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HUNTER・GIRL  作者: 一理
探索というな名ダラダラ
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塔の中

 カナタと別れ、一足先に試練の塔と異名を持つ『有限の塔』へやってきた。

 みつこは小型化させたやすこと海里を両手に抱え、思った以上に大きい塔を見上げる。

「なんなんだろうな。あれ」

「上のほうで煙りあがっとんな」

 頂上には手も届かぬ距離ではあるが、やや遠い位置から煙が上がっている。

 時々放電するように雷の光が見えたりするか、あそこにサキたちがいると思っていいだろう。

 ここからざっとみても、30階はいってると思われる。

「めんどくさいわ」

「ここまで一切歩いてないやつのセリフじゃないけどな」

 みつこはヤスコを抱えたまま歩き出した。塔の前の扉は大きく、挑戦者を威圧するように堂々と構えられている。腕の中で「帰ろーやー」といつまでもいうヤスコの言葉を無視して扉に手をかけた。

「さあ、開け!! オープン ザ ドアぁァァアア」

「扉に触った意味はなんだったんや」

 みつこは足で扉を蹴破った。

 だって手使えないし(笑

 扉の中へ入っていくと、ぎょろりとした大きな目と目があった。

 ( ゜∀゜)

 挿絵(By みてみん)

 みつこは思わずよくある顔文字の顔に変わった。目があったのは一人……いや一体だけではなかった。

「帰ろうか」

 ヤスコの言葉に頷き、帰ろうとしたら自動ドアじゃないはずの扉が乱暴にしまった。

「あ、くそ、この、開かない!!」

「みつこ。うちを元に戻して」

 人形サイズだったヤスコが元の大きさに戻り、いつも通り海里の上に乗った。

「あれなんなん。きしょいな」

「えっとね、多分見た目のまんま『一つ目ゴロン』だったとおもうよ」

 丸い筋肉質な体に、大きな目ん玉。

 一匹ならどうってことないが、この部屋いっぱいにいるとなると……少々つらい。ビジュアル的に。

 ヤスコはみつこのに手を差し伸べた。

「ん?」

「あそこに階段あるやろ。きしょいきんこの部屋さっさと出るで」

「OK」

 腹ばいになった海里の上のみつこはヤスコの手を取ってまたがった。

「海里GO」

 口から氷を吐き、床を凍らせロケットのように滑りだした海里。

 一つ目ゴロンは海里を受け止めることもできず、ボーリングのピンのようにすっこーんと飛んで行った。階段を駆け上がると、上がりすぎて海里は天井に突き刺さった。

 みつこは「たぶんこいつ止まれねーよな」と判断し、さっさと乗り捨てたが

「むうー」

 やすこは根性で海里の背中を掴んでいた。

 いや、降りて来いよ。

「ん?」

 みつこは周りを見た。先ほどとは違い気配を一切感じない。

 そんでもって、階段も見当たらない。

「あれ?」

「どないした?」

 まだ天井にぶら下がったままのヤスコ。

「かぼちゃぱんつ見えてるぞー」

「目潰すで」

「じゃあ降りて来いよ。……なんかね、階段も敵も宝も見当たらないの」

「最後のいるか?」

「重要だ」

 ダンジョンなのにお宝ないとか、ダンジョンの意味ない。ダンジョンの価値は宝の有無にあるだろうJK

 ぐらり。

「お?」 

 ず・・どぉお・・おん。

 上のほうですごい破壊音が聞こえてきた。サキたちの仕業だとしても、早く合流しなければ、いくら体力馬鹿のあの二人でも先にバテテしまうだろう。

 何と戦ってるのか知らんけど。

「あれ、何や」

 ヤスコの視線をたどると、角のほうに黒い靄が固まっているのが見えた。

「なんだっけ」

 みつこはハンター協会発足『魔物の友』という小さな辞書本を取り出し、ページを開いた。

「これかな……。『シャドー・シャドー』」

「影か」

「結論早いな。まあ、そうだけど。あいつらは光に弱く、夜にならないと行動できないらしい」

「あいつら倒さな次いけない系かな」

 いい加減に頑張ってた海里が床に落ちてきた。それがすごい振動を起こしたが、先ほどの振動に比べれば何の比でもない。

「ちなみに、とても臆病なので。驚かせると急に攻撃してきます」

 ずずずずという謎の音を聞こえないふりして、情報を付け加えるみつこ。それに気づかずなのか、あえてなのか、やすこは何かを指さして言った。

「あいつら合体したで」

 背後に迫る殺気を、みつこは側転回避して避けた。 

 みつこのいた場所がぶっとい腕の力によって地面に穴が開くのが見える。

 こええー。

「闇属性は消しても消しても復活するから嫌いだわー」

「でもあいつら倒さな次進めれんのやろ? つうかよくサキら次いけたな」

「リィシャだけならともかく、サキは雷属性の攻撃できるからなー。応用して光攻撃でもしたんじゃない?」

「光属性=発光?」

「……まあ、光ってあるぐらいだし」

 ピカピカだろうがギラギラだろうが、光は光だ。

「ようするにまぶしいのが苦手なんだろ」

「さよか。ほな」

 ヤスコは海里の頭を叩いた。

「これでどうや」

 海里の発生させた吹雪によって、この部屋は氷のステージとなった。

「まあ幻想的かつ超寒いです」

 フードを自分の体に巻きながらそう素直に言えば、寒さに平気なヤスコは首を傾げた。

「きらきら、してんやん。でも消えてへんで」

「自然的で消滅させようとしても、進化したまっちょには足りんのじゃない? せめてこのぐらいだろ」

 頭の上にいたロアを掴んだ。

「武器化」

 瞬時にロットへ姿を変えたロアを大きく振りかぶった。

「光の雨!!」

 杖から光の粒が発生され、凍ったステージにはね海里、シャドー・シャドーに当たっていく。小さな攻撃数うちゃ蓄積。弱っていくシャドー・シャドー

「……」

「……」

 みつことやすこは安全な窓辺に立ながら、消えていくシャドー・シャドーを眺めていた。

「なあ」

「無理」

「まだなんもいうてないで」

「はやく倒せっていうんだろ」

「だって、暇やん」

 今の現状をわかりやすくいうなら、ナメクジに少量の塩を上からまんべんなくまぶしていってる感じ。

 時間かかるうえに、面白みもない。しかもすこしビジュアルグロイ。

 何、この塔。楽しくない。

 宝もないし。

「ロア」

 武器化を解き、いつものように小型化させ頭の上に乗せた。

 はやく消えないかなー。そう思いながら。

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