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異世界原始炉とウラシマ少年  作者: 青井孔雀
6/6

オカエリナサト?

 気が付いたら、俺は日本に戻っていた。


 そう確信できたのは、目の前が皇居だったからだ。俺が転移したのは池袋辺りだった気がするし、宇宙船はどこに消えたのか分からなかったが、細かいことはどうでもいい。

 季節は桜吹雪の美しい春で、秒速五センチなそれらと一緒に涙が零れまくった。


 だが…。



 違和感はまず自分自身にあった。結構な年齢のはずなのに、何か体が調子いい。

 思い出す限り、自分は若返っていた。ちょうど転移したての、高校生くらいの感覚で、その事実にびっくりして思わず叫んでいた。


「怪しい奴!貴様、何者だ?」

 おっかない感じの警官が詰め寄ってきた。

 こいつもおかしな奴で、腰に刀を提げている。確か歴史の授業で習ったサーベルって奴で…俺は周囲を改めて見回した。


 そこは何もかもが古かった。

 人々は和装をしていたり、モノクロ映画に出てきそうな紳士風だったり。

 ぱりっとした軍服姿もいっぱいいて、道を行き交うは人力車。

 自動車も見つかったが、どれも真っ黒なT型フォード。

 

 俺は恐る恐る後ろを見る。


 豪華なレンガ造りの東京駅に、ボォーっと大きな汽笛を上げて、特急列車が入っていっていた。



「ま、まさか…」

 俺は一瞬にして青ざめ、巡査のもとへと駆け寄った。


「す、すいません!」

「わっ、何じゃい、藪から棒に」

「今日は何年何月何日ですか!」

「貴様、気でも狂ったか?」

 巡査は本当に訝しげで、実際俺も狂ってしまいたかった。


「大正八年、四月一日に決まっとろうが」

「た、大正…八年…」

 戻った先は、何と百年前の日本。戻るにしても戻り過ぎだった。

 浦島太郎は竜宮から帰ったら七百年後だったが、俺は逆浦島太郎。名前が似てるからってあんまりだ。


「こんなのありかよぉー!嘘だと言ってよポリスメン…」

 体の力が一気に抜け、その場にへたり込んだ。巡査もびっくりして仲間を呼びに走り、そこに新聞の切れ端が飛んできた。

 実際、日付は大正八年、四月一日。パリ講和会議に関する記事が、でかでかと一面を飾っていた。



 まさか俺、悪質ループ転生ラノベの主人公にされちまったんだろうか?


原子力スチームパンク、これにて完結です。

もし、蒸気機関と原子力機関の登場順番が入れ替わった世界があったら?というあり得ない仮定から、

始まったのが本作ですが、頭がラジオアクティブになる感覚を味わっていただけたなら何よりです。


次回作もご期待いただければ幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろかった! [気になる点] なし! [一言] Twitterの宣伝から来ました! 続きが無いのがちょっと物足りないけどあえてここで切ってるのもそれはそれで良いですね。 作者様の他の…
[一言] オライオン、いいですよね。
[一言] うんうん。 読んで良かった満足。
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