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HUNTER・GIRL  作者: 一理
探索というな名ダラダラ
42/57

塔の外

 目の前に現れた鳳凰は、天高くにある太陽の光を浴びて黄金色に煌びやかに輝いている。

 みつこたちは鳳凰の翼によって何度も来る風に耐えるので精一杯の様子で、誰も攻撃を仕掛けようとする者はいない。

 カナタは安全地帯で正座しながら、応援の声をかけた。

「そらそら、敵が出たぞ。戦えよ、HUNTER・GIRL!」

「うぜえ。限りなくうぜえ」

「お前も戦えよ」

 殺気を込めてみつことサキがそういえば、カナタはいつものように無表情のまま首を横に逸らした。

「いやほら、私クエスト屋だし」

「元、ハンターなんだろおが!」

 サキがライを武器化し、雷の斧を構えると

「ぴぎゃあああああっ」

 鳳凰が宣戦開始と思ったのか、突如体当たりを食らわせてきた。

 風がより一層強くなったことでみつこが謎の奇声を上げる。

「スカートがめくれるううううう!!」

「「「そっちかよ」」」

 ゴスロリのミニスカートを抑えながらみつこは座り込んだ。

 下から見たらもろ見えなんだろうな、としょうもないことを考えたカナタだったが、自分でそもそもこの距離を下から見えるやつ居たら神だよ、と突っ込んだ。

 くだらないことを考えているのが分かったのだろう、みつこがジト目でカナタを睨む。

「どうやって倒すん?」

「うお」

 いつの間にか最初に居た安全地帯に舞い戻ってるヤスコに少し驚くカナタ。

 ヤスコの言葉にサキが「そうだよ」と叫ぶ。

「せめてアドバイス言えよ!! お前の本チートなんだろ!」

「チートって何? 美味しいの?」

「落とすか……」

 ヤスコの伸びてきた手をカナタはつかんだ。無言で見つめあう二人。

 きら、きら。

「ん?」

 鳳凰が太陽の光を全身に集めているところだった。

「あれは、ぞくにいうチャージっていう?」

「そうね」

 サキの言葉に、みつこは肯定した。

「ぎゃああああ! 早く結界とか攻撃とかしろよ!!」

「しょうがないな! ロア」

 武器化したロアを持って立ち上がるみつこ。

「敵を射抜け! 風の矢!!」

「どっかの飯屋みたいな名前だな」

 敵に向けていた魔法を方向転換して、カナタのいるほうに向ける。

「ぎゃあああ!」

 その直線に居たサキが悲鳴を上げて呼んで回避した。

 カナタのところまできた魔法は、ヤスコを盾に回避する。

「「やめろや!!」」

 巻き込まれた二人が同時に叫んだ。

 鳳凰のほうは風にのってチャージしながら難なく避けた。

 それを見たカナタが小さく笑った。

「まあ、ちゃんとレベル上げずズルした結果がこれだよ。『手も足も出ません』ってな」

「連れて来ておいて、喧しいわ!」

 怒ったヤスコがカナタをけ飛ばした。

 透明なバトルフィールドに落とされたカナタは風をもろに受け、いつもかぶっている帽子が浮いて飛んで行った。

 それを眺めていた一行。

 一斉に叫んだ。


「「「やめろカナタああああ!!」」」


 帽子を取りに全力疾走したクエスト屋。

「取った!」

 高く飛び上がり、帽子を掴むカナタ。

 そして、間も少なく叫んだ。

「落ちた!」

「「自分で言うなよ!!」」

 透明なバトルフィールドを抜け出したカナタは、何もない空の中へと飛び込んでしまったのだ。

 そのまま重力により、落下していくカナタ。

 焦りながらサキはみつこのほうを見て叫んだ。

「みつこ! お前」

「空飛ぶ魔法なんてありません」

 スパッと言い切るみつこ。

 カナタの姿が見えなくなった。

「奴を服従させなきゃmeらもカナタみたいに……」

 鳳凰が完全にチャージし終えた光を一気に解放した。

「結界!」

 光り輝く羽が刃となりてみつこたちに降り注がれる。

 その攻撃力のすごさもあるが、特に四人を苦しめたのはこのまぶしさだった。

「くっそお、超目がいってえええ」

「開けてられへんな。で、思たんやけど」

 わりと冷静なヤスコが言う思ったこと

「服従させるんだったら、カナタの笛あったら余裕やったんちゃう?」

「あ」

「今いうなよ!!」

 たとえいても、レベル云々で出来なかったんじゃないだろうかと思うみつこ。

 どっちしろ、無駄なことなので言わないが。

 サキはライを構えたまま、走り出した。

「食らえ! 衝撃雷!!」

「人のこと言えない技名だな」

「あたしゃ言ってなかったぞ!」

 大きな雷が鳳凰を襲ったが、空から雷が落ちる前にその場所から飛んで回避していた。

 サキの魔法は威力こそあるが、遅い。

 みつこは思案した。

 カナタの言う通り致命的な話だが敵を倒せない理由が『レベル』の問題だとしたら。たとえ奇跡的に何度も攻撃が当たっとしても、こちらが力尽きるほうが確実に早いだろう。

「……誰かさ、カナタ落ちていく時の鳳凰の動き見た人いる?」

「僕見たよ」

「リィシャいたの?」

「最初からいたやろ。かわいそうなこと言ってやんなや。黙っとるほうが都合ええし」

「ヤスコのほうがひどい言いぐさだな」

 みつこは、結界の限界を悟った。

「あいつ、反応してた?」

「微動だにせんかったよ」

「そっか」

 みつこは結界が壊れたのを確認して、ヤスコのほうに向かって全力で走り出した。

「なにゃ」

 こっちに来るみつこに、何だと言いたかったヤスコだったが、そのまま手を掴まれ一緒に走っていく。

「ちょ、えええ!? みつこ!!」

 サキが困惑しているのを無視して、適当に直線に走っていく。ヤスコが拒否しているのか、若干足取りが重い。

「このフィールドから出られないわけじゃないというのと、去る敵を追わずっていうのは、奇しくもカナタのおかげで分かった。なら取る方法は一つ」

 透明な地面が消えた。

 みつこの体が落下していく。


「落ちる!!」


 上のほうでサキたちの叫ぶ声が聞こえた。

 あそこで無駄なあがきをするより、さっさと戦線離脱したほうがいい。

 次なる問題は、どうするべきかすでに考えてある。

「ヤスコ!!」

「きゃあああああああ」

「やっちゃーん!!」

 みつこはヤスコの頬を掴んだ。


「海里、貸せ。もしくは先に下に落とせ」

「何でなーぁあああんン!?」

「クッション代わりにするんだよぉぉぉ!! 早くしろよぉぉぉ!!」

 

 地面までの距離が近くなってきた。

 一か八かでヤスコから小さくなったままの海里を奪い、思いっきり下に向けて投げ飛ばし、両手を広げた


「大小魔法!! 【超大】!!」

 

 ぼふん。さらに重力の圧を受け、下に落ちていった海里

 多分アイツ死なないだろ、まがりなりにも盾なわけだし。


 みつこの読みが当たり、海里は地面に少しバウンドして、落ち着いた。


「海里~!!」


 後から落ちてきたヤスコとみつこを腹で受け止めた海里だったが、思った以上に跳ねて地面に落ちそうになった。

「ロア!!」

 もとに戻して、今度はロアを下敷きにした。

 二人は何も言わず、ひとまず呼吸をする。


「低酸素症で気絶しなくて良かった」

「ハンター防具って、やっぱりただの服じゃないんやな。高いだけあるわ」

「ヤスコのはタダだろ」


 悲鳴が聞こえたので上を見ると、サキとリィシャが落ちてきた。

 同じように海里にダイブし、地面にダイレクトアタックをかましていく。

「……や、着地下手だね」

「いってええ……なるほどな。こういう方法があるのか」

「面白かったな!」 

 地面に埋まっていたリィシャが起き上がった。

「もっかい行こ!」

「死ねよ」

 みつこはロアを魔法杖に変え、炎の攻撃を放った。

 放心していたヤスコが起き上がり、海里の上に乗ってまた一息ついた。

「もういやや、あんなこと」

「誰だっていやだよ。あの阿保以外はな」

「そういやカナタは?」

 周りを見るが、カナタの姿はない。

 みつこはロアにまたがり、肩をすくめた。

「あいつならまた変な道具使って助かってんじゃない? meは疲れたから帰るよ」

「ほなうちも」

 そうだな、と解散ムードの中。

 風を切って巨大な毒針が飛来してきた。


「!!」

 

 ロアに乗ったままそれを避け、みつこは警戒心を露わにし叫んだ。


「誰だ!!」

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