問」

「ん?」

「金貰うの? これ!」

「お前は金ばっかか!!」

「参考までに」

 ハズキは腕を組んだ。

「金などもらわん」

「うっそ、ボランティア?? 馬っ鹿でぇ~い」

「……」

 ここが訓練始めるのは、もう少しかかりそうだった。

 そして、サキのところ~

接近攻撃オノはリーチが短いから、飛行攻撃型には弱くなる」

(リィシャには勝ったけどな)

「しかし、自分の武器がただの武器と思うな。生きた武器パートナーだ」

「はぁ」

「すこしかわいそうだが、飛行型モンスターに武器を飛ばすことも戦術の一つだ」

「え? そんなことしたら。丸腰?」

「そこで、だ」

 自分の傍にいた鹿を武器化した、鹿は接近攻撃型武器ちょうとうになった。長刀を遠くの大きな木のもとにまで投げつけると、長刀は刺さることなく貫通した。すごい切れ味ですね。

「こい! スィ!!」

 鹿スィは主人のところまで駆けて来た。そしてすぐに武器化した。

「ここの移動・武器化を素早くしないと、普通にかっこ悪いから気をつけろな」

「はーい」

 ためになる戦術をならったサキ。

 一方リィシャのほうでは

「なー、えっと、キサラギさん?」

「ん?」

「この紐なんでしょう?」

 サル吉とリィシャは体を紐でつながれていた。

「おっとと、わっとと」

 サル吉があっちらこっちら移動するからリィシャはフラフラになり困り果てた。そして案の定最後にはキれた。

「じっとせぇいや! この馬鹿チンが!!」

 サル吉の頭をぶん殴ると短い紐は地面に叩きつけられたサル吉の分の間が縮みリィシャもバランスを崩して倒れた。それを見ていたキサラギは困ったような呆れたような苦笑いを浮かべた。

「あのねぇ、君たち」

 ぎゃーぎゃー喧嘩を始めた二人に制止の言葉をかける。

「君たちは強いのに心がバラバラなんだよ、だからバランスが取れず結果二人とも弱くなる」

「先生も言ってた気がするな? 多分」

「たぶんって。ま、まぁそんなことだから、君たちはサル吉と心を通わせないと駄目だ」

「サルとぉ?」

 仮にも自分のパートナーに冷たいリィシャ。なぜお互いがお互いを選んだのか疑問さえわいてくる。

「うーん、いいかい? 武器化はその人との相性だ。そのままだと相性悪くなってパートナーと分かれる羽目になるぞ? いいのかな」

「それは……」

 リィシャの眼に悩む様子が浮かんだ。それはさすがに嫌らしい。可愛さあまって憎さ100倍ってやつだろう。

 ハンターで居るにはパートナーは必要不可欠でもある。それも理由の一つだろう。

「じゃあ、手っ取り早く始めようか?」


 なにかが始まりかけなところで、そのころのヤスコ

「まぁ、とりあえず。パートナーから離れましょうね。お互い」

「いや」

(こくこく)

「……」

 二人の息のあった力強い否定ぶりに、さすがのフヅキも困る。

「えっと、いいですか? 防御型たてをパートナーに持つ場合は自分が率先して攻撃しに行かなければなりません。それはいいですか?」

 首を横にフリ、海里が立ちはばかる。まるで「我が護るゆえ問題ない」とでも言いたげに。ペンギンだけど、とても男前だ。

「……(汗)」

 さすがにココまで来ると、やりぬくいとか教えぬくいとか、そうゆう問題じゃない。一言で言えば、清清しいほど うざい

 しかしそこはプロ。にっこりと微笑む。はたから見たら慈愛に満ちた顔だろう。

「いいですか? いつまでも動物状態パートナーに頼るわけにはいかないのですから、ね?」

「しらん」

 まさかの即答。ヤスコの意思は無駄に硬いのであった。

「こ、困りましたねぇ」

 若干額に青筋が浮かび上がっている。思わず頑張れと言いたくなる風景。パートナーが無駄に強いだけにヤスコが堕落すのも仕方のない話であった。

 そして、みつこ。

「お前」

「そんな眼でみないでぇえええ!」

 みつこの周りには大量の武器

「どれもこれも、相性が悪いなんて」

「悪くないもん! 普通だもん。しっくりくるのがないだけで」

 師匠にパートナーのことについて話したところ、パートナー無しで戦うなら、と武器を集めてもらったのだがコレというものが一つもなかった。皆平等に普通。

 まぁ言うなら「あーまぁいいんじゃね?」ってやつであって。「あ、これいいかも」っていう、なんかそこそこいい感じっていうのすら、ない。

 ようするに、特化した才能がない。

「……」

 不憫なものを見るような眼を向けられる。コレは辛い。いろんな意味で。

(無駄に普段やれば出来るぜ! へぃへぃ! みたいな態度とるんじゃなかったぁああ!!)

 恥ずかしいやらなんやらで、頭を抱える。

「みつこ、……あー……すまん」

「なんか上手いこと言おうとして何も思いつかなかったからって! 謝んないでよ!! よけい虚しいじゃん! あたしが!!!!」

「……。まぁ、逆を言えば悪いのがなくてよかったじゃないか、普通で……。普通一番! な?」

「あたしにフルな! てかソレ慰めてるの!? 皮肉じゃなくてか?!」

「くっ」

「だ~か~ら~!! ミスったみたいな顔するなぁ!」

「がぅ?」

 暴走している主人を不思議そうに見上げるロアをみて、ハッとする。

 そうだ、ココで突っ込んでいる場合ではないのだ。不覚にもまた再び師匠に戦い方を教えてもらえるのなら、教えてもらおうじゃぁないか、ロアのために。

 自分のために!!

「どれでもいいから、教えて?」

「なんだ、イキナリ、まぁそうだな、遊びはここまでにして」

「遊んでたのか?! あたしのこと玩具にしてたのね?! 酷い! 不潔よ」

「……。さて、手始めに」

 コイツ、スルーしやがった。うぜぇ。

「まぁ、俺は教えるのが苦手でな」

「うっ!? 過去にも聞いた嫌な予感」

「習うより慣れろ、だ」

 ハヅキは背中から大剣を取り出した。まったくもってその細身からでは想像もつかない神業である。

「まさか?」

「本気でかかって来い」

 みつこの悲鳴が木霊した。その声は誰にも届かなかった。

 カナタは遠くの『バーカナタ』の店でお茶をのんびり飲んでいた。

「いいのか? こんな荒療治で? 下手したらお前」

「あ~なんか、ネズミがほざいてるぅ」

 カナタの隣に座ってた男。アポロは汗を流した。

「ま、まだご機嫌が直らないようで」

「ああ耳障り」

「う」

 困ったアポロは滝のように汗を流した。

「ごめん! もう仕事ほっぽってナンパしにいかないから! 許してくれよぉ~主人マスターぁ」

「……」

 どん!! とコップを机にたたきつける。

「あのな、アンタがパートナーになってから、私に! まともに! 貢献したことも! 約束を守ったこともないだろうが!!」

「あーははー。大丈夫、ちゃんと例のブツ調べといたから」

 ご機嫌をとる様に「ホラ」と笑顔で例のブツを差し出す。

「ふん」

 カナタは紙に眼を通す。そして驚愕する。

「!」

 アポロの口に笑みが消える。

「そろそろ、やばいかも知れんな」

「……」

 カナタの手から紙がすべり落ちる。

「……ふん」

 時間は短い。

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