どちらかというと
元の世界に戻ってきた。
死の森にて魂だけのサキたちに会いに行くと、三人はなぜか森に秘密基地的な何かを作っていた。お前ら小学生か
「おい、小学生」
人形を投げ飛ばすと、もとの人間の姿に変わった。
投げ飛ばされた魂無きサキたちの身体は、勢い失わずに地面に頭を思いっきりぶつけていた。
そりゃ、誰も支えてなければそうなるだろうな。
「めんごめんご~。ほら、戻れよ」
雑に言うみつこに三人は無言のまま自分の体に入って行った。
カナタがその様子を見ながらみつこに問う
「いくらお前がルーキーで優秀でも、相手は魔王だ。勝機あるのか」
「なんも考えてないよ?」
「ほう、お前はいつから大馬鹿になったんだ?」
「ぼくがなにって?」
リィシャが現れる。
どうやら無事肉体は戻ったらしい。
「いや、今からちょっとme魔王とバトってくるわ」
「なんでそんな散歩いってくるみたいなノリなんだよ」
サキが現れ、みつこの頭にチョップした。みつこは自分の頭をなでながら口を尖らせた。
「前回は圧倒的にこっちが不利のなか戦ったから、今度はこっちが優位な時に闘いたいんだよね」
後ろで控えている魔王のほうに視線を向けた。
魔王の存在にずっと気を張っているサキが炎の如意棒を構える。
「まあ待てサキ」
みつこは闘士を燃やすサキをそっと静止し、魔王に向かって懐からあるものを取り出した。
「それ何?」
「やつらの大事なもの、だってさ」
ずっと彼らがほしがっている『カギ』だ。
「ほい」
魔王に向けて投げると、すかさずそれを手にとって回収した。
【でわ、お望み通り殺してやろう】
魔王の殺気が膨らむ。
みつこは余裕な笑みを見せ、後ろを振り返った。
「よし、お前ら……いっちょ殺るぞ」
親指を立てて、サキらのほうを向いて笑みを浮かべたあと、ゆがんだ笑みを浮かべて魔王のほうに親指を下げた。
「闘いたいとはなんだったのか」
「魔王と直接対決したいとは言ったけど、一対一で戦うとは一言も言ってないもんね」
「下種の極み」
「やかましい」
みつこは武器を構えた。
「どっちにしろ異変が起きる兆候はあったんだ、倒しとかなきゃいけないんだろ」
「そうともいえる」
カナタが本を開いたまま後ろに下がった。
「魔王が現れたのは、鍵を求めてだからなぁ……どうだろう」
「鍵求めて手に入れたら世界を亡ぼすとかそんなんじゃないの? そうじゃねえの? そうだよ」
「なぜ願望になったし」
ハンター・ガールは各々武器を構えた。
魔王は特に怯むことも、謀れたと怒ることもなく堂々たる風格を見せている。
「じゃあ始めようか」
これではどちらが、悪役かわかったもんではない、が
気にしないらしい。
「行くぞ!」
「「どうぞどうぞ」」
サキが炎の如意棒に強い炎をこめ、勢いよく発言すると、カナタとヤスコは手を差し出して勧めた。
「お前らな……」
呆れるサキの小言を無視し、みつこはチャージしていた魔力を魔王に向けて思いっきり放った。
光魔法【ジャスティスフラッシュ】
魔王はみつこの放った光の魔法を黒魔法で打ち消し、お得意の魔法を発動させる。
【冥界への道】
「これはやっばい」
特攻しようとしたリィシャの首根っこをつかんでサキはその魔法が届かない距離まで下がった。
「光魔法!」
みつこはもう一度光魔法を放出し、その魔法を打ち消した。
「なあ、カナタ」
やすこが隣にいるカナタに声をかけた。
「うちの師匠とか、レストラン仲村呼んで、何の話やったん?」
「新設ハンター協会を作るから幹部になれという話」
「師匠はともかく、仲村やかレストランオーナーやで」
「人の心をつかむ才能はある」
「お前らも見てないで加勢しろや!!!」
怒りの炎をなお一層燃やしながら能天気な二人に叫ぶサキ。
リィシャが妖刀村正を構え走り出した。
「わーいぶった切るー!」
剣を鈍い光を走らせ、獲物を捕らえた。
「斬切!!」
魔王の背に向けて繰り出した攻撃は、幽霊属性の魔王には効かず、通り越して魔王の目の前にいたみつこに切りかかった。
「!!」
みつこはとっさに魔法でガードした。
「あ、ごめん。ミスった」
「殺すッ」
ぎらりとみつこの目が光り、リィシャを捕らえた。
「大地の魔法、タワーザナイフ」
地面から鋭利な角が無数に生まれ、リィシャを串刺しにしようとしたが
身軽さを活かし軽々とよけられた。
その様子を見ていたサキが叫んだ
「遊ぶな!」
「「遊んでないよ」」
魔王の攻撃
逃げるルーキーズ
やはりレベル的にまだ早かったのではないだろうか。
カナタは本を片手にジッとみつこたちを見ていたが、リィシャの攻撃にいい加減腹を立てたみつこが魔法を魔王に放たず、ずっとリィシャを追い掛け回している。
サキは空気を読んで二人を止めようとしていたが、短気さが災いとなり
「お前らいい加減にしろやぁあああ!!」
ぶち切れで二人に炎の如意棒の攻撃を放ち始めた。
サキの怒りに反応した雷まで現れ始め、放電する。
こうなってもなお動かないヤスコ。
むしろ自分に被害が来ないように海里を盾に後ろに隠れている。
カナタはため息を漏らした。
「まだ、ダメか……」
「?」
やすこがカナタを見た。
「最初からダメやろ」
「……。……そうだな」
無機質な声で、同意するカナタ。
ヤスコに手を伸ばした、その行為を邪魔しようと海里が嘴をカナタの手に向けて突き出した。
カナタは何も言わず、黙って手を引いた。
「お前ってさ、要領悪いけど、世渡り上手だよな」
「なんや」
「自分では何もしてないけど、してるやつの後ろにいてさ。さり気なく手柄もらってさ」
「そんなことしてないわ」
「まあいいや」
カナタは帽子をかぶりなおした。
本を開いた。
「さてと、そろそろお出でますかな」
魔王がみつこたちに向かって暗黒魔法を放った。
相手の気力を根こそぎ奪う魔法。みつこたちが気が付いた時にはその範囲から逃れられない。
「しまっ……」
一陣の光が強く光ると、魔王の魔法が物理によって打ち消された。
【……何者だ】
魔王の殺意がみつこたちから突如現れたものに、注がれる。
みつこは目を大きく見開いて卵を飲み込んだような顔をした。
「師匠!」
そこにいたのは、ハンター・ハヅキだった。
「なんだ、そのゲッていう顔は」