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灰色ノ魔女  作者: マメ電9
第二章 迫り来る敵の手
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第四十九話 レヴォルとモノン


出発してから数時間後·····


広い草原に1本しかない砂利のガタガタ道を進んでいた。


森を抜けるのは簡単で道に迷うこと無く行くことが出来たけど、たぶんそれはルークのおかげ。

本人が言うには、磁場?を感じ取ってるから迷わないし、後隣国には何回か行ったことがあるから大丈夫らしい。


磁場ってのがよく分からないけど、多分獣魔物型の特徴なのかな?


この調子なら、問題なく順調にいくだろう!



って思ってるけど··········


最大の不安点が私の向かいに座っている。



「へー!流石バンの息子だね〜。あの迷いの森を簡単に抜けちゃうなんて♪

あの小さいワンコちゃんが成長したもんだよ〜」



ワンコちゃん·····。


いや、それより



「迷いの森って?」


「おや?何だ知らないのかい?あの森はね、人の方向感覚を狂わす結界が張ってあるんだよ。

簡単に人間に入ってこられちゃ困るからね。

だからオレ達は⦅迷いの森⦆って呼んでるってわけ!


相当キツイ魔法をかけてるから、アレを簡単に抜けちゃうルーク君は凄いね!うん!」



「へぇ!そうなのか。じゃあそれだけ凄腕の魔法使いが魔物の国に居たんだな。

もしかして、モノンとかがやったのか?」



凄腕の結界魔法を操る魔法使い。

それを連想させる人物は、私の中でただ1人。


モノンの名を口にしたらその瞬間、レヴォルの表情は眉をしかめて明らかに険悪なオーラを放った。



「全然ちっがーーう!モノンも確かに出来るかもしれないけど、アレをやったのはオレだからねーーー!

オレが騎士団を切り盛りし始めた時代に結界を張ったんだから。


モノンはだいぶ後に魔物の国に来たから、違うんだからね!」



「す、すまん·····!」


ものすごい勢いで迫って言ってきたので、思わず謝ってしまった。

何でこんなモノンに対して敵対視しているんだろう。昔に何かあったのか?



手網を持って馬の操作をしているルークが、クスクスと笑いながら会話に入る。


「聞いた事がある。先生がだいぶ前に何故かレヴォルは僕に対して刺々しいから用事がある時声をかけにくいって。

·····元団長、先生は何をしたんだ?」


「いいよ硬っ苦しいな。レヴォルって呼んでおくれ。

それに、今はあの国の騎士団長じゃないし〜。

愛弟子があんな立派な騎士団長になってくれてありがたいね〜。


その愛弟子の右腕が·····まさかモノンになるなんて·····!!

ああああ!腹立たしいよねーー!」



あぁ、なるほど。


これは愛娘を嫁に取られた父親の気持ちってやつか。


つまり·····嫉妬だな·····。



「はぁ·····もしかして、それだけの理由でずっとそんな態度なのか?

レヴォルはもういい歳なんだろ?ちょっとは大人に·····────」


と言いかけの途中で、レヴォルは食い気味に反論してきた。



「いんや!!それだけじゃないんだよシロナちゃん!

オレはそんなちっさい器じゃないよっ」


「何だ·····まだ何かあるのか?」



「あぁ!あるともさー!

モノンはね!だいぶ後から来たくせに!


オレと少しキャラが!被ってるんだよ!!

ね?!ゆるせないよね?!」


「「····················」」


沈黙が流れる。


当然、私とルークは心の中でこう呟いた。


((あぁ、ダメだこの人。))




「はーーーくしゅん!!!」

その頃、モノンの盛大なくしゃみが炸裂していた。




そんなこんなで、天気も良く気持ちいい風が吹く中草原を進んで行く。

しかし日が暮れ始め、これ以上進むと危険と判断したルークは、「ここで野宿しよう」 と言って馬車を道の端に止めた。



「私、薪を拾ってくる!」


ルークがランタンに火を灯し明かりを確保すると、荷車に積んでいた食料を取り出して料理の準備に取り掛かっている。


私が薪を取りに行った方がいいだろう。



「あぁ分かった·····。あまり遠くに行くなよ?

この辺は魔獣も出る」


「大丈夫だ。コハクも一緒に連れていくから!行くぞコハク」


「クー!」



魔獣は魔物と違い知能がない。


動物に魔力が宿っている·····と思ってもらったらいいかな。

普通の動物と違って、魔力を宿した魔獣は特殊な進化を遂げていて、かなり攻撃的な部分がある。


体が巨大化した兎なんかも居るらしいけど·····


それがなんと·····

豚や牛よりも絶品な味らしい!


私はまだ食べたことが無いけど、もし機会があれば一度食べてみたい·····!



まぁ、私にはまだ狩りなんて無理だろうからまだ当分食べられそうに無いけどな。



私とコハクは、完全に日が暮れないうちに薪を拾い集めてこないといけないので、急いでそこから離れた。


ルークはまな板を取り出して料理の下準備をしだす一方·····レヴォルは胡座をかいてそれをただジーッと見つめるだけだ。



それも、ニヤニヤしながら。



「あの·····なにか?」



さすがにジッと見られ続けるのも嫌なので、堪らず会話をふる。



「いんやぁ〜?ルーク君はいいお嫁さんになれるなぁって思ってね?」


「お嫁さんって·····。俺は男だし結婚するつもりもない」


「えーそうなの?結婚しないの?イケメンで家事も仕事も出来んのに?

もったいな〜い」



何なんだこの人·····。こんな絡む人だったかな·····。



「余計なお世話だ。そんなものに興味は無い」


そう。本当に興味は無い。

ジェイドからは早く女作れだの、先生からは嫁を取れだのうるさく言われてはいたが·····。


まず恋愛なんてしたことも無い。

全く異性に惹かれない。


でも、俺は別にそれでいいと思ってるし、仕事にも支障はないから構わないと思っている。



「そうなの??なら俺がシロナちゃんを嫁に取ろうかな〜♪」


「!!!?!」



何·····だと·····?!


こいつ正気か?!

エルフが人間のシロナを嫁に?!



突拍子も無い事を言うので、驚きすぎて野菜を乱雑に切ってしまった。

その取り乱した様子の俺を見て、何故かレヴォルは爆笑する。



「ははははは!冗談だよ〜そんな動揺しなくても〜。·····ぷっクフフフっ。

いやぁ、いい反応するねぇ!


そうかぁ、ルーク君はなんだかんだ言ってそうだったのか。

ふふふふ、やっぱ面白いな君達2人は」



レヴォルが何を言っているのか分からない。

何を1人で納得しているのか。


とりあえず、馬鹿にされているのは分かったから、この人の晩飯は激辛にしてやろう。



そんな事を考えていると、レヴォルが俺から出ている負の感情を察知したようで·····


「ちょっとルーク君?今何か酷いこと考えてない?」


と言ってきたので、俺は真顔で


「いいえ」と答えてやった。



その直後。


シロナが走っていった方角から、ドカーン!!と物凄い爆発音がした!



「?!な、何だ?!」

「??」


振り返ると何やら大きな土煙がこちらに向かってくるように見える。


その土煙の先頭に、赤い服を着た人が走ってくる。

間違いなく、シロナだ。



「あああああああ!!!2人とも逃げろーーー!」


半泣きになりながら猛ダッシュする背後からは、3メートルをこえる巨大な影が·····。


土煙が少し晴れて見えた姿は、なんと巨大な野兎·····いや、魔獣の兎だった。


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