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HUNTER・GIRL  作者: 一理
ワンステップアップ
13/57

おねだりおねだり

 首都へはとても長かった。

 やすぃんやカーニャが用意した馬車は遅く、座り心地も悪かった。そのことを文句言うと

「遊びじゃなくて仕事用の荷車だから仕方ないの! 文句言われん!!」

 と怒られた。

 これでおかんと言わずしてなんという。

 

 立派な門が見えてきた。扉の前には二人の兵士が仁王立ちしており、通行書を求められ、おかんは慣れた手つきでそれを見せ軽く談笑し、門を通過した。

 さすがバンビ社。顔が広い。

「おお」

 しばらくして、町に入った。

 町はすでにお祭りモードで活気にあふれまわっている。

「ハンター・ガールたちはここで降りて、遊んできな」

「おこづかい」

 三人手を出すと、手を一つずつ叩かれた。

 地味に痛い。

「ええな、悪さしたらいかんよ。夕刻を知らせる鐘が鳴ったらあの国王の象のとこに集合な」

「どれ?」 

 みつこは王の象を見た。

「……あのブロッコリー?」

「なんてこというん!?」

 顔を真っ青にして、口を叩かれた。

 地味に痛い。

「もしなんかあったらカーニャのせいにするわ」

「ヤメテよ!?」

 サキが笑う。冗談といっているけど目が本気だ。

 心配そうに新家は仕事場へ向かっていった。

 さあおかんは去った。


「どこから回る?」

 ウキウキしながら四人話し合う。

「腹減った」

「うちも」

「お前らバナナ食ってろよ。ここは服だろ」

「meもサキに賛成」

 防護服欲しいのです。

 広く人が多い路地を歩き回り、いろんな店舗に足を向けたがお目当ての店は見つからず、しばらく探し回り無駄な時間を費やした。

 最終的には諦めて近くの通行人に聞いて回るという地味な労働を行い、やっとのことでお店についた。

「冒険用の店がここしかないとか」

「しゃあないわ。だって首都でぬくぬく暮らしてる人が好き好んでハンターやるわけないわ。ここはお城の兵士推しやし」

「まさかここにきてバンビ社っていうんじゃないよな」

「ここはロード社だよ」

 やすこが店の名前を見ながら言った。

「ロード社?」

 こっちでも聞いたことがある。

「たしか三大アイテム会社のうちの一つだっけ?」

 親しみやすく幅広いバンビ社に、魔物を追い払う系にはもってこいのギロチン社。これに肩を並べるがあまり庶民には浸透していないロード社。

「せや。いい品揃えなんやけどな」

「お、これいいな」

 サキがワイルド系の服を手にして値段を見て固まった。

「くっそ高いねん」

 やすこの台詞を聞いて、みつこはサキの手にしていた服の値札を見た。

 二桁まちがってね?

「ぼったくりにもほどがあるな」

「金持ちが冒険に出たい言うたり、モノに金かけるやつはよう買いに来るらしいけど」

「「私らが買えるわけないだろ」」

 サキはすぐ服を元あった場所に戻した。出よう出ようと会話していると

「なにしてんの」

 と、聞きなれた声がした。

「……カナタじゃん」

 リィシャが驚いたような声を出した。

「引きこもってんのかと思った」

「まあ出ることほとんどないからな」

 そこは否定しないらしい。

「お前金持ってんだな。ここで買い物か?」

「まあ、帽子を受け取りに」

 帽子、この世界ではファッションにあんまり人はこだわらないため、売り上げがよくないものの一つ。そして需要がないモノをオーダーメイドで作るのは貴族などの娯楽でもあった。

 ハンター・ガールは冷たい目でカナタを見た。

「悪いか。好きなんだ帽子」

 店員が袋に入れた帽子を持って走ってきた。

「社長。お疲れ様です! これ頼まれていたものです」

「ん」

「え?」

 サキは自分の耳を疑った。

社長・・?」

 カナタは新しく手に入った帽子を被りながら頷いた。

「私はハンター協会の幹部の一人にして情報屋でもあり、クエスト管理人でもあり、このロード社の社長でもある」

「何を目指してんだよ」

 カナタの目が一瞬厳しく冷たいものになったが、すぐいつものどうでもよさげな顔になった。

「ミスター・クレアの後釜に入っただけだよ。私がおのずから手を出したのは情報屋だけだ」

「カナタはミスター・クレアと知り合いなの?」

 みつこが不思議そうに聞くと、カナタはカードを見せた。身分証明カードの中に書かれていたのは

「養子……、ミスター・クレアがカナタの養父!?」

「おーいえー」

 雑な返事をしながらカナタはカードをしまった。

「お前孤児だったのか」

「いや、普通の家庭の生まれだけど」

「なんで養子に?」

 みつこが問うと、カナタはゆがんだ笑みを見せた。

「利害が一致した」

 どんな餓鬼だよとサキはいいながら、ふと気が付いたらしく、手を叩いた。

「おい、カナタ。お前ここの社長なんだろ?」

「無償奉仕はやってないぞ」

「くそ、まだなんもいってないだろ」

「この流れはそうだろ」

 みつこはいい感じの防護服を見つけてレジに向かった。サキはそれを眺める。

 笑顔でみつこはそれを着用して戻ってきた。ヤスコが感心したように言う。

「さすがクエスト率高いだけあって金あるんやな」

「あってもこんな高いとこではバーゲンでも買わないよ」

「え?」

 皆みつこの服を着る。

「カナタにツケた」

「つけるなよ」

 その手があったか! と走り出したバカ三人をカナタはなんも言えない表情で見つめていた。

「せめて一着にしてくれ」

「おぉ、止めないんだな」

「先頭きってやってくれた奴がよく言うよ」

「それほどでも」

「褒めてないし」

 カナタはため息を漏らした。みつこはふと気が付いた。

 正規のハンターではないにしろ彼女のそばに相方がいないのだ、情報集めで忙しいのだろうか。そう思っていると、カナタがぼやいた。

「アポロ居たら止めれたけど、どこほっつき歩いてるか分からんしなぁ」

(やはりただの軟派だったか)

 買い物を済まし、一行は店の外へ出た。

 気が付けばカナタの服装も礼服に変わっている。

「おしゃれしてどこ行くん?」

 ヤスコが問うと、カナタは不思議そうな顔でヤスコを見た。

「お前、勇者一族の当主跡取りなんだから知ってろよ、紹介状来てるだろ?」

「なんの?」

「姫の誕生祭さ」

「知らん」

 ヤスコは首を横に振った。

「っていうかヤスコも勇者一族の跡取りだったん?」

「ん? リィシャも?」

 サキがヤスコとリィシャを交互に見て、信じられないものを見るような顔でため息を漏らす。

 世の中は不公平だと

「師匠はなんも言わんかったで」

「あいつは一族破門されて、ただの商人だからな」

 馬が歩いてきた。カナタは小さな体で楽々と馬に跨ると、そのまま行こうとしたので、魔法で攻撃した。

 転げ落ちる情報屋

「なにする」

 吐血しながら恨めしそうにみつこを睨む。

「連れてけよ」

「は?」

「こっそりでいいから」

 そう言って笑ったみつこの顔はあくどかった。

「んー……まあ、いいけど。紹介したい奴もいたし」

「紹介したい奴?」

 カナタは馬を叩いて、落ち着かせる。

 店の中に入っていくと、馬を片すよう命令したらしく、店員が馬を回収していた。

「大人数でわらわらいくと、目立って他の貴族連中にみつかるからな。こっちの方法で行こう」

 再び店の中に入った。

 ぼうっと見ているとついてこいと手を招かれ、ついて行く。

「カナタの権限どこまでも広いなあ」

「どこいくの? 地下いくの? ねえねえ」

「地下への階段見ると、なんというか誰かを転がしたくなるね」

「おい、電気つけてないのかよ」

 好き勝手に言っているが、常に無視して先頭を歩いていたカナタ。

「わあああああ」

 より先に誰かが駆け下りて行った。というより、不審な発言をした誰かに誰かが転げ落とされたのだろう。

 

「……」

 カナタは壁を叩いた。

 パッ

 電気が付き、暗闇がはっきりと明るくなった。

「点くなら初めっからつけておけよ」

「リィシャなんで転げとん?」

 階段を降り終わると、白目向いて倒れているリィシャが居た。いい笑顔でみつこがサキの肩をつついた。

「もー、お前酷いことするなあ」

「お前か犯人」

 リィシャを叩き起こし、扉を開けてその部屋に入った。

「おぉ」

 魔方陣の描かれた部屋。

「さぁ、行こうか」

 カナタが魔方陣に足を踏み入れると陣が光り輝いた。

 

「城の中へ」

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