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HUNTER・GIRL  作者: 一理
ワンステップアップ
22/57

鍵を探すもの

「酔った」

 のんきに窓の外を見ていたリィシャが突然そんなことを言いだした。

 その言葉を無視してみつこが気づいたことを述べる。

「町や村には魔物が溢れかえってんのに、道なりにはいないな」

「言ったろ。異常じゃなくて、悪事だって」

「じゃあわざと町や村に放ってるってこと? なんのため?」

 ヤスコの疑問にみつこは頭を掻きながら答えた。

「たぶん、魔王騒動としてことを大きくさせる為、かな……にしても、中途半端だな」

「中途半端って?」

「町とか村限定で暴れてるのはまぁ、それっぽいけど、倒されたら終わりじゃん? 魔王いないんだから結局すぐ熱は冷めるだろ」

「そうだな。もしかして、カナタが言う魔王復活と何か関係あるのか?」

「あるようでないようである」

「回りくどいわ」

 サキが突っ込むと、カナタがふうっとため息を漏らした。

「言い忘れてたけど、ミスター・クレア捕まってるんだよね」

「誰に?」

「ハンター協会」

「アイツ強いんじゃないの?」

「ぬけてるから」

 それでも勇者なんだからと突っ込もうとして、みつこはリィシャとヤスコを見た。

 あぁ、関係ないか。

「なんや」

「いや別に」

 がらがら、どっかーん。

 砂埃が舞う。

 馬車が破損した。

「いってえぇー……なんだよ全く」

 サキがただのゴミとなった木片を投げ飛ばしながら道に降り立った。ふとみれば目の前に武器を片手に三人が立っている。

「誰だ」

 睨みつければ、三人は笑った。

「我々は『鍵を探すもの』……絶望の果てに『真実』を見つけ、さらなる『絶望』を知ったものだ!!」

 真実? さらなる絶望?

 サキはライを武器化し、構えた。

 と

「何? バトル? 僕もやるー」

 リィシャが遠くから歩いてきた。窓から飛んで行っていたらしい。ある意味器用だ。

「ちょっと待てリィシャ」

 サキがリィシャの頭を掴んだ。

「聞きたいことがいくつかある。まず、その厨二病くさい『鍵を探すもの』ってお前らのチーム名か」

「そうだ。事実、鍵を探している。そのカギは、きさまらのうちの誰かがもっているはずなんだ」

 なんの確信があるのか、そう力強く言う三人。

「鍵ってなんの鍵?」

「この世界に『異変』をもたらすカギだ。それを使えば、再び新たな世界をつくりだすことができるのだ」

「私たちは、この世界のもとの本来あるべき姿に戻すのよ!」

 剣を三人は構えた。

「三銃士!」

 なぜか嬉しそうに叫ぶリィシャの背中を蹴っ飛ばすみつこ。

「お、おぉ。みつこ、何してたんだ?」

「ヤスコに抱きつかれて動けなかったの」

 ほら、と背中を見せたみつこの背中にはベッタリくっついたヤスコが居た。

 急なことに驚いてとりあえず近くにいたみつこにくっついていたらしい。

「meもさっきの話聞いてたけど、『真実を知ってさらなる絶望した』って何? 鍵となんか関係あるの? 無職三銃士」

「「「誰がだ!!」」」

「本来あるべき姿って、『魔物のいない世界』か」

「!」

 みつこのことばにサキが反応した。

「そんな、んなわけねえだろ」

「僕も聞いたよ。死者の森の国の姫が、確かにいったな」

 リィシャも思い出したように頷いた。

「そうよ。そして、異変がもたらされた理由が」

 三人のうち、一人の躰が浮いた。

「ぐふっ」

 ずざああああ、男が地面に倒れこんだ。

「おぉ、カナタ」

 帽子についた埃を払いながら、残り二人をにらんだ。

「『街灯の下で鍵を探す』だな。生きる居場所や目的がないから逃げて、目先のことだけを見てる」

 カナタはみつこに目を向けた。

「悪いんだけど、先にハンター協会行ってきてくれる? すぐいくから」

「それは……『ここは任せろ』という解釈でいいの?」

 小さく頷くカナタ。

 みつこは大小魔法でロアをいつもよりに二倍大きくし、サキ、リィシャ、ヤスコを乗せた。

「ハンター協会会長、レン・ワールゾも『鍵』を狙っている。鍵を使い、魔物を操り、その地位を確かなものにしようとしている」

「鍵って?」

「その行為は『処刑』に値する。つーことでぼっこぼっこにしてやんな」

「無視かよ」

 剣を持った二人がカナタに飛びついた。

「じゃ、任せた」

 ロアが走り出した。

 飛び出した二人をカナタは得意の体術で返した。

 倒れたが、再び起き上がる三人。

「貴様……」

「お前ら」

 カナタの目が冷酷に映える。

「『無限回廊』へ行ったな。そして、知ったな」

「あぁ……だが、分かったのは断続的だけ」

「十分だ」

 カナタは手を挙げた。

「パンドラ」

 カナタの影が揺れ、そこから黒い狼が現れた。

「ヒッ……ワーウルフ?!」

「ただの狼さ」

 唸る狼。影がまるで絡みつくように浮いている。

「影を操り、人の狂気を増幅させ、闇に飲み込む……そういう能力を持った狼」

 三人が逃げ出した。

 その背を見送り、カナタはつぶやいた。


「可哀想に、私も傷つくんだよ?」


 三人は跡形もなく、闇に飲まれた。

 


 一方。みつこたちはハンター協会に向かっていた。

 辿り着いた協会は、まるで人の気配が感じられない。違和感を感じながらも警戒しながら中に入った。

 パートナーをもらいに入った時以来だ。

「さあ、行こうか」

 武器を構え、ハンター・ガールは扉を蹴っ飛ばし、中へ侵入した。

 サキは、胸の中に溜まっていく疑問をとつとつと考えていた。

(どうもカナタは胡散臭い。何を考えてるんだ)

 考えても分からない。

 けど、知らずでいいことなのだろうか。

(手のひらで、踊らされているような気がする)

 不満だ。

 いつか、謎を解いてやる。

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