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HUNTER・GIRL  作者: 一理
ワンステップアップ
17/57

試合 二人目

「くそっ……べネゼル」

「はっ!」

「殺しても構わん」

「……はっ」

 そのころカナタはリィシャの頭を掴んで何かをささやいている。

 みつこはその様子を見ながらアポロをつついた。

「洗脳してんの?」

『いや、ルール説明』

「聞いてなかったんかい」

 リィシャらしいといえばそうだけど。

 と、隣に師匠が立った。

「お前、クエスト屋カナタと知り合いだったんだな」

「何? 師匠もカナタ見たことなかった系?」

「いや、ある。ミスタークレアに飛び蹴りしたところを見た」

 そこはどうでもいい。

 リィシャはやっと理解したのかサル吉の頭を掴んで歩き出した。

「大丈夫か?」

 腕を組みながらサキがカナタに問う。

「問題ない」

 カナタは即答した。

「負けてもな」

 自分から始めたこの戦いにカナタは勝敗については一切こだわっていないらしい。それが分かり、サキは怪しいを見るような目でカナタを見つめる。

(こいつ……何を企んでいるんだ……そもそも、何故急にアタシらの前に現れたんだ)

 みつこにあわせて入ったから偶然・・アタシらが会ったのか?

 いや、会いたくないならみつこに口止めなりなんなりするだろうし、居留守を使うだろう。

 こいつの能力はまだ未知数だが、アポロはどこでもいるらしいしな。あたしらが来ることを分かっていたはずだ

(……)

 ゾクッ

 サキは先ほどの戦いでの、カナタの深い紫色の瞳を思い出した。

(何を、企んでいる)

 

「始め!!」


 王の声が響き渡る。

 のと、同時に地面を蹴る音が二つ響いた。

「はああ!」

 べネゼルが突きの構えでリィシャに特攻したが、リィシャはそれを後ろに下がることで回避した。

「サル吉!」

「うき?」

「武器化!」

「うき」

 サル吉はリィシャにバナナを渡した。

 リィシャはそれに気づかず、べネゼルが素早く間合いをつめ、切りかかった。ガードに入ったリィシャだったが

「バナナ!!!」

 ではなんのガードにもなりはしない。

 バナナと叫びながらべネゼルの顔に投げつけ、なんとか剣を避けたが、あまりのショックに行動がワンテンポ遅れ、腕を負傷した。

 腕から流れる血をリィシャは舐めながら敵を見据える。

(早い。攻撃の威力はないけど、とにかく早い……急所つかれたら僕でもやばいなあ)

 というか、まさかサル吉が武器化しないとは思わなかった。

 周りの外野も驚いている。


「あのサルは変身しなかったわ、何故?」

「「馬鹿だから」」

 実力派師弟が同時に答えた。

「バナナで勝てたら面白いな。リィシャ頑張れ!」

「カナタ、さすがにそれは無茶ぶりやわ」

 ヤスコに突っ込まれるカナタ。

「リィシャ自身は私らハンター・ガールの中でも一番スピードあるはずなんだけど」

「相方が変身遅ければリズムが狂い、そのお得意の速さも出せんだろうな」

「師匠」

「なんだ」

「パートナーいないのに、詳しいね。研究してるの? ……ぷぷ」

「殺す」

 弟子の頭と肩を掴む師匠にみつこは大慌てで長早口で謝罪を呪文のように垂れ流している。

 リィシャはそれを見ながら、手を打った。

「サル吉!」

「うき?」

「武器、武器、武器、武器!!」

 べネゼルの攻撃をかわしながら連呼する。

「うき!」

 さすがの馬鹿でも連呼されれば分かったらしい、手に持っていたバナナを投げ捨てブーメランに変身した。

「っふ」

 躰をひねり、べネゼルに当てに行ったが、すでに後方に下がっていた。

「ふん、あのような鈍間な動きが、べネゼルにあたるわけがない」

 リィシャの躰の一回りも大きいブーメランは振るうだけでタイムロスが発生する。

 ハンター・ガールの疑問

「何故投げないんだあいつ」

「なんで振り回しよん?」

「武器持ったまま横回転し始めたぞあいつ。バカなの?」

「答えよう」

 と、カナタが言ってハズキの肩を叩いた。

 カナタが答えるわけではないらしい

「俺か。いいだろう。本人が接近戦タイプにも関わらず、パートナーは遠距離タイプ。リィシャはきっと武器化させたものの遠距離の戦い方が分からないんだろう。故に手でとりあえず振り回した、と。そして重大な欠点に気が付いた」

「最初っから重大な欠点だけど、まだあるのか?」

 サキが不思議そうにいうと、ハズキは力強く頷いた。

「相手はスピード重視、今ヘタにブーメランを投げれば避けられ一気に間合いを詰められ、バランスを崩したところを叩かれる。と」

「もう普通にブーメラン捨てればよくね?」

 みつこのコメントにハズキは何も言わない。

 カナタが小さくつぶやいた。

「リィシャだから」

 

 べネゼルはリィシャのやけ攻撃を冷静に分析し、無理に踏み込むことをせず、チャンスを待っていた。

(この様子だと、勝手に自滅しそうですね)

 にやり、と笑い後方に下がった。

 と

 ぐにゅり

「なっ!?」

 体が浮いた。

「お!」 

 リィシャがチャンスとサル吉を構えなおした。

「しまっ」

 崩れた体勢を整え、起き上がろうとしたが、背中で倒れてしまい起き上がるのに横に転げるか、それともそのまま起き上がるか、などそんなくだらないことで悩み時間がかかってしまった。


「疾風輪!!」

 風を切りながらブーメランが迫ってきた。

「くそおお!!」

 剣を構え、ブーメランに対峙したが

 キィン……ッ

 あとからくる回転の重さに剣が持ちこたえられず、弾かれ空を舞っていった。

「ぐああああ」

 べネゼルの躰が倒れた。

 顔面にブーメランを直撃した彼の顔は血まみれで、トゥディが急いで近寄った。

 そして、彼の足元を見てつぶやいた。


「バナナ?」

 最初に投げたバナナが、奇しくもこの戦いの勝敗を決めた。

 リィシャはサル吉の頭を撫でて褒めている。

 その様子をカナタは見ながら、本を強く握りしめる。


(純粋に、考えず、ただ本能でお前は行動していればいい)

 そうすれば、きっとチャンスが来るはず。

 チャンスをものにできるか、どうかは、リィシャ次第

(私は、リィシャのチャンスに期待してる)

 だから


「裏切ってくれるな」

 

 その呟きにサキはカナタを見た。

(何の話だ?)

 アポロも不思議そうにカナタを見ていた。

 誰も知らない、彼女の秘密。一体、何が

(あとでみつこに相談してみるか)

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